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  • from: orimasaさん

    2011年03月09日 07時55分00秒

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    日本周遊紀行(94)宇野 「直島」

    .



     日本周遊紀行(94)宇野 「直島」   、




    宇野港の正面に位置する「直島」は、我が青春の1ページに残る・・、

    さて、国道2号線より「児島湾大橋」を渡り、湾岸をかすめて宇野港へ向かっている。
    大橋から児島湾沿いに県道45号(岡山―玉野線)を行くと、微かに望める対岸より一直線にこちらに向って伸びる大橋が目に付いた・・?が、左右に工作物らしいのが広がっていて橋ではなさそうなのである。 どうも此れは堰堤らしい。

    ここを境に海面の色や岸辺の状況が異なるようにも感じを受けたのはそのせいであった。
    そう、ここはすでに「児島湖」で淡水湖らしい。
    これだけ陸に入り組んで接している湾海は、常識的には汽水湖のはずであるが、この堤を境に半ば強制的に淡水化されてしまったらしい。
    しかも、現在の児島湖は岡山市西部を流れる笹ヶ瀬川、倉敷市から流れる倉敷川などの水が生活雑水も混じって放流され、相当汚れた水になっている。 

    すでに感覚的にも許容限度を越えており、負のイメージが湖周地域を覆っていて、日本でも最も水質汚染の激しい湖沼の一つとなっているらしい。 
    現在、湖沼水質保全特別措置法指定湖沼にもなっているという。 

    元々、この灘崎町(現岡山市)は倉敷南部の所謂、岡山平野といわれる南部地域は瀬戸内海の浅瀬が広がる海であって、その隔てられた向かいの大島が「吉備児島」(現玉野市、倉敷南部)といわれた。 
    海域が浅瀬だったため容易に干拓が行はれ、既に室町時代のころには埋め立てによる新田開発が始まったともいう。 
    そして江戸期には、吉備児島は陸続きの半島となり、更に戦後の昭和期には国家事業として干拓が進められ、児島湾の一部を干拓堤防で閉め切って灌漑用水とし児島湖が完成したという。

    しかし、この干拓地は低湿地のため排水が完全にはされず水質汚濁の要因にもなり、又、現在は減反の時代でもあって、干拓農地は重荷になっているのが実状といわれる。
    堰堤には完成記念碑があり、昭和天皇の歌碑もある。


    『 海原を せきし堤に たちて見れば  
           しほならぬうみに かはりつつあり
     』 昭和天皇 詠歌  


    長い、尾坂トンネルを抜けると県道22号線となり、やがてJR宇野線と真近に並行しながら南下すると行き着くところが宇野の街である。 
    あまり往来する人もないアーケードの商店街を更に進むと、洒落た赤い三角屋根の宇野駅であった。

    当然ながら40数年前の昔の駅舎とは大部違っていることだろう。 
    駅舎を横目に見ながら、更にゆっくり前進させると、やがて大きな埠頭にでて、ここで行き止まりである。 むろん岸壁には全く線路の面影は無い。

    かっては宇野駅から線路が岸壁端まで在って、接岸された連絡船内まで延びていた。 そう、ここは北の青森駅の「青函連絡鉄道」同様、西国唯一の四国・高松を結ぶ国道フェリー「宇高連絡鉄道」の埠頭ターミナルであった。 

    当時の国鉄時代の鉄道車両を積載した岸壁は今は瀬戸大橋の開通とともに廃止され、普通の埠頭に改修された。
    そして、目の前に大きく横たわる「直島」、「高松」へのフェリー埠頭になっている。 
    現在、直島に向かう船はこの宇野港と更に、直島から香川・高松港へ連絡している。
    この便は今も昔も変わらないようである。

    小生とって、宇野港、直島そして高松は、青春の一ページを飾った懐かしい土地柄である。


    20代後半(昭和43年)、品川白煉瓦(製鉄、非鉄精錬に要する耐火炉材のメーカー)の東京本社に勤務していた。 
    業務上、香川県・直島の三菱金属精錬へ銅溶解炉建設のため、凡そ1年間の出張勤務を命ぜられた。東京から直島までの行程は東海道本線、山陽本線の「寝台専用列車・瀬戸」か、新幹線で新大阪(当時は新幹線は東京⇔新大阪のみ)を乗り換え山陽本線にて岡山、宇野に達するかの何れかで、宇野からは乗合船(フェリー)で島へ渡ったものである。 
    殆どは、全室個室の「走るホテル」と言われた寝台専用列車・「瀬戸」を利用し、東京駅を22時前後発で、終着宇野へは翌朝の7〜8時頃の到着であった。
    宇野は、列車や乗合船を待つ間や休日には遊興、買い物等でブラブラした街であった。
    直島までの乗合船は、「宮之浦」という港を出入りしていて、勤務する為の宿屋がこの港の上部、見晴らしの良いところに在った。

    記憶に残るのは、朝6時頃の一番船が出る頃、船長が好きだったのかどうか定かではないが、船から当時、流行(はやり)の「長崎ブルース」(青江 ミナ)や「ブルーライト・ヨコハマ」(いしだ あゆみ)の曲を時折、結構大きな音量で流していたことであり、それがハッキリ宿屋の部屋まで達していたことである。 
    朝の目覚めの時間帯であったので、さして苦にはならなかったけど、早朝の頃に夜のムーディーな曲を流す不思議さと、連日、聞かされたため知らぬ間に歌詞を覚えてしまった事であった。
    そして、給料日の後は、チョット贅沢に高松まで繰り出して遊興を楽しんだものであった。
    今の宇野港は、昔の面影は全く無いのは当然ながら、記憶の方も彼方へ消し去っていたようである。

    又、3億円強奪事件が発生したのもこの頃であった。
    「昭和43年12月10日午前9時30分頃、東芝府中工場のボーナス3億円(実際には2億9434万1500円)を積んだ日本信託銀行・国分寺支店の現金輸送車が、ニセ白バイの警官に現金輸送車ごと盗まれた。日本史上はじまって以来の巨額強奪事件で、3億円は今の貨幣価値でいっても30億円近い金額であり、昭和63年同日、民事上の時効が発生、今も未解決である。」



    「直島」は、岡山県・玉野市(宇野)の目の前に在り、当然、経済、文化、社会の面では岡山県との結びつきが強い。 しかしながら行政上は讃岐・香川県に属しているらしい。 

    江戸期、直島諸島と「小豆島」は、その海上交通上の重要性から徳川氏の直轄領となって讃岐国に移し替えられ、明治維新後は香川県に属したまま今日に至っているという。
    また、保元の乱(平安期1156年)で敗れた崇徳上皇(すとくじょうこう:讃岐・金毘羅宮に大物主神:おおものぬしのかみと共に同祀)が讃岐へ流される際に、一時、四国上陸を拒否され、三年間を直島の泊ヶ浦(積浦)で過ごしたとされてる。 

    島内各地に上皇ゆかりの地名や名所があり、直島という島名自体も島民の純朴さ、素直さを賞賛して上皇が命名したという言い伝えがある。
    直島村は大正期、三菱鉱業の打診した銅製錬所を受け入れ(現、三菱マテリアル)、煙害、公害問題を発生させながらも、三菱の企業城下町として一気に発展し、人口増加と豊かな税源等で香川県内でも有数の豊かな生活が手に入ったという。
    思い出の地「直島」へ渡って、当時の小生の足跡を辿ってみたいのだが・・んん・・!!。

    次回は、倉敷・「鷲羽山」



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