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  • from: orimasaさん

    2012年04月15日 10時46分46秒

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    日本周遊紀行(224) 富山 「富山湾」

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    日本周遊紀行(224) 富山 「富山湾」 .



    再び、国道8号線へ出て東へ向かう・・、 
    それにしても神通川を横に見ながらであるが、富山平野は大小の河川が多く、それらの河川には、いずれも豊富な水量が流れている。

    思えば、今日が本旅行の概ねの最終日であろう(長野白馬まで)、西日本を巡る大略1ヶ月の行程であったが幸いというか殆ど好天に恵まれていて、それだけ雨の日が少なかったと言える。 
    山陰地方もそうであったが、特に記憶に残るのが四国地方、とりわけ瀬戸内海に面した地域の各河川は大小いずれも殆ど流水が無くカラカラ状態であった。 
    それに比べると、この「富山地方」はナント水の多い地域であろうか。 
    尤も、今頃は3千米級のアルプスの融雪時期でもあり、水が豊富なのは当たり前なのだが・・!。


    先にも記したが、飛騨西部の白山山系を水源とする庄川、小矢部川によって形成される高岡、射水地区の平野・射水平野はその名も「湧き出ずる水の地」、「水の射ずる地」で射水という名称が古来より命名されていたという。 
    この地域を西部とすると、中央部は飛騨山系、立山山系を水源とする神通川、常願寺川下流域の富山市で、狭義の富山平野であろう。 

    又、東部地域の剱岳山系を水源とする早月川、片貝川流域は滑川市、魚津市であり、黒部峡谷系を水源とする黒部川流域の黒部市、入善町、これらの地域を新川平野(にいかわへいや)と呼んでいる。 

    更に、西部中流域はチューリップ生産で有名な砺波平野(となみへいや)の砺波市・南砺市・小矢部市などであり、これらを一纏めに総称しての「富山平野」としている。これらは何れも富山湾に面して広がる沖積平野を成している。 


    富山平野の河川の多くは、背後の急峻な山岳地帯に源を発し、狭い富山平野を一気に貫流し富山湾に注いでいる。 
    このため全国でもまれにみる急流河川となっていて、しかも水量も豊富であり、特に今頃は雪解け水なので水温は冷たく、これらの各河川が富山湾に一斉に流れ込むのである。
     

    富山湾についても前に述べたが、湾の地形は特徴的であり、海岸沿いには浅い部分がほとんどなく、急に海底に向かって落ち込んでおり、海底地形は非常に険しい谷と尾根が多いという。
    湾の大部分は水深300m以上にも及び、一番深い部分は1,000mを超える。 富山湾岸の流入河川に近い海底は、今も砂地と玉石が覆い尽くしているという。 

    或る潜水夫が確認したところ、やはり急斜面となって深い海底に落ち込んでいるらしい。 
    そこで大きな玉石を転がしたところ、そのまま深く転がり落ちていったという。 
    そして、驚くべきことにこれらの海底には多数多量の湧き水が確認され、これら湧き水を各種の魚が飲みに来るというのである。 


    海水の魚が淡水の湧き水を飲みに来る・・?、 
    湧き水の水質を調べたところ、アルプス中流域の河川の水と一致したという。 
    アルプスの中位(標高1000m前後)はブナや楢の多くの落葉樹が茂る地域で、これら広葉樹の養分である珪素や窒素、リンといった栄養素を多分に含んだ水が伏流水となって海中に湧き出し、その栄養分を魚達が戴いているのである。

    富山平野の扇状地は、北アルプスの土砂が形成したもので、その成分は砂や石が多く、アルプスの急斜面を下ってきた水は各河川に表流水となって富山湾に注いでいる。 
    一方、それらの何割かは地下水となって富山湾海中に湧き出しているのである。 
    富山湾の海中に涌く水の量は、1年間に数億トンとも言われる。 湧き水の温度は13度と一定しているらしい・・!。


    富山湾海底には「海底林」といわれる木の株や根っ子が形を留めて存在することは知られている。 
    この根株は榛の木(はんのき)や楢の木で、1万年以上も前にアルプスの造山活動により沈んだものとされる。
    これらが腐食しないで現存しているのは、水温13度の冷水が腐食を防止し保存させたものだといわれる。 

    これらの栄養豊富な冷水は1000m深くまで沈み込み、この深海では冷水を養分にする“変な生物”も群れを成し、謎の世界を形造っているともいう。 
    その内の一種に「オオグチボヤ」という原索動物(ホヤの仲間、ナメクジのように脊椎が無い軟体動物)が群れを成していて、これは世界でも富山湾だけといわれる。

    新湊の庄川の沖合い深くに「シロエビ」というのがいる。 
    富山県の魚類の一つで「富山湾の宝石」と称され、生きている間は透明で薄いピンクであるが、死ぬと白く変わるのでシロエビの名前がある。 
    このシロエビは、富山県内ではなじみの深いエビであるが、富山湾以外ではほとんど捕れない世界的な珍種だという。 
    シロエビは体は小さく体長6〜7cmで、富山湾特有の「あいがめ」といわれる海底谷の海深100〜600mに生息し、漁期は4月1日〜11月30日の間で(最盛期は6月〜7月)、特殊な底引き網で捕獲する。 


    エビは一般的に「大きいほど豪華だが、小さいほど味は美味しい」と言われており、シロエビはその説を裏付けるように、その姿形そのままに透明感を感じさせる独特の味わいがあるという。 
    新湊市では、昭和44年に庄川河口沖合2kmの「おぼれ谷」と呼ばれる海面を「シロエビ群遊海域」として文化財にも指定されている。 


    又、有名な「ホタルイカ」の大群が見られるのは、日本中でも、ここ滑川地域近くの富山湾に限られているという。 
    日中は沖合の200m〜400mという深海に棲み、夜間に海面近くの陸近くまで上がってくるのは、産卵や餌生物を追うためといわれている。 

    富山湾で毎年3月〜5月頃を中心にこのホタルイカの集群が見られるのは、富山湾のすり鉢のような地形と海流、河川の影響(河川の冷水が沈下すると同時に、すり鉢状の底から上に向かって流れる湧昇流:攪拌現象)で、衆群が岸近くまで押しよせるためといわれる。 
    体長4〜6センチのこの小さなイカは、体中に1000個もの発光器を持ち、青白い光を一斉に放つ。 滑川から魚津の沖合いは世界的にも有名な「ホタルイカ」の生息地で、その群遊海面に漂うホタルイカは特別天然記念物にも指定されている。 

    漁で見られる、群れをなしたホタルイカが海面に放つ光は宝石のように美しいく、ホタルのように発光するイカであることから「ホタルイカ」と名付けられ、その発光は、熱をもたない「冷光」と呼ばれ、昆虫のホタルの発光とほぼ同じ仕組みであるという。 

    滑川市では漁の模様を見学できる早朝海上遊覧方式による観光船を期間中運行している。又、当市では、珍しい「ホタルイカミュージアム」が竣工している。
     


    富山湾は、これら表流水、海中の湧き水によって、水深300mより深い部分には水温1〜2度ほどの冷たい日本海固有冷水塊(海洋深層水)があり、冷たい海に住む魚類が棲んでいる。 
    また300mより浅い表層部では、暖流である対馬海流が湾内に入ってくるため、ブリなど南の温暖な海の魚類も同時に棲んでいる。 
    このため、富山湾には日本海に生息する魚類の半分以上が生息し、獲れる魚の種類が非常に多い。 

    その他、海底谷は貝やえびなどの生物の住処であり、加えて多くの河川が森からの栄養を海底に送り込むため、多くの魚が繁殖できる豊かな漁場になる条件がそろっており、ブリやホタルイカを捕獲する定置網漁業が古くから発達している。
    富山湾は、海の中まで「アルプス」であり、1000mを越える海溝は今も造山運動で沈み込んでいるという・・!。


    次回は、「魚津






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