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from: 海砂さん
2007年10月24日 19時17分59秒
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乳がん訴訟の一例
インフォームドコンセント、セカンドオピニオン、非標準治療、そして医療訴訟…と、患者も医療者も互いに保身を考えねばならないご時世になってきたと言えるので
インフォームドコンセント、セカンドオピニオン、非標準治療、そして医療訴訟…と、患者も医療者も互いに保身を考えねばならないご時世になってきたと言えるのでしょうか? 乳がん患者の起こした裁判について考えさせられる記事を読みました。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200710/504388.html
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1995年、県立病院で乳癌の疑いありと診断された50歳の女性患者は、乳房温存療法に積極的に取り組んでいる大学外科助教授Aのことを本で知り、診察を受けた。Aが診察したところ、乳癌の疑いが強く、Aは健診センターのB医師の精密検査を受けるよう勧めた。
マンモグラフィー、超音波検査および細胞診の結果、やはり強く乳癌が疑われたため、生検を実施。それらの結果から、乳房温存療法の適応がなく、乳房切除術が適当であることを確認した。
B医師は、患者とその夫に、患者の病変が「非浸潤性乳管癌」であり、癌細胞の悪性度が高く、切除標本のほとんどすべてに乳管内癌が広がっていると説明、早期に転移する可能性は低いが放置すれば遠隔転移を起こす浸潤癌に移行する可能性があることを説明した。
そして、非浸潤性乳管癌の場合、一般に乳房切除術と乳房温存療法があり、自分は乳房温存療法を積極的に行っているが、患者の場合は広範囲の乳管内進展型で、マンモグラフィー上も乳房の中に癌がたくさん残っているので、乳房温存療法は適応外であり、乳房切除術によるべきであること、現時点では転移がないため、乳房切除術を行えば予後は良好であることなどを説明した。
B医師は患者らに対し、セカンドオピニオンも聞きたいのであれば構わないと話したところ、患者が「どこへ行ったらいいでしょうか」と質問したので、がんセンターなどの病院名を挙げた。また、医師である患者の夫は、患者に「組織診断は助教授の診断だから間違いない。乳房切除にすべきである」旨の発言をした。
患者は、96年1月4日、乳房切除術を受けること、セカンドオピニオンは聴取しないことをBに電話で伝え、同月23日、Bは患者や息子の同意を得て、Aを助手として患者の右乳房を切除した。切除標本の病理組織検査結果は、小範囲ながら非浸潤性乳管癌が見られるというものであった。B医師は患者に検査結果を示し、乳房切除術が妥当であったことを説明した。
しかし、その後患者は、医師らは乳房温存療法などについて十分な説明を行わず、自らの意思で治療方法を決定する機会を奪ったなどと主張し、慰謝料など合計1100万円の支払いを求めて提訴した。
この事案に対する判決は…
大学および医師らは、連帯して240万円を原告に支払え。
(2005.6.30 高松高裁)
1審は患者側の請求を棄却したが、患者は控訴した。
2審の高松高裁は、患者には乳癌温存療法が適応である可能性は低かったと認めながら、「(医師らは)乳房切除術および乳房温存療法のそれぞれの利害得失を理解した上でいずれを選択するかを熟慮し、決断することを助けるため、患者に対し、医師らの定めている乳房温存療法の適応基準を示した上、患者の場合はどの基準を満たさないために乳房温存療法の適応がないと判断したのか、という詳細な理由を説明することはもちろん、再発の危険性についても説明した上で、医師らからみれば適応外の症例でも乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示すべき義務があったというべきである」とした。
Bが患者に説明した内容は「乳房温存療法は適応外であり、乳房切除術によるべきであることを説明したにとどまり、乳房温存療法が適応外であることについての上記説示のような詳細な理由を説明したとは認められない」と判断し、医師らの説明義務違反を認定した。
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上記に対し、このサイトでは以下のように解説しています。
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説明義務違反も、ここまで来ると何でもありのように思えてしまう。それほど説明義務の範囲が広く、どこまで説明すべきか分からなくなってしまうような判決である。
判決に書かれた経過からは、乳癌のタイプが温存療法に適さないことを、被告医師が患者に対して病理検査の結果を示しながら詳細に説明していることが十分に読み取れる。つまり、乳癌温存療法を施行すると、癌の取り残しが懸念され、取り残された癌細胞が遠隔転移する危険性が高いことは患者も認識していたはずだ。
普通に考えると、裁判所が言うような乳房温存療法の細かい適応基準を示されるよりも、このように遠隔転移などの危険性が高いことを説明してもらった方が、よほど患者にとって利益になる。これ自体が、適応基準を簡潔に分かりやすく述べているといえるからだ。
さらに注目すべきなのは、「被告医師らからみれば適応外の症例でも乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示すべき義務があった」と裁判所が判断したことだ。しかし、適応外の症例でも実施している医療機関を教えることが、果たして医師の義務なのだろうか。
それは医師らから見れば、ある種特殊な医療を行っている医療機関を紹介することにほかならない。危険な症例でもどんどん乳房温存療法を実施するような医療機関を紹介すれば、患者の正常な判断を妨げることになりかねない。少なくとも医師の「義務」ではないだろう。
本来セカンドオピニオンの役割は、患者が正しい知識を得て冷静に判断ができるようにすることにあるはずだ。その点、医師らはセカンドオピニオン先としてがんセンターなどの名前を挙げて紹介している。正常に判断する機会を設けたと評価されこそすれ、説明義務違反のそしりを受ける理由はない。
仮に、適応外と判断したにもかかわらず、乳房温存療法を積極的に実施している医療機関を紹介し、その患者の癌が再発すればどうなるか。どちらかといえば、その場合の方が訴えられる危険性は高そうだ。医療者はやはり、前門の虎、後門の狼である。
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私の場合、乳房の温存可能が微妙な病状でしたが、通った病院では積極療法を行う病院の紹介はありませんでした。自分でネットから検索しました。治療成績の記載がなく電話でもう少し詳しく聞きましたが、実際には症例が少なくネット上に記載するに至らないとのことでした。ネット上の治療方法の説明ではとても患者の立場に立った案内文に読めたのですが、まだ実験段階だったのかなと感想を持ちました。
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from: ノエルさん
2007年10月27日 13時43分52秒
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「Re:Re:Re:乳がん訴訟の一例」
みなさん、こんにちは。
あえて私は原告(患者)の夫が、医師であることに注目したいと思います。
>医師である患者の夫は、患者に「組織診断は助教授の診断だから間違いない。乳房切除にすべきである」旨の発言をした
とあって、結果的に訴訟に出たわけですよね、、、以下、私の妄想です(^^;)。
患者は、夫を含め、回りの全員に乳房切除を勧められる。
実際は乳房温存に未練を持っていた。
全摘出の手術は成功、医師は病理結果から更に全摘出が正しかったと強調された気分、夫も同意、、、
患者は、乳房温存の望みを完全に否定されたような気分になる。(患者の孤立が起こる)
あったまに来て、積極的乳房温存法を行う病院を探す、、、あったじゃん(怒)、訴訟じゃーっ
も一つ妄想、
原告の夫(医師) 妻が乳房温存に未練、何とか叶えてあげたい。
しかし、助教授の診断に間違いはないだろう、妻に全摘を説得
術後、妻の元気がない、やはり温存に未練があったのか、、、
積極的乳房温存法を行う病院を探す、、、あったじゃん(怒)
我々医師は、常に訴訟のリスクの重圧に耐えながらも、何とか仕事をしている。担当医がこんな特殊治療を知らないとは、プロ意識に欠ける、訴訟じゃーっ
と二種類妄想してみました。。。どちらも、患者本人の気持ちが、回りに完全に理解されていなかったという前提です。
私自身は片胸全摘出です。悪性度が高く飛び散り型のがんだったので、取り残しを恐れ、全摘出することに積極的に同意でした←世の中にはこーゆー人もいる
でもねでもねでもね、、、後に知ったんですが、‘若い’患者さんで、乳房全摘出の必要のある人には、乳房再建の手術があることを主治医が話すって・・・
なんじゃ、そりゃぁぁぁーーーっ <`Д´#><`Д´#><`Д´#><`Д´#>
知った時は、とても悲しかった。。。。。。。。。。。。。。。。
周囲が標準治療に則り、<私抜きで>どんどん決めてしまうって、すんごく悲しい…(;´д⊂)
あの時は、かなーりの孤独感に襲われましたねえ。。。(-_-メ)
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