2013年 02月 26日 18:53 JST

［東京　２６日　ロイター］　みずほフィナンシャルグループ(8411.T)は２６日、２０１６年３月期の最終期に当期利益５５００億円を目指す中期経営計画を発表した。１３年３月期の当期利益目標５０００億円と比べて、１０％の増益を図る。
今後、金利が緩やかに上昇するとの見通しを踏まえ、市場部門の減益を海外や非金利ビジネスなどの対顧客部門収益で補う計画とした。合わせて、発表した新役員人事では、副社長・副頭取級人事で旧行出身のバランスが崩れる「適材適所」の人事となった。
＜増資なしで普通株などＴｉｅｒ１比率維持＞
１６年３月期の株主資本利益率（ＲＯＥ）目標は連結ベースで９％とした。グループ経費率は５０％台半ばを目指す。普通株式などで構成されるＴｉｅｒ１（狭義の中核的自己資本）比率は、８％以上を確保する。記者会見した佐藤康博社長は「バーゼル３をクリアするための増資は一切しない」と明言した。また、引き続き収益の圧迫要因となっている政策保有株式をＴｉｅｒ１の２５％程度まで減らすことも盛り込んだ。
新しい３カ年計画の事業ポートフォーリオとして「顧客部門」、「海外」、「非金利」の３分野を軸とする収益構造の転換を表明。業務純益に占める「対顧客部門」の収益割合は「市場部門」に対して１２年度の７１％から１５年度に８４％に、「国内」に対する「海外」は２５％から３４％に、「金利収支」に対して「非金利収支」は４６％から５０％に拡大させる。佐藤社長は「長期金利がジワジワ上がるのを前提にする。対顧客ビジネスを強化する」と強調した。
日本国債の金利上昇リスクに対応するために、「長期金利上昇リスク部会」を設けることも明らかにした。残存期間の調整やストレステストを進める。
成長の基盤となる主な事業戦略として、１）銀・証・信託を一体とした金融サービスの強化、２）事業承継や成長支援のためのコンサルティング機能の強化、３）資産運用ニーズの発掘を通じた日本の個人金融資産の活性化、４）農業や医療など成長産業に対するリスクテイク能力の強化、５）アジアにおける投資銀行業務の強化などアジア関連ビジネスの拡大、６）国際的な決済サービスなど商流の捕捉──の６つを掲げた。
みずほは、１月に傘下のリテールと法人向けの証券会社が合併したほか、７月にはリテール銀行のみずほ銀行と法人向けのみずほコーポレート銀行も合併し、持ち株会社の下に銀行、証券、信託銀行の３業態が並ぶ体制となる。銀行と信託、証券の融合によるシナジー効果を１１年度と比べて１５年度には１４００億円と試算。傘下業務粗利益でプラス９００億円、経費削減で５００億円とした。
１１年１１月に２行の合併効果を試算した際は、粗利益の増加と経費削減で計１０００億円のシナジー効果を見込んだが、今回はグループ全体としての効果を計算した。
＜新役員人事、副社長・副頭取級では旧行のバランス崩れる＞
同日発表した新役員人事では、現在の副社長、副頭取７人が全員退任し、若返りを図った。新しい副社長・副頭取は８人に増え、佐藤ＦＧ社長兼銀行頭取と加えると合計９人になる。旧行別でみると、旧日本興業銀行出身が４人、旧富士銀行出身が３人、旧第一勧業銀行が２人となり、人数のバランスが崩れる結果となった。
副社長・副頭取が増えた点について、佐藤社長は、ワントップ体制に伴う権限移譲と説明。旧行出身のバランス人事については「名実ともに適材適所、人物本位の人事運営だ。旧行に縛られた考えは残っていないと断言できる」と強調した。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91P04420130226