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  • from: orimasaさん

    2009年12月04日 11時36分23秒

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    日本周遊紀行(32)青森 「青森と善知鳥」


      青森市発祥の地:「善知鳥神社」


    日本周遊紀行(32)青森 「青森と善知鳥」


    程なくして浅虫温泉に着いた。

    青森・浅虫温泉にはNTT保養所「善知鳥荘」がある。
    小生のお上(かみ)さんがNTTの職員ということで、そのツテでこの宿を利用させてもらうのだが。 
    「某日、お願いしたいのですが、 ところでお宅の“呼名”は何て云うですか・・?」
    「はい、こちらは『うとう荘』と申します」
    善知鳥(うとう)に関する最初のやり取りであった。 

    「善知鳥」とは始めて見る文字であって、当然、呼名も意味も知る由もない。
    “ゼンチドリ“又は”ぜんちちょう”などと勝手に想像していたが、宿の主人に教わってパソコンの文字を叩くと、ちゃんと 「善知鳥」と出てきたのである。 
    小生の薄学さに些か赤面する次第であるが。 


    ところで、青森市の名称の前身は善知鳥村から発しているらしい。

    「善知鳥」は本来は、チドリ目・ウミスズメ科の海鳥である。 
    又、「ウトウ」とは、アイヌ語で”突起”という意味もあるらしいが。 

    「善知鳥」は鳥の名前で海鳥の一種であり、大きさはハトぐらいであるそうだ。 
    背面は灰黒色、腹部は白色、顔には2条の白毛が垂れる、北方海洋の島で繁殖し、冬期本州の海上にまで南下する渡り鳥でもある。 
    彼らの狩りは群れで行われ、集団で潜水し小魚の群れを一ヶ所に追い込み捕食する。 
    営巣場所は天敵に襲われにくい崖の岩棚などを好み、地面に穴を掘って生活するという。 「ウトウ」は北海道・天売島は有名である。(後述)



    現在の「青森」は、江戸時代の始め頃までは善知鳥(うとう)村と言われ、戸数わずか60戸ほどの小さな漁村にすぎなかった。 
    「善知鳥村」がなぜにそう呼ばれるようになったかは謎であった。

    善知鳥の語源については、鳥のウトウから採られたと言う説や、アイヌ語の「ウトウ(突起)」に由来するという説などがあるが、はっきりとは分かっていないという。 
    津軽藩の学者により「善知鳥の図」が発見され、その姿が善知鳥と一致したことで、善知鳥が生息していた珍しい場所であった事から、その名の由来が起こったとも言われる。 
    ただ、昔は善知鳥・”うとう”などという難解な呼び名は無かったであろう・・、何故、この様な名前になったのか・・?。

    「善知鳥 」と書いて「うとう」と読むのは非常に難しく、どうやら当て字ではないかと推測するのみであった。
    しかし、それなりの理由もあった。中世の頃に、大発生し百姓達を苦しめたと言われている智鳥(知鳥・ちどり)の話に由来するという説がある。



    悪いチドリ、善いチドリ」から・・、

    「大昔、チドリに似た鳥が、苦心して耕作した農作物を収穫期になると飛んできて食い荒らす、これは悪いチドリである(悪知鳥)。 一方、同じくチドリに似た鳥は海に居て海の物を食し、我々には悪さをしない、そればかりか大群の魚が岸に近付いた事を教えてくれる。 こちらは善いチドリだ(善知鳥)だ、お陰で村は大漁で栄えた」
    そして善知鳥が群れる村、即ち、「善知鳥村」になったする。


    青森市民には馴染みの深い青森市安方に「善知鳥神社」が鎮座している。
    この神社に関連した伝承が、「善知鳥」を「うとう」と読ませているようでもあり、ちなみに、善知鳥は「青森市の鳥」にも指定されているという。

    戦国期の大浦氏の時代までは、善知鳥村は鄙びた漁村であった。
    やがて江戸初期、弘前藩二代藩主・津軽信枚(つがる のぶひら)の時代、港町青森の建設が始まる。 森山弥七郎(1574〜1666年、墓は油川にある)が信枚の命により開港奉行となって、大浜(油川:青森市より北西7〜8kmの地点、青森開港以前は大浜と呼ばれ外ケ浜第一の湊で、近江から移住した港商人の町でもあった)に代わる湊として、この善知鳥の地に港づくりを始める。 
    その後藩は、善知鳥村を青森村と改称し開港している。 



    「青森」の地名は、漁師達が目印にしていた小高い丘に「青い森」が在り、この森が豊かな海の恵みを与えてくれる。
    この「青い森」が由来したとされ、1625年に「村」となったのが始まりとされている。

    「善知鳥神社」は青森駅東500mの位置、青森市街の中心地にある神社で「善知鳥村発祥の地」とされる。
    御祭神は、宗像三女神(多起理毘売命:タギリヒメ,多岐都比売命:タギツヒメ,市寸嶋比売命:イチキシマヒメ)で、神社発行の由緒書によれば,「青森市が善知鳥村と言われていた頃,奥州陸奥国外ヶ浜鎮護の神として創建年代は平安期初頭、都より「鳥頭中納言安方」が此の北国に左遷された折、此の地を治め,神願霊験あらたかな神々を祭った事に由来する」という。

    天皇の怒りに触れた都人「鳥頭(うとう)中納言安方」が、都からこの地に流されて来て草屋を造り住み着いた。 
    都から赦免の知らせの届くのを待ちわびていたが、病にかかりこの世を去り、村人達は哀れんで手厚く葬ったという。 
    間もなくして墓の辺りに、見たこともない鳥が飛んできて「うとう、うとう」と泣き叫び、村人達は安方の一念が、この不思議な鳥になったのだと同情し、安方の墓に祠を建てて、その霊を慰めたという。
    これが「善知鳥神社」の始まりであるといい、この鳥を善知鳥と名付けたという。

    宗像三女神(むなかたさんじょじん)は、宗像大社(福岡県宗像市の玄界灘)に祀られている三柱の女神の総称であり、女神はスサノオの子とされる。
    朝鮮半島への海上交通の平安を守護する玄界灘の神として、大和朝廷によって古くから重視された神々である。

    陸奥・青森では津軽海峡の海上交通、海上平安を守護する神として勧請されたものと解釈する。

    次回、「野辺地」 
    尚、浅虫温泉については、「温泉と観光(6)」で記載します。

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