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  • from: aさん

    2010年08月13日 02時06分28秒

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    整理下手な私の・・・4

    予約を済ますと、私はカットソーとジーンズに着替え、キャスケットを目深に被り家を出ました。

    「すみません」
    予約を入れた美容室は歩いて5分程のショッピング街の中にある店で、いつも行くところより小さく店構え
    も古い感じがします。

    「いらっしゃいませ。ご予約の方ですね。お荷物をお預かりします。こちらのお席へどうぞ」
    年配のやや派手な女性美容師が私を待っていました。
    私は荷物を預け、思い切って帽子を脱ぎその女性に預けました。
    「あらら〜」
    女性は言いながら荷物と帽子を預かり私をカット台へと誘いました。

    見たところ私以外お客はいないようです。
    他の人の好奇の目がないのは安心しましたが、一方「この店全然人いないし大丈夫かしら?」
    と、少し不安な予感もしてきました。


    ケープを巻かれ、鏡を前にした私の髪を触り、刈られた部分を確かめると美容師さんは
    「どうしますか?内側の髪だけなら中だけ切って外側の髪を被せることもできるけど、お客さん外側の髪も結構切ってしまってるから。短くなった髪に合わせて全体を揃えた方がいいけれど。」
    と言って美容師さんは私の刈られた方の髪を櫛でとかして短くなった部分を指し示しました。
    言われてみると、前髪からサイドに繋がる部分が一緒にバリカンに巻き込まれてたようで耳の上ぐらいの長さに切れてしまっています。

    「そこが目立たないように、全体を短くしてください」
    仕方なく私は美容師さんに頼みました。

    「分かりました。全体的にかなり短くなりますけどしょうがないですね。こじんまりしちゃうのでパーマ当てますか?華やかになりますよ?」
    美容師さんが提案してくれました。

    私は今までショートヘアにしたことがなかったのと、どちらかというとウエーブのかかった華やかな髪型が好みだったので、こじんまりしてしまうという言葉に怖気づいてしまったのかもしれません。

    「はい。パーマもお願いします」

    私はカットとパーマをオーダーしました。


    美容師は私の髪を霧吹きで濡らすとブロッキングをして、襟足ギリギリの所に鋏を当て、ジョキジョキと後ろ髪を切り落としていきました。
    首があっという間に露になりました。
    私の髪は次々にブロッキングを解き思い切りよくジョキジョキと切られていきます。
    特に襟足は地肌ギリギリに入念に鋏を入れています。
    そして後ろから頭頂部へカットはうつり、頭頂部の髪を上へ持ち上げ根元三センチぐらいのところで思い切りよく切っていきます。長い髪がバサバサと床へ落ちてゆきました。

    次はサイドです。
    刈ってしまったサイドに改めてバリカンを当て、耳の周りをぐるっと刈り上げ、バックと繋げていきます。
    そしてその上の方の髪を耳上の長さで刈り上げの長さに合わせて揃えていきました。
    刈っていない方の髪も無造作にバサバサと切り落として行き、同じようにバリカンで耳周りを当たり、上の髪を刈った長さに揃えて短く切っていきました。

    最後に前髪です。
    櫛ですいてやや上の方へ持ち上げると一気におでこが見えるぐらいの長さに切っていきました。

    そしてあっという間に後ろとサイドが刈り上げられた、まるで男の人のような短髪になってしまいました。
    つい一時間前まではセミロングの巻き髪だったのに・・・。

    呆然とした私に美容師さんが
    「だいぶこじんまりしちゃったけどね。今パーマ当てて華やかにしてあげるからね」
    と慰め?の言葉をかけてくれました。
    「はい。お願いします」
    わたしは縋るような気持ちで、そう答えました。


    続いて美容師さんはパーマのロットを用意しました。
    いつもかけるボディパーマよりも随分細いロットです。

    「髪が短くなったからロットも細くなるんだな」
    私はそのぐらいに考えていました。

    美容師さんはパーマが好きなのでしょうか。先ほどのカットのときより明らかに上機嫌で鼻歌など歌いながら、私の髪にロッドを巻いていきます。
    あっという間に私の頭全体に細いロットが巻かれました。

    「ちょっと熱いけどね。我慢できなかったら言ってくださいよ」
    そう言って美容師さんは私の頭にオカマ(今時!)を被せました。

    そして数十分経った頃でしょうか。
    美容師さんがオカマを外しロットを外していきました。

    それはもう驚きました。

    まるで大仏様そのもののヘアスタイルの私が鏡に映っているのですから。

    「えーーーーーー!」

    思わず声を上げた私を、美容師さんは歓声と勘違いしたのか

    「貫禄のあるお母さんらしいいい感じになったでしょ。これから洗い流して乾かしてあげるけど
    それは華やかよ〜」
    とご満悦です。

    そうです。この年代の言葉は悪いけどおばちゃん美容師さんにとっての華やか=こってりパーマ
    だという事を今になって思い知ったのです。

    でももうこの短さではどうしたって直しようがありません。

    腰が抜けそうになりながらも、どうにかシャンプー台へ行きパーマ液を洗い流してもらい、髪を乾かしてもらいました。

    「はい、できましたよ〜。華やかでしょ」

    鏡に映った私の頭と言ったら、超短髪のパンチパーマそのもの。

    これからこの頭でどうやって生活していけばよいかと真っ暗な気持ちになりました。

    これが私の身に起こった整理下手が引き起こした事件の顛末です。


    おわり

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    ルイ 舞花

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