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  • from: orimasa2007さん

    2012年02月29日 11時39分20秒

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    日本周遊紀行(208) 芦原 「芦原温泉」

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    「広く旅をし、方々を遍歴したものだけが、知識という名の富を有している。」(詩の神・オーディン)

    日本周遊紀行(208) 芦原 「芦原温泉」   .




    写真:えちぜん鉄道三国芦原線の「あわら湯のまち駅」





    九頭竜川の清流を渡り、今夜の泊まり宿「芦原温泉」へ急いだ。

    普通、温泉場の立地といえば山懐、河川際、湖の畔、海辺と何かしら自然とマッチした、それなりの雰囲気を持った環境に佇んでいるのが普通のように思っていた。 

    芦原温泉は、そんな意識とは別に平凡な田畑に囲まれた平地に在った。  
    後で知ったのだが、北陸・芦原温泉は明治16年、農民が灌漑用の井戸を掘っていたところ温泉がいきなり湧き出したのがはじまりというから、さもありなんであった。 
    今では、北陸屈指の名湯として知られるようになり、人気も誇っているのである。


    先刻、観光案内所より紹介をして頂いた宿屋へ向かう、駅前のT字形の突き当たりにその旅館はあった。 
    駅は華やかな温泉街のわりには意外と、こじんまりしてて「あわら湯のまち駅」とあった。 
    鉄道は北陸本線ではなく、「えちぜん鉄道」という第三セクター方式の鉄道会社であった。 
    2キロメートル東方に、本線である北陸本線の「芦原温泉駅」があるが、地域として金津町に属するようである。



    旅館は紹介によって、便利な駅前にある政府指定の一流旅館のはずであったが、印象としては極めてゾンザイな感じが最後まで拭えなかった。

    その某旅館の顛末をしたためておく・・!
    先ず、玄関で訪問の呼声を掛けたが、返事が無くなかなか応対に出てこない。 
    車を置くところへ案内されたが狭くてやっとのところ。 
    案内された建物は継ぎ足しの迷路のような部屋組であり、部屋係り女性の御客への対応も扱いも気だるそうで、迷惑そうでゾンザイそのものであった。 
    そして、館内の様子からも泊り客が居るのか、居ないのかシーンと静まりかえっている。 
    何かしら、否〜な予感がした。

    何はともあれ、何時ものように待望の温泉浴室を目指した。 
    人っ子一人居ない浴室、大きな湯船には湯がトウトウと流れ込み、大いに期待したところまでは良かったが、湯を浴びると、これがまた熱い・・!!、

    我慢して静かに浸かると数秒も浸かってられない程の熱さである。 
    元々、温湯(ぬるゆ)の好きな小生にとっては、到底我慢がならない・・!。 
    気が付くと外風呂も有るようなので、仕方なく露天風呂へ向かった。 ここなら何とか入れるだろうと思ったが、これが又甘かった、こちらも同様でアッチッチ・・!!、だめだ、こりゃ・・!!。


    結局、掛け湯と洗身のみで間に合わせ、女将にこの事を話して善処置をするように申し入れた。 
    食事の後(食事に関しても不満充分であったがここでは省略)、就寝前に再び入湯に出向いたが、いっこうに以前と全く変わりなく、そして次の朝も入湯に出向いたが、善処された形跡は無く、昨夕と全くの変わりはなかった。 

    帰り際、旅館の女将に厭味たっぷり言ってやったが、なにやら涼しい顔をしていたようにも思い、後はソソクサトと逃げるように宿舎を出奔した。
    芦原温泉の善し悪しを全く味わうことなく、後味悪く温泉場を後にする始末であった。



    芦原温泉は、北陸、福井屈指の温泉街として「関西の奥座敷」とも呼ばれ、昔から多くの文客にも愛されてきたようで、温泉医療師がすすめる名湯百選にも選ばれているという。 
    この名湯を堪能すべく期待を持って、一流旅館を紹介していただいたのに・・!。 
    この旅館の対応は、お客のサービス以前の問題で、全く期待はずれであり、終いには腹が立って仕方が無かった。 

    思えば、こちらの芦原温泉でも、昨年(2004年)に発生した温泉偽装問題が発覚している。温泉の利用表示に問題がある旅館および源泉の無断開発の疑いがある旅館が、複数軒あったとして、ニュースで大きく取り上げられた。 
    ひょっとしたら当の旅館も温泉偽装の関わった宿では・・?、と疑いたくなるほどである。 

    その後、あわら市では独自の温泉表示に関する基準を設けたようであるが・・!。

    これが政府指定の一流旅館の顛末であり、不満タラタラの芦原温泉、否、温泉宿であった。


    次回は、「東尋坊




    祝い・・!!  平泉地方が世界文化遺産に決定。(2011年6月)
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    九州紀行」; http://orimasa2009.web.fc2.com/kyusyu.htm
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  • from: orimasa2007さん

    2012年02月27日 13時54分56秒

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    日本周遊紀行(207) 三国 「九頭竜川流域」(3)

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    「漂泊の旅から、学問が生まれる」  

     日本周遊紀行(207) 三国 「九頭竜川流域」(3)  .



    写真:現在の白山神社本殿



    平泉寺(賢聖院)の名勝・庭園(地面は全て苔に覆われている)



    16世紀の戦国期、当時の寺社勢力は農民層をはじめとして多数の信者を抱えるだけでなく、有力大名と結び、さらには僧兵集団を形成し、各地で勃発する一揆の後ろ楯となって武器の供給や軍事指揮者の派遣を行うなど、自衛力を超えた軍事力が組織的に展開されていた。 

    平泉寺、延暦寺もそれらの一つであり、特に比叡山は仏教信仰の「聖地」とされていたが堂塔も坊舎も荒れ果て、修行もせずに肉を喰らい、女を抱くなどその山門僧侶の腐敗堕落ぶりは明らかであった。 

    それでも比叡山そのものは多くの人々にとっては神聖不可侵の地として崇められていたのである。 
    それと同時に山全体が要害でもあり、八百年来の俗権不可侵の特権を持つ数百の坊舎は、宗徒が籠もれば数万の軍勢の寄宿に耐えうる力を持っていたといわれる。

    このような時期、戦国大名として台頭してきた「織田信長」は天下統一(天下布武)を目指していた。


    その頃の延暦寺は、信長と対立している室町暗君将軍・足利義昭の側に付き、宿敵、浅井・朝倉連合軍を匿うなど、反信長の姿勢、行動を起こしていた。

    元亀2年(1571年)、延暦寺の武力が天下布武の障害になるとみた信長は、延暦寺に武装解除するよう数度にわたって通達した。 
    しかし、これらは全て悉く拒否されたのを受けて、信長は、敵対・比叡山を打つべしの意志を固めた。 

    同年9月12日、織田勢は素早く比叡山相手に戦線を引き、全ての出入口を封鎖した。 
    三万の軍勢で山麓を囲み、退路を完全に遮断したのである。 

    ここに至って、佐久間信盛や武井夕庵ら仏教徒である臣下の諫止などは一切受け付けず、黄金を贈って信長の怒りを鎮めようとした山門の申し出も全て一蹴した。 

    信長は、宗徒を根絶やしにする姿勢は決して崩さなかったのである。
     

    合図とともに鬨の声をあげながら、織田勢は攻めかかった。 
    見つけられた者は僧俗、老若男女構わず無差別に殺され、山頂においても徹底的な破壊と殺戮が行われ、根本中堂をはじめ4〜5百あったとされる堂塔・坊舎の全てに火がかけられた。 

    殺された者は3、4千人(諸書によって違いがある)にも上り、比叡山は累々たる死体で埋め尽くされたという。 
    この放火と殺戮と奪略は9月15日までの4日間続けられた。 初志の目的を忘れ、時政(じせい・時の政治、軍事)に介入した悪僧坊に天罰が下ったのである・・!。


    この時期、白山平泉寺は最盛期を迎えていて寺領9万石、48社36堂6千坊、それに僧兵8千人と称するまでになっていた。 
    しかし、叡山消失や信長と朝倉義景の決戦に巻き込まれて苦境に立ち、更に、一向一揆と対決し、最後は一揆の群集に攻められて平泉寺全山が焼き払われたという。  

    幸い後の権力者・豊臣秀吉が当寺を保護し、禁制を与えたので寺運は順調に開かれ、元の僧坊らによって白山平泉寺が再興され、江戸期には福井藩、勝山藩の庇護のもと順調にその地位を守った。



    時代は下り、明治維新に至って、神仏分離政策により神仏混淆(こんこう)を禁ぜられた平泉寺は寺院、仏像、僧徒を排し、権現の称を廃し、元の「神の宮」に戻った。 

    白山神社は、祭神を革めて菊理媛神(ククリヒメノカミ:イザナギ、イザナミの仲裁の神)、伊弉諾尊(イザナギ)、伊弉冊尊(イザナミ)の三座とした。 

    今、勝山盆地の山懐には、僅かな社殿を残して鎮まっている。 白山神社からみれば、中世の物情は夢のようであろう・・!。 



    平泉寺の現在の拝殿は、元の大拝殿には及ぶべきもないが、千年前の石畳参道や当時の礎石などが今でも残り、絨毯を敷きつめたような青苔の美しさと共に、美しい自然の姿を見ることが出来る。 

    又、賢聖院の庭園は、室町末期の細川高国の作庭で、鮮緑の苔に囲まれ、曲水庭園の様式が取り入れられた名園であるという。 
    現在、文部省指定名勝にされていて、住職・平泉家(賢聖院の元別当が平泉家として引継ぐ)の承諾を得て見ることができるという。

      
    次回は「芦原




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    2012年02月25日 11時42分31秒

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    日本周遊紀行(207) 三国 「九頭竜川流域」(2)

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    日本周遊紀行(207) 三国 「九頭竜川流域」(2)   .




    資料:往時の平泉寺絵図



    九頭竜川中域の平泉寺・白山神社と白山信仰について・・、

    九頭竜川中流域は、勝山市域で白山山域の山麓に位置する。 
    平泉寺・白山神社は、加賀、越前、飛騨(石川・福井・岐阜)の県境にそびえる霊峰・白山(2,702m)の信仰に端を発し、富士、立山とともに日本三霊山に数えられ、古来修験道の修行道場として栄えた。 
    寺院の開祖は、奈良期の名僧・泰澄大師(たいちょうだいし)が開いたとされる。



    日本では山そのものを、古来、神聖なものとして崇拝されていた。
    加賀・白山は夏でも残雪があり、何時でも雪をいただく神聖な山として信仰の対象となっていた。 

    以前の山岳信仰は神聖な山を遠くから遙拝するだけであったが、地元の高僧・泰澄大師は夢のお告げに従って直接白山の頂上を目指した。
    そして、その登程の苦しさを厳しい一つの修行、禅定(心を静めて一つの対象に集中する宗教的な瞑想)と捉えた。 

    白山の頂上を白山天領といい、又、その修行の登山道のことを白山禅定道ともいった。 
    白山信仰が広まるにつれ、白山は、村の鎮守の神として地域に多くの社も建てられたという。 

    江戸時代、三国間(加賀、美濃、そして越前)には白山山頂の領有をめぐっての激しい争いがあり、最後には江戸幕府が山頂と山麓の村を天領とすることで決着がついたという。 
    しかし、争いの本質は宗教的なものではなくて、むしろ権益を奪い合うということであったとする。 

    白山へは三国其々の馬場(ばんば、道のことで信仰登山の登山口)があり、その馬場には白山を祭祀する社寺がある。 
    越前の馬場は、勝山の「平泉寺」(白山神社)であった。 

    しかし、越前では白山の表道として白山馬場があったが、本峰、主峰が加賀の国に在ったことは口惜しいかったに違いない。(現在は加賀、美濃の国境)


    白山の主尊仏は「九頭龍」であるから水神の性格を持つものであり、それが白山信仰の根幹となり、本来は古代から越人(古代名でコシノヒト)の土俗の神であり、地主神であった。 

    平泉寺は、今から1300年前の奈良時代に「泰澄大師」(越前国、現、福井市出身、泰澄寺)という徳の高い僧によって開かれた。 
    その後に神仏習合が進み「白山平泉寺」と呼ばれるようになり、白山を神としてあがめる白山信仰の寺院として白山権現とも通称された。


    若狭一の宮でも述べたが、所謂、平泉寺は白山神社の別当寺であった。 
    つまり、神が仏に乗っ取られ・・?、全て仏式による祭事が、ここでも行われるようになったのである。 

    今では勝山の古(いにしえの)の由緒ある寺院であるが、だが、その歴史を辿れば中世の頃の白山平泉寺は「悪僧の巣」でもあったともいう。


    比叡山と白山平泉寺・・、

    平安初期には,叡山系の修行僧が白山によく入山し、9世紀には叡山の僧徒が白山権現を延暦寺に勧請したともいう。 
    従って、越前馬場の平泉寺は1084年に延暦寺末寺となり、加賀馬場の白山寺、美濃馬場の長滝白山神社(白山中宮長滝寺)も平安末には延暦寺の末寺となった。 
    かくして白山を取り巻く末寺は、白山教団として延暦寺を背景にした政治的にも軍事的にも一大勢力に成長した。 

    白山の僧徒は、延暦寺の僧徒と呼応して権現の霊験を説き、北陸、濃尾地方に散在しながら隆盛を極めたという。 
    同時期、各地に白山神社が創祀されたが、とくに中部より東日本に濃密であったという。
    僧侶達の軍事的意味合いの一つの例として、「平家物語」に次の行(くだり)が有る。

    『 白山が一大鳴動を起こし、それが叡山に伝わって一山震動して、叡山僧兵団が都に乱入して御所を脅す・・』・・と

    南北朝期には、平泉寺の名で代表される白山勢力は「日本国一番の法師大名である」と、当地を治めた朝倉氏の史記にもある。 
    又、「平泉寺に行けば食える」といって、近郷近在の次男、三男坊が遥か遠方から素浪人として寄り集って来たともされる。 

    当時の平泉寺は、僧兵八千といわれる北陸一の武装勢力で、社、お堂、院坊合わせると、その数三百とも四百とも言われた。


    次回、「叡山の滅亡と平泉寺




    祝い・・!!  平泉地方が世界文化遺産に決定。(2011年6月)
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  • from: orimasa2007さん

    2012年02月24日 13時31分38秒

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    日本周遊紀行(207) 三国 「九頭竜川流域」

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    「旅は道連れ、世は情け」>(日本の諺;江戸いろはカルタ) 

     日本周遊紀行(207) 三国 「九頭竜川流域」  .




    九頭竜川河口に広がる三国港




    荒々しくも見所一杯の越前海岸の国道305号を北上し、三国町に近付くに従って、どうやら穏かな平地が広がってきた。 

    左手には、今までの自然景観とは異なって、海岸に沿って物凄い工場群が連なっていた。 
    その終点に「九頭竜川」が万端の水をたたえて、すぐ其処の日本海へ注いでいる。 

    三国の地柄は日本海に沿って臨海企業、工場群が林立し、湊は九頭竜川の河岸に沿って開けている港といってもよい・・!。 
    これは往年の九頭竜川水運の特徴を今に残しているのかもしれない。


    九頭竜川(くずりゅうがわ)は、福井県嶺北地方を流れる九頭竜川水系の本流で、越前福井と飛騨岐阜の国境にある油坂峠(717m)辺りを水源として、九頭竜ダムを経、大野盆地・勝山盆地を北西に進み、福井平野を潤しながら日野川と合流し北進、三国(現在の坂井市)で日本海に注いでいる。 


    その九頭竜川は昔から河川物流、水上交通、水運の要として重要な地位を占めていた。

    昔の人々が辿った陸路は、峠越えなど自然条件も過酷で難渋が多かった。 
    そのため林産物や平地で採れた穀物など重い荷物の輸送には大変苦労する。 
    そこで舟を利用した海、湖、川を利用する水上交通が発達した。

    九頭竜川流域には、奈良時代は東大寺荘園、平安時代には興福寺兼春日社領荘園が多くあり、流域で産出された米や穀類などは、舟で九頭竜川から三国湊に集められた。
    それから海路を敦賀まで廻送し、敦賀で陸揚げされた産物は駄馬に積み替えられて、陸路を琵琶湖の北岸にある海津、塩津まで運ばれ、次に琵琶湖水運を利用して大津まで廻送され、再び、荷揚げされて陸路を都や大阪へと運ばれたという。


    九頭竜川は本流、支流とも昔から舟を利用した輸送が盛んに行われ、併せて良港や街道と交差する河川付近には市が立ち、人々が集まって発展してきたとする。 

    特に嶺北七郡の諸物資は、舟で九頭竜川などを下り、日本海沿岸にある交通の要地、三国湊に集まったという。 
    江戸近世の頃は、三国湊と越前国内の諸河川を往来する舟の利用度が高くなり、三国湊〜福井間を往来する舟は昼夜の別なく舟便があったとされている。



    九頭竜川の名の由来や伝説
    この川は有史以来氾濫を繰り返す大河で、当初は「崩れ川」とも呼ばれていたが、いつしか変じて九頭竜川と名づけられるようになったという説もある・・?。 

    しかし、“九頭竜“とは本来、印度伝来の仏法から生じたもので八大竜王(原型はインドの河の神様。後に仏教に取り込まれ、護法尊となり、その数が増えて八になった)の一仏神とされる。
    昔から水の神、雨乞いの神様として各地に祀られている。 
    或いは、水を治める為に命名されたものであろう。 

    他に、平安中期、平泉寺の白山権現が衆徒の前に現れ、その尊仏像を川に浮かばせたところ一身九頭の竜が現れ、尊像を抱いて流れに下り黒竜大名神社の対岸に着いたという。
    それ以降、この川を九頭竜の川と名付けられたとする。

    その九頭竜は仏教と神道を守る神仏習合の神となり、水の神、雨乞いをつかさどる神として信仰を集めた。 
    そして、九頭竜川の源流域から中流域の東部にかけては、「加賀白山」の大山域が横たわり、この山麓一帯は日本の三大山岳霊地とされた加賀白山信仰が盛んな地でもあった。 

    その中心が勝山市の「平泉寺・白山神社」である。


    次回は、「平泉寺・白山神社」 
      





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  • from: orimasa2007さん

    2012年02月23日 14時30分31秒

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    日本周遊紀行(206) 越前 「越前海岸」

    .




    「旅へでたら、石ころをひろってこい・・!」  

      日本周遊紀行(206) 越前 「越前海岸」  . 




    鄙びた、玉川温泉から新造成った玉川トンネルを抜けると突端の越前岬である。 
    小さな(断崖絶壁にやっと設えたスペース)駐車場があり、古めかしい「越前海岸」と記した看板がチョコナンと立っていた。 

    越前岬は、越前海岸で最も西に突き出した、所謂・「く」の字の先端地点である。 


    海岸に見える、一種異様な岩の形は、海食洞やノッチ(VあるいはU字形の切り込みやくぼみ)、ベンチ(腰掛状の平らな部分)などの姿で数多く見られ、日本海の荒波が作り出した変化に富んだ奇岩・断崖でもある。

    この海岸段丘の高さ130mの断崖に白亜の越前岬灯台建っている。
    光は53kmまで届くという。 

    すぐ近くには、呼鳥門、鳥糞岩といった奇岩怪岩の名所がある。 
    海食による自然が造り上げた洞穴に国道が走るという珍しい岩である・・!。(現在はすぐ横に迂回路ができ、歩行にての見物スポットになっている) 

    糞鳥岩というチョット変わった名称の断崖は、多くの鳥住み着き鳥の糞が白くなっているで名づけられたという。 
    この先の国道沿いにも、夫婦岩、軍艦島、弁慶の洗濯岩、鉾島、亀島といった奇態な岩峰群が無数に乱列しているのである。 

    車のドライバーは、周囲のあまりの景観に注意しなければいけない・・!、越前海岸は全体的にこのような風景が連続しているのである。


    又、越前海岸一帯は日本一の水仙の名所であることは周知である。 

    既に花の時期は終わったのであるが、海岸のほぼ全域に細く、しなやかな葉をそよがせている。 
    冬から早春にかけて、甘い香りを放ちながら海岸一帯に咲き誇るのが特に「越前水仙」といわれる。 
    日本海の寒風にもかかわらず、強く美しい花を咲かせ、雪が積もっても折れることのない越前水仙は別名「雪中花」ともいい、可憐な花と冬の荒々しい日本海との対比が印象深い。 

    この越前岬を中心とする中部でも水仙が自生し、12月から3月にかけて咲き乱れるといい、「越前岬水仙パーク」も整備されている。


    ところで、日本のスイセンは外国のものが帰化したものとされている。 
    日本への伝来については中国・朝鮮からの渡来説と,暖流による漂流説とがあるが定かではないという。 

    まさか、稲作、鉄器、更には、焼き物と一緒に渡来した訳ではないだろうが、同一視することで一段とロマンも広がるというものか・・?。 

    一帯は、福井県を代表する自然景観でもあるが、日本海の季節風にさらされたスイセンは花が引き締まって日持ちも良く、香りも最高といわれ、切り花として関西を中心に中京、関東などへ出荷されている。 

    越前スイセンは,「福井県の花」に指定されており、郵政省の「花の切手シリ-ズ」第1 号に取り上げられた。
     


    河野村は2005年1月南条町、今庄町との合併で「南越前町」として誕生している。 
    やはり2005年2月、越前町、織田町、朝日町、宮崎村の3町1村が合併し新「越前町」としてスタートしていることは先に述べたが、又、2005年10月、嶺北地方の中南部に位置する武生市と今立郡今立町が合併して「越前市」が誕生している。 

    この地方、地域の人々は古来からの名称である「越前」という名に相当固執しているようで、これはこれで大いに頷けるのである。 

    一方、越廼村(こしのむら)は、 2006年2月に福井市へ編入された。この村は岬の先端に位置していて、合併廃止の前の時点では福井県の市町村では面積最小、人口最少であったらしいが、これで県内の貴重な村は全て消えて無くなったことになり、残念でもある。


    次回は、「三国・九頭竜川流域




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    2012年02月22日 14時48分25秒

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    日本周遊紀行(206) 越前 「越前地方」(2)

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    「旅のなかで生きる喜びを感じ、創造への意欲をかりたてる」  

     日本周遊紀行(206) 越前 「越前地方」(2)  .




    越前町厨地区:甲羅に似た「越前がにミュージアム」


    この先、その越前海岸を行くことにする。
    早速、険しい海岸線のR305を行くことになる。 
    間もなく「白竜の滝」という園地が在って、そこから一筋の滝が流れていて涼味を誘う。 

    山中ならば何処にでも在りそうな、何の変哲も無い小滝であるが、海岸にいきなり流れ落ちているのは普通でない。 
    道路も園地もない以前の自然のままであったら、いきなり日本海に落ちていたのかもしれない。 

    又、この公園の南には、大正末期に舞鶴へ向かう途中、この沿岸付近で座礁・破船した軍艦の遭難園地があり、園内には墓銘碑も建っていた。 
    大正13年12月12日、舞鶴港へ向かう特務艦・「関東」(民間から転用された軍需用の給油艦)が激しい吹雪に見舞われ、河野村糠地区の沿岸で座礁破船した。
    事故の報せを受けた河野村民は、自らの危険も顧みず献身的な救助活動を繰り広げたというが、97名の尊い命が奪われた。



    山肌の急斜面を無理やり切り取ったような海岸線に道路を付け、所々に道路に沿って人家があり、鄙びた漁村も点在している。 
    傍目(はため)では、長閑な雰囲気の海辺の田舎の風景であろうが、われわれ都会人・・?から見ると実際の生活は大変だろうな、と変に勘ぐってしまうのである。 
    しかし現地の生活者に言わせれば、余計なお世話と叱られるかもしれない。 
    それにしても、厳冬期に日本海の季節風を的もに受け、実感としては厳しい地域風景を想像するのである。


    河野村は、2005年1月南条町、今庄町が合併、「南越前町」として誕生している。
    そして、「此れより越前町」の標識があった。 
    その千飯崎海岸近くにも集落と小さな漁港があり数艘のイカ釣り船が待機している。 
    この近辺も、海水面付近の波の侵食作用によるのだろう、海上には無数の奇岩、怪岩や海食洞などが形成されていて、見る者を圧倒させる。

    久しく賑やかな港へ出た、越前町のである、である・・?、 


    ミナト」のことである、
    昔はミナトを「」と書き、今は「」と書くらしい・・? 、
    漢字源から察すると湊は陸の部分を指し、港は水の部分を指すらしい。 
    船が越前の港に入り、越前の湊に着く、とするのが正しいようである。
    今、日本語が乱れていると言われるが、このぐらいの事はどうでもいいか・・?。


    貴重な平地(殆どが人工的に造作した)に細長く人家が立ち並び、やはり陸地にへばり付くように湊が展開している。 
    ここは言わずと知れた「越前カニ」の最先端の基地である、カニの看板を付けた漁業関係の店や民宿風の宿屋が目立つ。  

    日本海の冬の味覚、ズワイガニ漁は11月頃から冬場にかけて最盛期をむかえる。 
    解禁と同時に海が荒れなければ、日本海に繰り出していた漁船が底引き網を投下し、網を引いて海底にいるカニを捕る。 
    福井県内の漁船は夕方には港に帰り、水揚げされたカニは早々に競りに掛けられる。


    一般には「ズワイガニ」と呼び、福井県では越前ガニ、山陰地方にいくと松葉ガニと呼ぶらしい。 
    ズワイガニは雄カニの名称で、雌ガニはセイコガニと呼ぶらしい。 これは初耳であった。 雌のセイコは背(背中)に子(卵)をもっていることから「セイコ」と呼び名が付いたという。 
    他に山陰地方ではセコガニ、石川、富山県ではコウバガニ、丹後地方などではコッペガニとも呼んでいるという。


    ズワイガニは日本海、北方海域に広く生息していて、日本海では水深200メートルから500メートルの範囲に生息し、カニを賞味する日本人の嗜好が、ズワイガニを冬の味覚の代表とした。 

    一時は取りすぎで、カニ資源が枯渇するのでは、という懸念があったが、最近では沿岸自治体、漁港関係者等の努力で資源保護の成果も挙げてきているという。

    最近、某水産メーカーが「ベニズワイガニ」を「ズワイガニ」として商品表示したとして、公正取引委員会から排除命令を出された事件があった。

    ズワイガニ(本ズワイ)は、「松葉ガニ」、「越前ガニ」などの地域ブランドで知られる高級品として扱われている。 
    それに対し、ベニズワイガニは同じズワイガニ属の近縁種であるが、若干水っぽい肉質・鮮度落ちが早いなどで、加工用として用いる場合が多いという。 
    価格もズワイガニの1/5以下の値段で取引されているようである。

    越前ガニで名高い越前町厨海岸(くりやかいがん)には、国内にただ一つ、越前がにの生態を学べる「越前がにミュージアム」がある。 


    次回、「越前の渡来人



    祝い・・!!  平泉地方が世界文化遺産に決定。(2011年6月)
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    2012年02月22日 14時47分19秒

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    日本周遊紀行(206) 越前 「越前地方」

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    「旅は私にとって、精神の若返りの泉だ」 
    <アンデルセン> 

    日本周遊紀行(206) 越前 「越前地方」 .




    写真:日本海の荒波寄せる特異な越前海岸




    敦賀から福井・越前に入るには、越境山脈を超えなければならない。

    ところで、現在の福井県の県域は若狭湾から北陸と呼ばれる三国町(現、坂井市)辺りまでをさすが、昔は若狭の国、越前の国と行政上の二国としての区分があったらしい。 

    今の呼称としては若狭とか越前というのは余り言わないらしいが、愛称として、若狭、越前の代わりに越境山脈を境に嶺北、嶺南などと呼んでいるらしい。 

    即ち、鉢伏山を主嶺とした海側から山中峠〜木ノ芽峠〜栃ノ木峠の稜線より北東部を嶺北(れいほく)地方と、南西部を嶺南(れいなん)地方と称しているようで、この福井県の両地域は人や地域の気性(サガ)も異なると言われている・・?。

    又、歴史的な経緯を見ても、明治4年の廃藩置県により福井県ができてから、現在の嶺北地方を福井県、嶺南地方を敦賀県に整理・分県された時期もあった。 
    その後(のち)、10年後の明治14年に其々分離統合されて、現在の福井県が設置された。 従って、往時の呼称、分県状況から越前即ち嶺北地方、若狭を嶺南地方と今でも呼んでいるようでもある。
     

    北陸越前といったら一般には、この敦賀の山域を越えた今庄辺りから武生、鯖江、福井本庁から丸岡、金津あたりと、内陸部の大野、勝山あたりを指すのが普通である。 
    所謂、越前平野(福井平野)といって、肥沃な平地が広大に広がる地域で、日野川、足羽川、

    そして、あの九頭竜川が揉み合うようにして氾濫を繰り返し、その都度大量の土砂を置き去りにし、沖積平野を形造ったという。


    この越前地区は、古来より越の国として人、物が頻繁に流通し、又、戦乱の相克が激しく興った地域でもある。 
    現在でも道路、鉄道、高速道が南北に駆け巡り、古来より変わらぬ交通の要衝となっている。 

    尚、新幹線についても構想が進捗中で、長野から上越、富山、金沢、福井、敦賀、小浜を経て新大阪へ繋がる北陸新幹線が着々と進められている。 
    これによって何れは、北陸新幹線が東海道新幹線と、即ち、日本の中心地域である太平洋岸と日本海側が直結され、関東・北陸・近畿・中京・東海を環状に結ぶ高速交通ネットワークが形成されつつある。 



    敦賀より発した国道8号線は、一旦、沿海を北上するが山中峠(トンネル)を抜け、河野村辺りで内陸の福井平野に至っている。 
    海岸線は敦賀北部の比田地区で分岐した国道305号線が走っている。 
    この越前海岸地域は、越前岬を西端に緩い「く」の字形で日本海へ突き出ている。 
    海岸線はいきなり聳え立つ山稜を呈し、急峻な海岸段丘や海食断崖が続いていて近年まで人跡少なく、陸路は永年交通の難所だった。 

    所謂、標高700m前後の「丹生山地」が、沿岸山地と内陸の福井平野を切り離すように壁が造られているのである。 


    次回、引き続き「越前地方




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    2012年02月18日 11時05分58秒

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    日本周遊紀行(205) 敦賀 「原子力発電」

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    旅の諺  「東へ行った、西にも行った、やはり、わが家が一番だった」


    日本周遊紀行(205) 敦賀 「原子力発電」 .



    敦賀へ来たら、もう一言書かねばなるまい、原発のことである

    敦賀原発街道とも言われ、敦賀一帯は原発が多いところである。 
    敦賀原発、美浜原発、他・・、そして、高速増殖炉の『もんじゅ』と軒並み話題の多いところでもある。 

    そして、「もんじゅ」は原子炉設備の疲労破壊で金属ナトリウム漏れが発生し、運転停止してからもう10年以上になるがまだ動かない・・!。
     


    ここで高速増殖炉と「もんじゅ」について・・、

    原子力発電の原料とされるウランには、燃え易いウラン235(0.72 %)と燃えないウラン238(99.28 %)がある。 
    通常、ウラン235は容易に核分裂反応を起こすため、原子力発電に用いられている。

    ところが、燃えないウラン238にも使い道があって、中性子を吸収することにより新しい燃料のプルトニウム239に変わる性質をもっている。

    この性質をうまく利用し、消費した以上の燃料を作り出すのが増殖炉といわれる。 
    即ち、プルトニウム239に効率よく変換することで、燃料を生み出すことができるという。 これを「増殖」といい、増殖によりウラン資源を有効利用できるとされる。

    中性子の中に、エネルギー値の高い「高速中性子」というのがあり、これを利用してプルトニウムを更に「増殖」させることから、この原子炉を「高速増殖炉」と呼んでいる。 

    燃やした燃料よりも多くのプルトニウムが炉内で生成され、つまり発電しながら燃料が増えてゆくわけである。 
    この高速増殖炉を使うことによってウラン資源の利用効率が100倍以上と飛躍的に向上するともいわれる。

    ウランを輸入に頼っている日本にとっては貴重な「国産燃料」が獲得でき、将来のエネルギー政策の本命と位置づけられている。 
    現在、敦賀市で試運転中の『もんじゅ』と云われる原子炉がそれである。(現在は休止)


    しかし、それには単純ではない問題がある・・!、
    普通の原子炉(軽水炉)に比べて非常に危険で技術的にも難しく、費用も高くつくとされている。 
    特に、冷却材として金属ナトリウムが使用されている。 

    これは熱伝導率が良く、高速の中性子を減速させない特性があり、現在のところこの冷却材が最適とされている。 
    だが、ナトリウムは水と激しく反応し、発火性が高い欠点をもっている。 
    実験・開発中の増殖炉型原子炉では事故や故障が相次ぎ、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど、先進諸国もすべて開発を諦めたという。


    ウランを燃やす過程で、燃料のプルトニウムが生成され増殖する高速増殖炉・・!、
    即ち『もんじゅ』は、水と激しく反応する「ナトリウム」を冷却材に使用している。 
    この原子炉は今だ研究開発の段階であるが平成3年4月、敦賀市に完成し、同6年4月に初臨界(原子炉内において核分裂連鎖反応が一定の割合で継続するようになること)を迎えた。 

    しかし、この炉は平成7年12月8日、試験運転中に冷却管の温度計のサヤが折れて約640kgのナトリウムが漏れ、火災が発生するという事故を発生させた。 
    この時、開発事業団の事故隠しや対応の遅れなど不透明性さが社会的批判を浴び、そのため現在は操業中止になっている。 


    因みに『もんじゅ』の命名は、仏教の文殊菩薩に由来する。 文殊菩薩は「知恵の菩薩」とされる仏さんであり、高速増殖炉は高度な知恵が必要とされることから命名されたのであろうか・・?。


    ところで、国内初となる原子の火が点ったのは半世紀前の1957年で、茨城県東海村に日本原子力研究所東海研究所の第1号原子炉において臨界に達してた。 
    その後、石油危機を経て、電力供給の安定が求められ、原子力発電所の建設が相次ぎ、現在は全国で50基以上の発電用原子炉が運転しているという。 

    その原発による電力量は日本の電力の約3分の1を占め、火力発電に次ぐエネルギー源となっている。 
    その中にあって、特に、福井県若狭湾に面した一帯は、原発関係の設備が集中立地して原発銀座と言われるほど多く、関西電力の電力構成に占める原子力発電の割合が他社よりも高くなっているという。 

    現在、敦賀に二基(二基増設計画)美浜町に三基、大飯町・高浜町に各四基の計13基、営業稼動中であるという。 
    その中に高速増殖炉・『文殊・もんじゅ』は、敦賀市の敦賀半島北端部に位置する、日本原子力研究開発機構の原子力発電所内にある。


    次回は、「越前海岸




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    2012年02月16日 11時01分56秒

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    日本周遊紀行(205) 敦賀 「気比祭神と御食(みけ)の国」

    .




    「百聞は一見にしかず「」 <日本の諺>


     日本周遊紀行(205) 敦賀 「気比祭神と御食(みけ)の国」  .





    写真:気比神宮摂社・角鹿神社(ツヌガ神社)




    若狭地方の敦賀は、古来より日本海を通じて大陸との交流が盛んでであった

    古代(奈良朝時代以前は歴史的には原始古代ともいう)、特に仲哀天皇の時期(2世紀末)においては日本は朝鮮との緊張状態にあり、天皇は即位してすぐに気比神宮に戦勝祈願の参拝をしたとされる。 

    この時の主人公で女帝に順ずる「神功皇后」も同行して、三韓征伐の前に武内宿禰(タケウチノスクネ;天皇に仕える棟梁之臣・大臣で、国政を補佐したとされる伝説的人物)や玉妃命(タマヒメノミコ神功皇后の御妹)とともに当社に祈願している。

    このとき気比大神が玉妃命に神懸りして皇后の勝利を予言したという。 
    更に、三韓平定の後、皇后は子である誉田別命(ホコタワケノミコト;後の応神天皇)らを従えて参拝したともいう。 


    三韓征伐(さんかんせいばつ)とは日本書紀にも記述があり、神功皇后が行ったとされる朝鮮への(主に新羅・しらぎ)出兵をさしている。 
    新羅が降伏した後、三韓の残り二韓(百済、高句麗)も相次いで日本の支配下に入ったとされるため三韓の名で呼ばれ、新羅征伐と言う場合もある。 
    神功皇后が帰国の際、子である応神天皇を身篭っていたともされる。



    気比神宮は日本海を通じた敦賀と大陸との交流から、大陸外交に関する祈願の対象として大和朝廷(最近はヤマト王権ともいう。因みに、大和朝廷は6世紀頃の古墳、飛鳥時代とも・・、)も重視し、三韓征伐を前提として創建、鎮座したともされる。 

    神功皇后が仲哀天皇の命により敦賀から半島へ船出したという記述もあり、又、気比神宮は、若狭地方における御食(みけ)の国(食の貢進国、すなわち皇室・朝廷に海水産物を中心とした御食料〈穀類以外の副食物〉を貢いだ国を指す)の総社ともいわれる。


    気比神社の境内に、摂社として「角鹿神社」(ツヌガ神社)が祭られている。 
    摂社祭神は、都怒我阿羅斯等命(ツヌガアラシトノ命)とされ、元々、渡来の任那(みまな、にんな・朝鮮半島の南部地域、三韓の一部)の皇子であり、気比の浦に上陸してこの地方を治めていたとされる。 

    後に、都怒我阿羅斯等命は朝廷(王権)に貢物(御食・みけ)を奉じたことから笥飯大神とされ、気比神宮の司祭と共に敦賀の地に祀られた。 
    敦賀の地名は、古代「角鹿(ツヌガ)」と呼称されており、元々、この地方を治め、地名発祥の神であった。 


    応神天皇が皇太子の頃、角鹿(つぬが)にてツヌガの神から御食(みけ)を賜わったことから御食津大神(ミケツオオカミ)と讃えられ、笥飯大神(ケヒノオオカミ)としても崇められたという。 
    ケヒとは「食(け)霊(ひ)」の意味であり、即ち、「気比」の名の起こりとされる。 

    つまり、応神太子が角鹿の地(敦賀)へ遠征された時、この地を収めていたされるツヌガの神と談判し、その結果この豊穣の地を譲り受け、土地の領有支配や物資(食料その他)の調達を認めさせたとされる。 

    即ち、大和朝廷(大和王権が正式名・・?)の支配下に置いたということか・・??。 

    当初は、敦賀を支配していた角鹿の神(ツヌガアラシトノ神)が主神の「角鹿神社」であったが、応神天皇(大和王権)らによって支配下におけれ、気比大神の摂社になってしまったというのである。


    気比神宮は、古くから御食津神(海産食物を司る神)として、海の航海安全と水産漁業の隆昌、陸には産業発展と衣食住の平穏に神徳・霊験著しいとされて鎮座した。 
    尚且つ、渡来系の神とあって、海人族に信仰されてきた神ともされているという。 


    以来、越前国一宮として隆盛したが、室町期における南北朝の対立の時代には南朝に、又、戦国時代には信長に亡ぼされた朝倉氏に付いたことから社勢は一時衰退したという。 

    江戸時代になって福井藩祖の結城秀康(家康の次男、秀吉の養子)の保護を受けて再興し、明治28年(1895年)、神宮号が宣下されて正式に「氣比神宮」に改称され、官幣大社に列格している。


    いずれにしても、古き良き時代の神社や寺院仏閣の成り合いを紐解いてゆくと、そこに必ずといっていい程、当時の日本の歴史の一端が垣間見えてくる、これが何とも面白く、愉快なのである。
      

    次回、「敦賀原発



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  • from: orimasa2007さん

    2012年02月15日 10時50分07秒

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    日本周遊紀行(205) 敦賀 「松原と神宮」

    .



    「旅の終わり、そして本当の旅の終わりは・・?」


     日本周遊紀行(205) 敦賀 「松原と神宮」   。




    気比の松原





    気比神宮大鳥居と本殿



    敦賀半島の根元にあたる旗護山トンネルを抜けると、ここは既に敦賀である。
    更に、若葉町の交差点を左に折れ、ぶち当たったところが巨大な松原と素敵で静かな海が広がっていた。 

    砂の浜辺と壮大な松原は「気比の松原」と称した。 
    広大な広さの中に17,000本にも及ぶ各種の松が並び、夏には美しい浜辺で海水浴も楽しめると言う。 
    普通、日本における海岸の松林はクロマツが多いと言われるが、気比松原では赤松が8割以上も占め、日本の白砂青松100選にも指定されていて三保の松原、虹の松原と共に日本三大松原として知られる。 


    1934年(昭和9年)に国の名勝に指定されている。 
    リアス形のギザギザ若狭湾の西の端には、先ほど訪れた日本三景である松の名所「天橋立」があり、ここ、東の外れには、やはり松の名所、日本三大松原の「気比の松原」が在ったのは面白い・・!。



    敦賀は、若狭湾に突き出た敦賀半島の影響で、季節風の強まる冬でも日本海沿岸の中では比較的穏やかとされる。  
    古代より敦賀湾の静かな沿岸は天然の良港として栄え、又、近代以降は北陸と関西を結ぶ位置から鉄道や道路の要地ともなっている。 

    かつては北九州や出雲と並んで古代朝鮮との交通の要衝でもあり、古書には・・、
    『上古(じょうこ・むかしむかい、かなりの昔)における敦賀の港は三韓(古代朝鮮)交通の要地にして、三韓・任那人(みまな、にんな)等の多く此地に渡来し、敦賀付近の地に移住土着したる者少なからず。其族祖神を新羅神社として祭祀せるもの多く、信露貴神社亦共一に属す』とある。 


    敦賀付近には新羅(シラギ)の宛字と思われる土地名や神社名が多いという。
    例えば敦賀市の白木、神社名では信露貴彦(しろきひこ)神社・白城(しらき)神社・白鬚神社などがあるという。



    気比の松原から東へ2km程度、そこは既に敦賀の市街地でもあり、その中心部に「気比神宮」が堂々と鎮座していた。 
    参道入り口には、高さ11mの朱色の大鳥居(重要文化財)が威風を放っている。

    この鳥居は、奈良・春日大社の大鳥居、安芸の宮島・厳島神社の海上鳥居と共に日本三大木造大鳥居の一つに数えられるという。

    主祭神は、伊奢沙別命(イザサワケノミコト、別名 気比大神、笥飯大神)、他に、相祭神として仲哀天皇、神功皇后、応神天皇、日本武尊(仲哀天皇の父)、素佐之男命、玉姫尊(神功皇后の妹)、武内宿禰(タケウチノスクネ)と錚々たる著名な神々が祭れれている。 

    日本武尊の子とされる仲哀天皇と神功皇后は夫婦であり、その子が応神天皇で親・子の関係にあり、共に九州・宇佐八幡宮の主祭神でもある。

    主祭神である「伊奢沙別命」の名義は不明であるが、神代より現在地に鎮座している地主神とされ、現在の天筒山(てずつさん・標高170mで金ヶ崎と連山をなし岬に突き出ている)に天下った神で、山域には神霊蹟もあるという。 

    北陸道や日本海の海上交通の要地であるこの地において、古くから北陸道総鎮守として崇敬された神とされる。


    次回、「気比神宮の祭神



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    【上高地雑感】 http://www.geocities.jp/orimasa2001/kamikoti.htm
    【上越国境・谷川岳】 http://www.geocities.jp/orimasa2001/kokkyou.htm
    【丹沢山塊】 http://www.geocities.jp/orimasa2001/tanzawa.htm
    【大菩薩峠】 http://www.geocities.jp/orimasa2001/daibosatu.htm




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