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  • from: orimasaさん

    2008年11月27日 11時07分14秒

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    日本周遊紀行(65)室戸 「岬と最御崎寺」


    室戸崎灯台


    室戸崎へ・・、

    国道55は、いよいよ室戸岬を目指す・・、
    道路は「土佐浜海道」、「土佐東海道」とも称し、室戸への“V形の辺”を40kmほど左窓に太平洋を眺めながら、長い長い海岸沿いの道を南下する。 特にR493が分岐する東洋町・野根と言う集落を過ぎると、打ち寄せる波濤と山崖が車窓に迫り圧巻である。 しかし、沿道に集落、人家がなくなってしまいモノ悲しい雰囲気は否めない。延々と走ってようやく集落が現れた。佐喜浜の浦という集落だが、人の気配が全く無く過疎化が感じられる集落でもある。
    ここから先は急に道が細くなり、普通車のすれ違いもままならないほどである。アップダウンも激しく、所々で人家の真前(まんまえ)を通過するようにもなる。台風の備えであろうか、民家の前は石垣でしっかりガードしてあり、一種風物にもなっているとか。気がつくと新道らしきのと合流した、知らぬ間に旧道を走っていたようであるが、こらはこれで良しとする。
    暫くして「室戸岬」のバス停のある公園風のところに到着した。背後の山の中腹にある展望台に上って岬の先端を眺める。 真に雄大の極みである、例によって地球の丸さを感じる地点であるが・・。(実は視界が丸みを帯びて見えているにすぎない) 岬の先端からは大きな岩礁や奇岩が連なり無限の太平洋に延びていて、こちらも奇怪(きっかい)にして驚きの眺望である。 背後は山腹が覆っているように、岬は太平洋に突き出た山地がそのまま海に落ち込んでいる様子が分かる。
    渚の公園入口の道脇には、大きな土佐の志士「中岡慎太郎」の像があった。

    中岡慎太郎は、室戸岬半島の付け根に当たる北川村の村役場の付近で、庄屋の倅として生まれている。 7歳にして論語や孟子など四書を学び、14歳の時にはすでに塾の代講を務めるまでになっていた。その後、藩校・田野学館が開校した時、18歳で武市半平太と出会い、その人柄に惹かれた彼は24歳の時に半平太率いる土佐勤王党に参加、高知の城下へ出て行く。 26歳で土佐を脱藩、藩の庇護を離れ倒幕活動に奔走したが、大政奉還後に坂本龍馬と一緒のところを京・河原町近江屋で「見回り組」の刺客に襲われ暗殺されている。
    中岡慎太郎はじめ、土佐脱藩浪士の多くは志半ばで非業に倒れたが、その活躍は明治維新で土佐藩が薩摩・長州に次ぐ地位に立つ下地となった。 「中岡は、この世に2人といない智慧者ぢゃったが、竜馬先生はハンコを押すだけぢゃった・・」という著名氏の見方もあるとか、享年30歳。

    中岡慎太郎像の入口から海岸へ出ると、「乱礁遊歩道」とい長さ約3kmの散策道が延びている。太平洋の荒波に浸食された奇岩や岩礁が屹立し、ダイナミックな景観が堪能でき、付近にはタコの足のように気根が伸びる亜熱帯植物のアコウという木(天然記念物)が鬱蒼と繁る。


    最御崎寺の山門

    二十四霊場・最御崎寺へ・・、 
    山腹の上部に灯台と第24番の霊場が在るはずなので、急ぐことにしよう。 
    国道55を一旦岬の西側へ出て、標識に従って右折する。土佐湾が雄大に広がり、室戸港を眺めながら、急勾配の大きなヘアーピンカーブを数度曲がって、暫く行くと「最御崎寺」の参道入り口が右に在った。
    「第二十四番 最御崎寺(ほつみさきじ)」と書かれた石刻柱の横に、緩やかな参道が林の中に延びている。300m位行ったところで、左へUターンするかたちで山門へ出た。なるほど入り口側は寺院の裏手(北側)になるのだが、横を通り境内の南側(大洋側)へ一旦来て、それから本堂へ向かうようである。
    この寺院まで今では室戸スカイラインができて便利になったが、徒歩巡礼の場合は昔ながらの下の岬から急な山道を辛苦しながら登って山門に達する。 更には、阿波の最後の札所である薬王寺(23番)から、こちらの高知県最初の札所・最御崎寺へ達するのには、Vの字を描いた室戸半島の長い長い海岸線の道が続く。 特に宍喰町を過ぎてから室戸市の入木までは、雨宿りの場所もなく荒波が打ち寄せる四国でも一番の難所といわれ、最長の距離(約80km)と最難関である。 その名も最御崎寺は、「土佐・修行の道場」の一番目に当たる。 
    さて、山門を潜ると境内には沢山のお地蔵様が目に付く。参道左手に太子堂、 右手に古き貫禄の鐘楼堂が建つ。この寺院の鐘楼は、NHKの大晦日の除夜の鐘でも有名で、記念碑に昭和37年ラジオ、昭和53年ラジオ、昭和55年テレビ、平成元年ラジオ、平成13年テレビなどと記されている。 正面に大屋根・四柱造りの本堂、その手前に丸みの多宝塔があった。

    この地を訪れた大師は、この四国でも最も僻地の室戸岬を修行の地と定め、お寺を建立し、虚空蔵菩薩を刻んで本尊として安置したという。 岬 一帯は若き日の弘法大師が修行を積んだ場所といわれ、至るところに大師ゆかりの遺跡が残っているとも・・。 徒歩の遍路道近くに大師が修行した御蔵洞があり、この御洞の正面は「大空と大海」のみが望め、「空海」の名は、この大自然を黙視しながら「わが心空の如く、わが心海の如く」という境地を体験したことから付けた名前であるという。
    嵯峨天皇の時代(平安初期・九世紀初)、勅願により伽藍を建立し、室戸山・最御崎寺と号し、第24番の霊場に定められた。室町時代には土佐の安国寺に定められ、以後各武将の寄進により七堂伽藍も整う大寺院になった。当時の「安国寺」とは、足利尊氏・直義兄弟が、夢窓疎石(夢窓国師)の勧めにより、南北朝の戦死者の追善または国家安穏の祈祷場として、1338年から日本六十余州の国ごとに設営させた臨済宗の寺である。
     
    室戸山・最御崎寺の山門を出て、真南の一段低いところに基礎から丸型の白亜の室戸岬灯台があった。フェンスに囲まれ、やや草生したところに一棟孤高に建っている。 完全無人の灯台と思しきが、何故か上部に展望用であろうか・・?一周柵のテラスがあった。   
    明治32年(1899)の完成以来、休むことなく海の安全を守り続けている室戸灯台は、日本-の大きさを誇るという、直径2・6mのレンズは、光度190万力ンテラ、光遠距離は56kmと長い。 毎年7月20日の海の日と灯台祭りの日(11月1日の灯台記念日に最も近い日曜日)の2回、無料公開されているらしい。

    帰路は、室戸スカイラインを行く。屈曲した上下動の激しい道路だが、真っ赤なハイビスカスと亜熱帯特有の緑濃き樹林が気持ちを癒してくれる。山上より室戸岬港が遠望でき長い防波堤が印象的である。
    室戸半島の東側は手付かずの無味な海岸線が延々と連続するが、こちら反対側の西海岸は岬の近場に室戸港をはじめ人々の息吹がある。 暫く、スカイラインの山腹を走ったあとは、室戸の市街地へ出た。戸室でも比較的賑やかな交差点である、法務局や郵便局、商店街など室戸市の目抜き通りを静かに抜けて、R55を今度は北上することになる。
    途中、国道横に大きな鯨の剥製か模型が目に付いたので立ち寄ってみた。「道の駅・キラメッセ室戸」といい、鯨館・鯨の郷でもある。 室戸は捕鯨で栄えた歴史があり、今でも「ホイール・ウォッチング」が盛んなところである。ここには鯨の資料館があり、鯨の生態、勢子舟(せこふね・捕鯨では最も重要な役目を持ち、網の中にいれ易いようにクジラを追ったり、網の中に入ったクジラに銛(もり)を打ち込んでクジラを殺す舟である)、捕鯨図、鯨組の羽織など古式捕鯨を展示し、全長10mのマッコウクジラとザトウクジラの模型が対で並ぶ。レストランでは鯨の刺身やステーキが楽しめるという。

    室戸市吉良川町という集落には所々特異な建物が目に付く。
    蔵のような垂直の白い漆喰壁に、数段の軒瓦風のものが周囲に付帯している。この瓦は水切瓦と云い、漆喰は土佐地方独特の土佐漆喰の壁という。 台風銀座といわれるこの地方、気候と適合するような建築法をあみ出したらしい。 雨の他に風対策も必須で、土佐漆喰の厚塗りで固めるのもその一法だが、やはり農民達の住まいは石垣を張り巡らした住居が目立つ。石の材料は当地産の丸石、平石を積重ね、空積(からずみ・セメントなどの接合剤を用いないで、石を積み上げること)のものもあるが、練積(れんずみ・接合剤を用いる)が多く、それが家々を防御するように設置されている。 いわゆる石垣住居は室戸半島の東西地域の風物にもなっている。
    この土佐漆喰と水切瓦建築は、土佐の厳しい気候に適合させた見事な意匠であり、又この町の代表的町並景観として国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

    次回は後免・奈半利(ごめんなはれ・?)・・、



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