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  • from: orimasaさん

    2009年12月08日 11時02分07秒

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    日本周遊紀行(35)脇野沢、佐井 「本州天辺の村」



    日本周遊紀行(35)脇野沢、佐井 「本州天辺の村」


    川内」あたりで大粒の雨が風をともなってやってきた。
    これから「脇野沢」から仏ヶ浦へ向かうつもりだが、この間は激しいヘヤーピンカーブの山岳道路だ。 
    風雨がやや強くなっているこの悪天候でどうか・・チョット思案したが、相手は四輪駆動車だ・・ママヨ!。

    脇野沢へ向かう。
    海から吹き付ける風雨が強くて見通し悪く、走り難い。


    下北半島の形は、どうしても「斧・まさかり」に形容される。 
    その突き出た下北半島の「まさかり」の刃の下(南方)の部分に当たるのが「脇野沢」であり、上の部分(北方)がこれから向かう「大間」である。 


    手付かずの自然が数多く残り、霊場・恐山や点在する鄙びた温泉、夜の海峡にきらめく漁火。海も、山も、大地も、まさしく「最果て、地の果て」に来たことを強く感じるところである。


    脇野沢村の村落は、この地、脇野沢地域と西側の九艘泊(くそうどまり)の港の二箇所に分かれる。
    九艘泊の港は、源頼朝に追われた義経一行の船が九艘、嵐を避けるために停泊したのが地名の由来と言われているが・・?。 
    九艘泊は、脇野沢より地方道で結ばれてはいるが、ここより先は道は無い。
    又、吹雪の場合は通行止めにもなり、正に地の果て、「クソ止まり」になってしまうという。


    自然一杯の地・・?、自然のみの地は海の幸も豊富であろうが、当地は、天然記念物の北限のニホンサルやニホンカモシカの生息地で有名である。 
    その北限のニホンサルが、今、脇野沢村民にとって大きな問題を抱えるようになっているとか・・?。


    それは、行政、地域で保護に努めてきたお陰で相当数に増えているといい、その為に最近では農作物の被害が拡大し、尚且つ、村民を威嚇し人的被害も出ているという。
    これらのサルを有害サルと特定し、認定されれば捕獲に乗り出すらしい、当然、動物を愛護する人々からは、「可愛そうだ・・!」という反対苦情が村には寄せられているらしいが。 
    村としては過去に、いろんな施策を講じてもきたらしいが、果たして、村当局はどんな結論を出すのか、他人事ながら、興味が尽きない。




    海峡ラインと佐井・・、

    その通称「海峡ライン」と呼ばれているのが国道338号線である。
    脇野沢村を過ぎると深い原生林の中へ突き進むといった感じである。 
    見ると津軽半島の平館あたりが、とりわけ近くに眺望でき、そのためか此処を挟む海峡を「平館海峡」と命名している。
    その海峡の向こう平館あたりからこちら側を見た風景は、断崖絶壁の壁であった所である。 
    国道338のこの区間は、海沿いの山岳路とも言うべきもので、尾根を越え谷を渡って進んで行く。 
    「海峡ライン」は、とにかく上下動の激しい急カーブ、急坂の連続であった。



    下北半島を「斧・マサカリ」に喩えた話であるが・・、


    改めて下北半島の地図を平面的に見てみると、まさしく「斧」に見える形状である。 
    注目したいのは刃の部分である、現在走っている、所謂、海峡ロードである山域は海岸より水平で見るとホンノ僅かの距離である。 
    つまり、海岸線より僅かの地点を5〜600mの標高の山稜が、南北に走っているのであり、そこから流れ出る河川、下北半島最深部の川は西側海岸に向っては急流の短い谷となって駆け下りているのである。 
    これら、斧の「刃・マサカリ」の部分にあたる地域は、実は立体的・三次元的に見ても斧の刃そのものなのである。




    しばらくして、まだ海面よりかなり高目を走っているのに、「仏ヶ浦入り口駐車場」とオンボロ看板があった。
    仏ヶ浦」は、霊が宿るという「恐山」の冥土の入口に当たるとも言われる。 
    この名所・仏ヶ浦の詳細については後述するので、お楽しみに・・!!。

    さて、海峡ラインも北部に到って、ようやく海岸に出る。

    本州てっぺんの村と言われる「佐井村」である。
    マサカリ状の下北半島の刃の部分の海岸線が凡そ40kmにもなるが、その内、秘境・仏ヶ浦を含めた28kmを占める南北に細長い村である。 
    山が海岸線まで迫り、村面積の多くを恐山山地を構成する山岳が占めていて、海岸線沿いの細い平地部分にのみ集落が存在し、古くは蝦夷の定住集落も存在していたと見られている。
    現在は海岸線利用した、ウニ・鮭・ワカメなどの沿岸漁業中心の村であるが、江戸時代には南部藩領で「南部ヒバ」の特産地及び積出し港、北前船の中継港として、また、蝦夷地への渡船港として栄えたという。


    ヒバの木」は針葉樹・ヒノキ科の一種で、北海道南部から四国、九州にかけて分布するが、天然林は「青森ヒバ」が全国的に有名である。 
    東京方面で手に入るのは青森ヒバが多く、関西では能登ヒバ(能登アテとも云うらしい)が多いという。 ヒバの特長は、第一に虫や木材腐食菌に強いこと。 


    昔から「ヒバ普請の家には蚊が3年は寄り付かない」といわれ、特に白蟻に対する強さは他の樹種には見られないほどであるという。
    これは防蟻に有効な成分を含んでいるためで、シロアリが青森ヒバを食べた場合死滅するともいう。 
    ヒバは殺菌性のあるヒノキチオールの含有量が多く、腐りにくく、耐水性があって湿気にも強い。
    ヒバの薬効製は、皮膚病の薬(アトピー性皮膚炎)、水虫の治療薬、養毛剤などの医薬品、化粧品など各種抗菌剤があるとされ、ヒバ油は芳香剤として、部屋、浴室の壁板、 浴槽アロマテラピーなどに利用されるという。


    特に、北方型の青森ヒバ(「ヒノキアスナロ」とも云うらしい)の美しい木肌、高貴な香り、そして世界中探しても 青森ヒバのような強い抗菌力を持つ木は他には無いと言われる。 
    東北北部、特に、下北半島・恐山一体は全山南部ヒバ(ヒノキアスナロ)の原生林で、木曾ひのき、秋田杉とならんで古くから日本三大美林の名で知られている。

    下北の民族誌には、 『ヒバの花盛りは、雪のしんしんと降り積もる一、ニ月の頃でございます。雪とともに空中高く舞い上がって実を結び、地上の雪に根づいて、百年、それは生命の極限を越えてやっと成木するという、北国特有の銘木でございます。』 と記されている。


    ヒバの木は年々減少し、近年、保護育成のため伐採は計画的に行われているといい、難しいとされる青森ヒバの植林も其々の工夫とアイディアで順調だというが、成木になるには、2〜300年もかかるという。



    その佐井港は、江戸時代には東北・北海道と京・大阪、江戸を結ぶ北前船の中継地として大いに繁栄した。
    その交流を通じて文化や芸能が伝わり、中でも歌舞伎は、この地の人々の心身に染み込んだ故郷文化として残されているという。 
    上方の地回り役者が伝え、漁師によって伝承されてきた漁村歌舞伎で知られる「福浦歌舞伎」は、全国でも珍しいもので県の無形民俗文化財に指定されているという。


    次は、 いよいよ本州最北端「大間」です



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