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from: orimasaさん
2011年08月18日 09時53分58秒
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日本周遊紀行(160) 知覧 「特攻隊員」
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日本周遊紀行(160) 知覧 「特攻隊員」
富屋食堂の常連、板津忠正に出撃命令が下った。 .しかし・・!、
館内に展示されている若き隊員達の「遺書・文言」には、強烈に胸を打つものがあり、純真さ、健気さを強調する内容とも言えるが、当時は手紙一通にしても軍の検閲があったことは確かである。
従って、全くの本心は書き難い面があったかもしれないが、しかし、そこに書かれた言葉は決して嘘や偽りでは無く、万感の思いで書かれたことも確かであろう。
だが、こんな検閲厳しき兵舎内で、しかも、特攻隊員という死に際にあった彼らにも自由を謳歌し、純真無垢にする時と憩いの場所はあった。
その場所の名は「富屋食堂」といい、彼らの集散の会食の場であった。そこには彼らを母と呼ばせた女主人がいた。
昭和4年、鳥浜トメ氏は27歳の時、現在の知覧町役場近くの通りに「富屋食堂」を開いた。
南国特有の明るい性格と、気さくな性格の彼女は、たちまち若い隊員たちの人気となった。
食堂は陸軍の「指定食堂」でもあり、やって来る少年兵を我が子のように可愛がり、誰言うともなく隊員たちはトメを「母さん」と呼ぶようになっていた。
こんな時期の昭和20年、突然、知覧は特攻基地に変身した。
毎日のように出撃命令を受ける少年兵たちはトメに出撃を報告し、故郷に住む母への手紙を託したとも言う。
次々に知覧の飛行場を飛び立ち、誰一人帰ってくる者はいなかったし、トメに託した手紙こそ真心、本心の手紙だったのである。
こんな中に、板津忠正という隊員がいて、彼は1945年5月、知覧飛行場より出撃した。
だが、沖縄へ向かう途中エンジンの不調に気がつき、それでも編隊飛行を続けようとしたものの高度1500mのところでエンジンが完全にストップし、徳之島へ不時着してしまった。
その後、二度ほど出撃命令を受けるが天候不良のため出撃中止となり、結局、出撃する機会を失ったまま終戦を迎えることになった。 生き残った特攻兵、板津忠正は虚脱状態を引きずっていた。
こんな時に、鳥浜トメが言うには、「生き残ったことは、残されたということだよ。神様があんたに、“他に何かをやりなさい”とおっしゃっていることがあるはずだよ」と、 自分だけ生き残った罪の意識を抱えながらも、この一言で彼は意思を取り戻し、その後、遺族の元を一人ずつ訪ねる巡礼の旅に費やされたという。
戦友たちがこの世に託したかったことは何だったのか、彼ら一人一人のわずかな言葉を拾い集めることに、戦後の全てを捧げた。 それはある意味で、死んだ者よりも長く厳しい道のりだったのであるが。
こうして昭和62年、板津氏は彼らの声を永遠に語り継ぐために、この地に自己の財を全て投げ打って「知覧特攻平和会館」を設立したのである。
遺影や遺品のほとんどは彼が独力で集めてきたものといい、収集に区切りがついたのは戦後50余年を経てからという。 この時、板津氏は知覧特攻平和記念館の初代館長をも勤めている。
ここに、小生は、板津氏の行った行為は、赤穂浪士の「寺坂吉右衛門信行」を彷彿させた。
首尾良く本懐を遂げ、全員打揃って泉岳寺に向かう途中、大石内蔵助は、吉右衛門に対し一人結盟同士を抜けて使者に立つように命じた。
吉右衛門は命に従い、討入りの顛末を仔細に申し伝えるべく、また義士らの残された遺族らの生活を助けるべく、遺族たちの元へ旅立っていくのである。
「板津忠正」氏関連情報; ;http://www.itatsutadamasa.jp/kiji/report.html
館内展示遺品に、出身地が「朝鮮」となっている者が11名いて、中には日本名と朝鮮名が併記されている者が7名いるという。
この事は先刻、訪れた時に記したが、館の公園の一角に「アリランの歌碑」があり、更に、「ホタル」の石碑がある。
その、朝鮮人とホタルについて・・、
富屋食堂の常連、宮川三郎(当時、軍曹)に出撃命令が下った。
「父上様母上様、幼き日よりの数々の慈しみ、不肖、決して忘れは致しません。中学校時代、寒い中を出迎えに来て下さった父上の顔、今もなお、深く頭の中に残っております。」
その遺書には“お国のため”、という言葉はなく、ひたすら故郷への想いが綴られている。
出撃前夜、富屋食堂にやってきた宮川(朝鮮人・現、韓国人)は、トメさんと子供達に別れを告げた。
そして「死んだらホタルになって戻ってくるから」と言って、飛び立っていったのである。
トメさんは後に語っている、
「サブちゃんはホタルになって会いに来るといっていたが、そしたら本当に時間どおりに参りましたヨ、ホタルが・・、」、
「ホラ皆さん、このホタルは宮川サブちゃんですよ」、
「本当かね、カアさん」といって、皆んなで「同期の桜」を歌ったという。
これは実話である。 そして、この事実は映画にもなった。
次回は、「映画になった特攻隊員」
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