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from: orimasa2007さん
2010年06月14日 09時48分49秒
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日本周遊紀行(110)いわき湯本 「徳一と新興仏教」
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日本周遊紀行(110)いわき湯本 「徳一と新興仏教」
序ながら、徳一に関連して東北進出における奈良期から平安初期における仏教、仏僧について・・、
仏教界で大きく飛躍するのは、奈良から平安にかけてで新興宗教といわれる真言宗と天台宗で、空海と最澄という偉大な宗教家によって新風が吹き込まれるのである。
従来は、奈良仏教と言われ「南都六宗」(法相宗・抑舎宗・三論宗・成実宗・律宗・華厳宗)が主流であったが、平城(奈良)から平安(京都)に都が移ると同時に、空海と最澄が中国から新しい仏法を吹き込み、これが平安二宗と呼ばれるものであった。
その時期、徳一という偉大な宗教家がいたということは余り意識されていないが、その南都六宗の中心にいたのが彼であった。
当時の新興地は陸奥の国・東北地方だが、その東北地方においては最澄は徳一に抑えられて全く手がだせなかったという。
最澄は、唐の留学から帰り天台宗を唱えて、古来の奈良仏教を攻撃したとされている。
徳一は、その最澄に反撃を加えて五カ年間にわたる理論闘争(三一権実諍論:法相宗の僧侶・徳一と日本天台宗の祖・最澄との間で行われた仏教宗論)を行い、その結果において最澄は徳一に勝てなかったとされている。
最澄は、徳一を折伏(しゃくふく・悪法をくじき、屈服させること)し、東北に天台宗を広めようとして、まずは関東に乗り込んできたのだが徳一に遮られて成功しなかったという。
一方、空海は、奈良仏教の代表ともいうべき徳一とは論争をせず、むしろ尊敬の念を持って付き合おうとしたようである。
会津において磐梯恵日寺の建立時、空海は徳一に宛てて書をしたためている。
『 聞くなら徳一菩薩は「戒」珠玉の如く、「智」海弘澄たり、汚れを払って京を離れ、錫(しゃく)を振って東に往く。初めて寺を建立し、衆生の耳目を開示し、大いに法螺を吹いて万類の仏種を発揮す。ああ世尊の慈月、水あれば影現ず、菩薩の同事、いづれの趣にか到らざらん。 珍重珍重・・・』
小生拙宅(神奈川・厚木市)の二階の窓から、丹沢山系の一つ「大山」(おおやま・1252m)が見渡せる。
山好きな小生が手軽に日帰りで行ける山であり、年に数度はトレーニング代わりに登山している山でもある。
思えばこの山も、徳一に因んだ筑波山、湯の岳、強いては大和の三輪山に類似しているのである。
この丹沢大山も、神の山で古来より崇められ、江戸期にもなると「大山参り」といって近郷近在をはじめ遥か彼方より参詣にこられた由緒ある山なのである。
平安初期の820年、「空海」47才の時、彼が東国を教巡していた頃、徳一大師の誘引により「大山寺」に上り、大山第三世管主となっている。
山腹の阿夫利神社の名を「石尊大権現」と名付け、徳一は富士浅間社の神である大山祇神(オオヤマズミノカミ)を大山に勧請したとされている。
現在は神仏分離で山腹の阿夫利神社(山頂奥宮・雨降山)と中腹に大山不動尊が配してある。
同時期、東北にはもう一人偉大な人物がいた・・!、
これが最澄の弟子といわれるのが皮肉で面白い、慈覚大師「円仁」である。
小生が東北を巡った際もお目にかかったが、東北の北端に三霊山と称される恐山・円通寺、瑞巌寺、それに中尊寺、山形市の立石寺(山寺)など、これら著名な仏閣の開祖である。
坂上田村麿の往くところ、「円仁」の蔭があったともいわれ、東北文化の成立に大きな役割を果たした高僧なのである。
奈良末期から平安期の初年にかけて、東北・奥羽の先住民族である蝦夷(えみし)と大和朝廷との関係は緊迫していて、蝦夷との争乱がしばしば記録にも出てきている。
大和朝廷は国の統一と西方文化を広めるため、都からの援軍、増派が度々されているが、蝦夷側の抵抗が激しく支配下に収めることに難渋していた。
そんな中、蝦夷鎮圧(大和文化に従わせる)と西の文化(稲作文化)の融合を推し進めるべく登場したのが「坂上田村麻呂」であった。
朝廷は、坂上田村麻呂を征夷大将軍に任じ、武装した”稲作キャンペーン集団”ともいうべき大軍を派遣して、これを収めている。
坂上田村麻呂に制圧された後の陸奥の国において、蝦夷(エミシ)たちの疲弊した精神に対する戦後処理、情操にあたったのが、当時の国家的な仏教でもある天台宗であり、慈覚大師・円仁の存在であった。
円仁は最澄を超え、空海を超え、徳一を超えたともいわれ、円仁が布教活動にもっとも力を入れたところ、それが東北地方であった。
円仁は、わが国が誇るべき世界の偉人であるともされている。
終わりに、「徳一」の偉大で尚且つ特異さは貴族の出でありながら、それまでの貴族中心の布教に対し、民衆に接しての救済を熱心に説き、努めた大人物であった。
その徳一が開祖した「いわき湯本の長谷寺」は、2007年(平成19年)で丁度、開建1200年の記念の年に当たる。
過日、この寺院を訪ねる機会を得た、それは次回でどうぞ。
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