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  • from: orimasaさん

    2008年03月04日 12時23分55秒

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    日本周遊紀行:温泉と観光編(16) 紋別・「流氷」

    主に沿岸地方の「日本一周」を終えて、
    概ね、日本の自然風土、歴史文化に触れることが出来た。
    今回、特に印象に残った地方、地域の「歴史的側面」や温泉、絶景地等を
    ピックアップして、当サイトに紹介致します。
    御意見、御感想宜しく・・!!。

    周遊は、神奈川県厚木市を出発して、以下の順に巡りました。
    『東日本編』: :行程・・・神奈川県(出発地)→山梨県→長野県→新潟県→山形県→秋田県→青森県→北海道一周(時計回り)→青森県→岩手県→宮城県→福島県→茨城県→千葉県→東京→神奈川帰着  尚、『西日本編』は、一段落次第掲載します・・。


    日本周遊紀行:温泉と観光編(16) 紋別・「流氷」

    <font size="2" color="#0000FF">国道238号は紋別市に入った。
    臨海工業地をそのまま進むと広大な公園らしいところへ突き当たった。道の駅「オホーツク紋別」でもある。 昨夜は、この道の駅で車中の人となった。
    明けて・・、先ずは新鮮な空気を胸一杯吸い込む、軽い深呼吸を3〜4回して、周りが薄赤く染まっているのに気が付いた。 海辺の方角から丁度日の出が始まっていたのである、腕時計は5時25分を指していた。 
    直ぐ近くに小さな「物見台」らしき物が有ったので、日の出の様子をカメラでキャッチ・・.
    この物見台は「アムールへの架け橋」とあった、そして次のように文言が記されてあった。

    『アムールへの架け橋』
    『 -この階段は「架け橋」といいます-
    「架け橋」の前方、遥か遠くに流氷の生みの親であるアムール川の河口があります。
    アムールへの架け橋から心の眼で流氷の古里アムール川、そして毎冬訪れる雄大な白い海・流氷へ思いを馳せて下さい。  なお、冬季間は安全のため上り口は封鎖させていただきます』 とあった。
    「紋別」は流氷の街である・・、それにしても折角の流氷の時期に、この物見台に上がって流氷を観察できないのはチト残念なことでしょう・・。 


    流氷が見られるのは日本では北海道のオホーツク海岸だけであり、北の方から流氷が押し寄せてくる。 
    樺太最北部、間宮海峡のアムール川(黒竜江)河口付近で流出してきた汽水域が氷結し、寒気とともに海流、風向によってやって来る。 
    北海道沿岸への流氷が襲来するのは、ほぼ一月の中旬ころであると言われ、そして紋別海域に現れるのもこの時期である。 
    2月の初めには流氷は千島列島の南端(北方四島)に達して、その一部は太平洋に流出を始める。 3月の初めか中旬には、流氷域が最大となって、オホーツク海の80%を覆ってしまうこともある。4月中旬には流氷は、オホーツク沿岸から去っていき、5月下旬にはオホーツク海から完全に氷がなくなる。 

    少し大業な数字を並べると・・、
    氷の厚さは、計算上、北海道沿岸では40〜50cm、オホーツク海では70〜80cmという。 
    因みに、オホーツク海の面積は153×10の4乗平方キロメートルと計算され、80%が厚さ 70〜80cmの海水に覆われるとなると、その量は、9×10の11乗立方メートルもの大量になるという。 
    毎冬これだけの氷を融かすのに必要な熱量は、極端な話、日本の原油輸入量の25年分にも相当するといわれる。
    ところで、流氷の状況の変化は早い・・、特に春の解氷期に著しいという。 
    1日のうちに見渡す限りの流氷原が流れ去ってしまったり、逆に青海原が一日のうちに流氷で覆い隠されてしまうことは珍しくない。 
    流氷の動きは速くても一時間に1kmか2kmくらいである。(風速の 2〜3%で動くと言われている)。

    流氷は近海漁業者にとっては厄介者であるともいわれるが・・?、 
    漁業は出来なくなるし、流氷から吹き付ける寒風は身を切り裂く、又、防波堤など護岸設備をも破壊する。 
    因みに知床半島の西岸の絶壁は流氷による侵食作用によって生成されたものといわれる。

    しかし流氷は漁民にとって貴重な「食」をもたらしてくれる大切な存在でもある。 
    流氷は植物プランクトンを大量に運んできて、春先、太陽光に当たるとこれが爆発的に増える。これによって、海底のエビやカニ、ホタテなどを栄養にして育つ。 
    又、これを餌に動物性プランクトン(北海で人気のクリオネはこの一種)も増え、この動物プランクトンを餌に北方の魚が集まり、オホーツク海は豊かな漁場となるのである。  毎年、冬になると北海道の沿岸に押し寄せるオホーツクの流氷は、北の自然の厳しさと、その営みの壮大さを堪能させてくれると同時に、豊富な食を運んできて呉れる。
    流氷の去った後は、壮大な漁場を約束してくれるのである。

    この流氷も近年、温暖化の影響を受けているといわれる。 
    オホーツク海では、年々、流氷の到着が遅くなっていて、ある機関の研究によると、50年後には流氷はすべて消えてしまうという予測もあるとか・・?。 影響で魚介類の漁獲高も激減し、漁業は大打撃をこうむるとも推測されているが・・。 


    快晴の朝、朝食前に散歩に出かけてみた・・。
    先ず、すぐ横に立派な建物が眼につく、「北海道立オホーツク流氷科学センター」とあった。 流氷に関することが学べる体感展示コーナー、流氷船ガリンコ号の特徴、厳寒体験室、展望室からの眺望・・、各々の施設があるらしい。
    海岸沿いに石を造形した公園がいい・・・、遥かに伸びている防波堤で早朝から多数の人が釣り糸を垂れている。 
    その先の海中タワーらしき物は「オホーツクタワー」と称し、海中階下の展望室は冬期は流氷の下の海と神秘的な流氷の観察が出来る。 流氷のない時期には回遊魚やタワーの下部に定着している魚介類の観察が出来るようだ。 
    又、防波堤の内側は国際船が入出できる大きな港であり、そして何といっても紋別を代表する観光の主役の「ガリンコ号」の停泊港でもある・・。

    「オホーツク海を襲う白い悪魔」と言われて、オホーツク海沿岸に住む者にとって流氷はやっかいな存在だった。 格好の漁場は厚い氷の下で海藻は引きちぎられ、魚場は無くなり漁港は傷つく。しかし、流氷がオホーツク海に多くの恩恵をもたらしていることは先に記した。 
    そして冬のオホーツク沿岸に押し寄せる海の邪魔者を、逆手に取った流氷観光ツアーは新たな財源をもたらしたのである。

    紋別市では、アラスカの油田開発用に試験的に作られた砕氷船を「ガリンコ号」と名付け、流氷の海へ乗り出し、流氷を観察する観光に打って出たのである。
    流氷観測には、紋別沖合約1kmのオホーツクタワーからでも、海底7.5mから流氷下のさまざまな生態の観測ができるが、4本の巨大なドリル型スクリュウをグルグル回しながら音をたてて流氷を砕きつつ、豪快に進む船からの眺めはまさに圧巻、壮観である。重厚な流氷をガリガり欠割りながら回転するスクリューは、アルキメディアンスクリューといって、まさに巨大なドリルが回転してる様は、これを見ただけでも乗船したかいがあるという。
    その流氷観光は、オホーツク海の流氷原を力強く進む「ガリンコ号」のユニークな姿と珍しさとが相まって、迫力ある流氷を間近に見れるクルージングは、冬の北海道の人気者になった。

    「流氷の海を体全体で感じたい、寒くても全然平気」という人はデッキから眺めるのも迫力があり、時折アザラシやオジロワシが姿を見せることもある。
    今は、ガリンコ号Ⅱが活躍中で、乗り場は海洋交流館の裏側、オホーツクタワーの傍にある。 前に働いていたガリンコ号(1号)は、岸壁のガリンコステーションから少し離れた陸の上に置かれていて、砕氷船の形や大きさ、スクリューの形が生で見られ良く判るという。
    紋別市は流氷渡来の地として、流氷研究国際都市を宣言し流氷の大切さを訴えている。


    紋別の温泉・・?、
    「紋別には温泉は有りますか・?」、「ハイ・この近くに天然温泉ではないが立派な施設がありますよ!」
    街のほぼ中心である国鉄廃止線になった紋別駅の跡地に、スーパーマーケットや海鮮・生鮮市場棟「オホーツク・海紋市場」と温浴施設やレストランなどがあった。 
    温泉は「湯けむり紋別・とっかりの湯」という・・。

    施設はまだ新しく綺麗に整っているようで、早速、「とっかりの湯」を訪れた。 磨かれた廊下の横に二十帖ほどの広い休憩室があった。 
    お湯の特徴としては、「お湯には紋別大山の森を通る伏流水を使用。遠赤外線を放射するブラックシリカ(神明石)でお湯を仕上げているといい「血液の循環を促進して新陳代謝を高めてくれる・・」とあった。
    因みに、センターの名前にもなっている「とっかり」とは、アイヌ語の浜ことばで「アザラシ」という意味だという、今でも、北海道の漁師たちはアザラシのことを「とっかり」と呼んでいる者もいるという。

    次回は、 「サロマ湖」


    小生、若年よりの『旅』の記録です。
    宜しかったらどうぞ・・。
    http://www.geocities.jp/orimasa2001/

    お勧め「流氷の本」(amazonキーワード:「紋別の流氷」)

    『流氷のくる街―オホーツク・紋別』 山口 福司
    『オホーツク流氷物語』 菊地 慶一
    『オホーツク氷岬紀行―流氷の海と58の灯台』 菊地 慶一
    ほか・・


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