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  • from: orimasaさん

    2009年05月16日 09時49分05秒

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    日本周遊紀行(188) 米子 「桃太郎伝説」

    .

    前回からのつづきで・・、
    これら楽楽福神社には、鬼を退治したと云う鬼退治伝説が伝えられていることは前述した。 

    そして位置がずれてズーッと南下したところ、山陽地区の広島県府中市という処にはに南宮神社という古社があり、祭神として孝霊天皇と吉備津彦を祀っているという。 吉備津彦は、孝霊天皇の皇子とされている。 
    そして、そのすぐ東隣町の広島県新市町には、備後一の宮とされる「吉備津神社」が鎮座し、チョットややこしいが、その本社は岡山県岡山市にある備中・一の宮の吉備津神社(岡山市吉備)である。 又、又、備前国一宮(岡山市備前一の宮)にも分祀の吉備津彦神社が在り、併せて三備一の宮と称している。 
    因みに、備中、備前の両神は直線距離にしてわずか数㎞しか離れていないが、地域合併を繰り返した結果、備中の一部を含むようになった為に一つの都市(岡山市)に二つの一宮があるという、珍現象が起きてしまった。 何れも、祭神は孝霊天皇及びその皇子を祭っている。
    その他、周辺及び四国にも同様の祭神を祀る支社、分社が在るといい、この辺りは、所謂、桃太郎にまつわる伝説地の本場でもある。
    これら吉備津神社には、共通して温羅伝説(うらでんせつ)なるものが有るという。 

    『 吉備の国に、空から百済の王子が舞い降りた。 名を温羅と言い、髪は赤く身の丈4メートル、性格はきわめて凶暴であったため、鬼と言われた。 たまりかねた人々は大和朝廷にその暴状を訴える。 朝廷から命を受けた「吉備津彦命」は激しい攻防の末、温羅を捕らえその首をはねた。 』 

    これが今に伝えられる吉備津神社(岡山県吉備津)の「桃太郎伝説」であり、又、吉備津彦命は桃太郎のモデルとも言われている。

    お伽噺の桃太郎は、イヌ・サル・キジの三人の家来がいるが、イヌ=犬飼武(いぬかいのたける)、キジ=鳥取部(ととりべ)、サル=楽楽森彦(ささもりひこ)が当てられたものと云われている。 それぞれ当時の地域・部族の集団で、軍事色が強かったという。 
    「犬飼氏」は、実際に犬を集団で戦闘に使用していたらくしい。
    「鳥取部」は、大和朝廷が諸国に鳥類を捕らえさせ、これを税として納めるように命じていたという。 所謂、狩猟民族の一団としての色彩をもっていた、これが生じて今の「鳥取県」になったとも言われる。
    「楽楽森彦」は、「楽々福神社」の元であり、これは戦いの前線基地として、伯耆の国に置かれたとされる。 
    イヌ・サル・キジについては一種の物語的コジツケ・・?であるとしても、桃太郎がイヌ・サル・キジを引き連れて鬼を退治した物語は、吉備津彦命である孝霊天皇又はその皇子が吉備の国から北部の伯耆の国方面へ遠征して、巨大なものを征服せんとしていたことが伺えるのである。


    さて、話の方向がチョット変わるが、中国地方の山系には古来より砂鉄を産したといわれる。 江戸期・藩政時代には鳥取藩は、出雲と並んで明治以前の頃まで日本の製鉄の大きな担い手であった。 元より、出雲の国は古代より大陸との流通が盛んであり、稲作と同時に鉄器の文明が渡来していたことは承知である。
    朝鮮半島では既に製鉄がはじまり、それを鉄の薄い板にした物を日本列島、特に出雲地方の人々が輸入する世の中になっていたのである。 この時期をもって田畑の灌漑が進み、普及し、日本人の生活様式一大変化、革命が起こるのである。 そして、鉄を入手できる者が豪族、大王になる資格を得ることにもなる。 
    出雲地方は、その鉄としての素材を産出する国だったのである。

    楽楽福神社なるものは、鳥取県西部を南北に流れる日野川に沿って分布している。
    神代の古代より、この日野川及び周辺河川は砂鉄の採れる川なのである。 スサノオの八俣大蛇伝説が伝えている古事記の「肥の川」や日本書紀の「簸の川」は、鳥取県のこの日野川である可能性が大きいといわれる。
    楽楽福神社にまつわる「鬼」なるものは、製鉄をつかさどる民のことで、「ささ」は砂鉄のことであり、「ふく」は「吹く」に通じ、製鉄炉への送風を意味する。
    いずれにもせよ「楽楽福」の意味を、このように製鉄に関するものと解釈すると、吉備(大和朝廷)の勢力によって、出雲から鉄に関する一切を奪ったというように解釈できる。
    そう考えると、楽楽福神社にまつわる鬼退治の話、桃太郎伝説は砂鉄資源を奪い合う出雲と吉備の紛争であると考えることが出来るのである。
    詰まるところ、大和朝廷が出雲王国の鉄資源及び製法を力ずくで奪った事になる。

    出雲伝説で、スサノオの八俣大蛇退治で体内から「天叢雲剣」(あめのむらくものつるぎ・草薙の剣)を取り出したが、八俣大蛇は日野川を中心とした各河川流域のことで、天叢雲剣は鉄資源、製法のことであったと考えられる。
    記紀には、八俣大蛇のその姿は八つの頭と八つの尾を持ち、八つの谷と八つの峰に跨る(またがる)程巨大な体をしており、その背には苔や杉、檜を生やし、腹は常に血を流してただれ、全部で16あるその目はまるでホオズキのように真っ赤であると言われている。
    これらの伝説は、何れも砂鉄を産する産地、地域を指していて、「真っ赤な目」は砂鉄そのもの指しているふうに想像できる。 このことは、前述した出雲地方の「斐伊川」にも、全く同様に共通、類似しているのである。 
    思えば、日野川と斐伊川は呼称も類似している。

    次回は、「倭国大乱」

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