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  • from: orimasaさん

    2010年03月15日 10時49分22秒

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    日本周遊紀行(64)根室 「納沙布岬・北方領土」

    【北海道・太平洋道】 根室⇒⇒⇒⇒函館




    日本の本土最東端・「納沙布岬」(諸島を除く)


    日本周遊紀行(64)根室 「納沙布岬・北方領土」


    歯舞の集落を抜けると、周囲の景色はただっ広い草原の海岸に変わる。
    そして間もなく「納沙布岬」へ着いた。 

    先般、カミさんと訪れた時は風雨が激しく、車から一歩も出れない状態で早々に退散し、ホゾを咬む(臍を噬カむ:悔いること。後悔しても及ばないこと)想いであった。 たが、本日は薄曇りのマズマズの天候に恵まれていたのは幸いであり、北方の島もボンヤリながら見通せる事が出来た。 

    納沙布岬は北緯43度22分、東経145度49分に位置する「本土最東端の地」で、日本で一番早い日の出が見ることができるため、(実際は緯度が高いため日本一早いわけではない。 千葉銚子の犬吠埼である)正月元日の早朝はお目当ての人々で相当な混雑が有るとか。 

    岬の先端には道内最古の灯台が立ち、周辺は北方領土への思いを込めて造られた看板や石碑等が多く目につく。 
    また、岬の手前には「望郷の岬公園」というのが在って、「望郷の家・北方館」などの施設のほかモニュメントなどもある。


    前の稚内の項でも記したが、「ノシャップ」というのはアイヌの意味で「岬が顎(あご)のように突き出したところ」という意味らしい。 地図を見ると、下顎に根室半島(納沙布)、上顎に知床半島で根室海峡が大きく口を開き、千島・北方諸島を今にも噛み付き、飲み込もうとしているようである。 
    「北方領土は俺のもんだ・・!!」 と言いた気(げ)である。


    北方領土の事は先にも記したが、海のすぐ向こうには現在ロシア連邦の実効支配が続いている「歯舞諸島」が望まれる。 歯舞諸島、貝殻島まではわずか3.7kmしか離れておらず、ロシアの巡視艇が海上に頻繁に姿を現すという。 

    またこの辺りの海域は、日本海域とロシア海域が共に200海里(※)を取る事が出来ない海域の為、岬から歯舞諸島との間に日・露中間線(事実上の国境線)としてのブイがあるらしい。しかし、日本の漁船は生活のためしばしばこの境界を偶然または故意に越えてしまい、無許可で操業する結果となっていて、ロシア側に拿捕される事件が度々起こっているのも事実である。


    (※)200海里とは、排他的経済水域(EEZ, exclusive economic zone)のことで、国連海洋法条約に基づいて設定される経済的な主権がおよぶ水域のことを指す。沿岸国は国連海洋法条約に基づいた国内法を制定することで自国の沿岸から200海里(約370km、1海里=1852m)の範囲内の水産資源および鉱物資源などの非生物資源の探査と開発に関する権利を得られる代わり、資源の管理や海洋汚染防止の義務を負うことになる。



    北方領土」の返還を祈念するために作られた高さ13m、底辺の長さ35mのシンボル像がある。 その像の下には「祈りの火」と呼ばれる点火灯台があるという。 
    沖縄県波照間島(八重山諸島にある日本最南端の有人島、人口は600人弱)から採火したもので、全国の青年団によるキャラバン隊の手により運ばれたものという。

    1972年5月に、沖縄がアメリカ占領下から日本復帰へとげた。
    日本の最南端に位置する島の波照間で、返還運動が全国に広がる象徴的意味合いを込め、又、その願いをこめて採火したものという。 
    その時のカンテラが種火とともに北方館に展示されている。 
    当初は、「全国民の北方領土返還に寄せる固い決意を返還実現の日まで燃やし続けよう」という事で24時間点灯されていたが、現在は燃料(ガス)経費の節約のため、北方館の開館時間(9:00〜17:00)のみ火が灯されているという。


    終戦直後、旧ソ連が不法に占拠した北方領土は、60年以上過ぎた今も日本に返還されていない。
    日露間の交渉は今現在暗礁に乗り上げていて、この先いっこうに光がさしてこないのが現状である。
    稚内の項でも記したが、ソ連軍は昭和20年9月5日頃までに北方領土を占領した。 無論、終戦宣言の以降のことである。 
    同年8月15日時点(終戦日)での北方領土の日本人島民は3120世帯、17300人を数え、7割以上が昭和元年以前から島に住むに人々であったという。 
    39校あった国民学校(小学校)などへ子供が通い、千島列島の北端の島には水産会社の社員2500人がいた。 
    ソ連軍が四島に侵攻した時、住んでいた一部の島民は着のみ着のまま北海道へ脱出したが、島に残った他の人々はシベリヤや樺太に抑留され強制労働をさせられた。 
    其の後、一部は昭和24年頃までに日本へ強制退去させられたという。

    北方領土は我が国固有の領土であるが、現在はロシアの不法占拠の下にあるため現状は判らない部分もあるが、北方四島の規模、大きさは択捉島は3,139平方キロで鳥取県とほぼ同じ、国後島は1,500平方キロで沖縄本島とほぼ同じ、 色丹島は255平方キロで隠岐の島本島とほぼ同じ、 歯舞群島、つまり水晶島、秋勇留島、勇留島、志発島、多楽島、貝殻島等で構成されていて総面積は101.平方キロと小笠原諸島とほぼ同じである。 
    北方四島の総面積5000平方キロで福岡県より広く、沖縄県の2倍以上あるという。

    地理的には、平均気温は8月で16度と涼しく北岸はオホーツク海、南岸の太平洋は千島海流(親潮)と黒潮の交流店で世界の三大漁場の一つともいわれ、サケ、マス、タラ、カニの宝庫ともいう。



    【追記】

    2006年8月16日、水晶島付近の海域で操業中の、根室市花咲港所属のカニかご漁船がロシア国境警備局の警備艇により追跡され、貝殻島付近で銃撃・拿捕され、乗組員1人が死亡する事件が発生した。 日本政府はロシア当局に対し、北方領土は日本固有の領土であるとの前提に立って「日本領海内で起こった銃撃・拿捕事件であり、到底容認できない」と抗議した。 しかし、この海域はロシア側の実効支配海域であるため、ロシア側にとっては国境侵犯密漁事件としており、日本側の「この海域は日本領海」とする抗議とは根本的な点で相容れないために今回の問題をさらに複雑にしている。 紛争自体は致し方ないとして、ロシア側に少なくと「未必の故意」(みひつのこい:実害の発生を積極的に希望ないしは意図するものではないが、自分の行為により結果として実害が発生してもかまわないという行為者の心理状態)としての殺意はあったと考えられ、重大事件にしては日本政府の反応がいかにも鈍い。

    因みに、アメリカの漁船が同じようにロシアに拿捕、銃撃され殺されていたらどうなっているか。 アメリカ政府の対応は日本政府とはまったく違っていただろう。 その相手との力関係が如実に現れるのが外交力、国力であり、戦力という背景なのかも知れない。
    いずれにしても、アメリカに日本の国自体を守ってもらおうという受身の意識が、独立国としての自立心、自尊心を弱め、アメリカの傘を借りなければ力のある外国に対抗できないという状況になっている。

    今後の日本政府のロシアに対する迅速かつ的確な対応を期待したいのと同時に、周辺の怪しげな国々を見聞きするにつけ「日本人、日本国はどうあるべきか・・!」を真剣に考え、再構築しなければならない時期が到来しているようにも思われてならないのである。


    次回は、根室のアイヌ民族



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