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from: orimasa2007さん
2010年06月24日 12時54分18秒
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日本周遊紀行;温泉と観光(32)むつ 「霊場・恐山」
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日本周遊紀行;温泉と観光(32)むつ 「霊場・恐山」
霊場・恐山の大本堂、向こうに山門(地獄より望む)</div>
地獄の様相の「恐山」にも天国は在った・・、
再び県道4まで戻り、そのまま「恐山」を目指す。
薬研温泉から直接、恐山へ行くことは出来るが道はいっそう細くなり、上下の激しいヘアーピンカーブやら、ものすごい山道が延々と続く。
道が大きく左へカーブすると、次第に明るくなり、視界も広がってきた。
遥か下に湖が見えてきて、この湖は「宇曹利湖」というらしい。
間もなく「恐山」全体が見えてきた。
大きな山門とその奥に広がる異郷の世界が出現したのである。
以前、普段はあまり出歩かない信仰心の強い母が、「恐山」へは一度行って見たい、と洩らしていたのを思い出す。
今となっては、少々悔やまれるが、既にもう三界の人となってしまった。
広大な駐車場には、朝、早いせいか、土曜日であっても未だ人影はない、八時開門という。
阿形、吽形と思われる仁王像が控えた、山門は二層造りの堂々たる巨大建物で、色彩も豊かである。
500円の参拝料を支払って山門をくぐることにした。
山門から左側へ折れ小道を登っていくと、硫黄臭とゴツゴツした岩だらけの空間が、広がっている。
そこに見える風景は物凄く荒涼として、殺伐たるものである。
地獄の小径が続く、無数の無縁塔、御霊石等に地獄谷、血の池地獄など、その中に観音像、地蔵尊、開祖の円仁(慈覚大師)堂が祭られている、正に霊界なのである。
荒涼とした地獄の一角に佇む、開祖円仁(慈覚大師)の御堂</div>
一方、地獄の裾には「賽の河原」が広がっていて、その先には対照的な白州の極楽浜と湖面が美しい宇曽利湖が広がっていた。
その周辺はミズバショウ、シャクナゲ、イソツツジ等が彩々しく色どりを添えていた。
まさに地獄と天国が一体となって広がっているのが「恐山」なのである。
賽の河原、三途の川に架かる「極楽橋」</div>
宇曽利湖と極楽浜周辺は天国の様相</div>
賽の河原とは現世と冥土の境、天国と地獄の境目、三途の河原ともいう。
地理でいう恐山山地とは、下北半島のまさかり部分にある山地全体を指し、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした外輪山の総称である。
外輪山は釜臥山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山、剣の山、地蔵山、鶏頭山の八峰をいい、「恐山」という名称の単独峰はない。
いわゆる「恐山」とは、霊場を指す独特の名称のようだ。
活火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比が特徴的であり、寺名は恐山・菩提寺、本坊はむつ市田名部にある曹洞宗・「円通寺」である。
恐山は、宇曾利山:「うそりざん」が変じたものという・・、語韻が似ている。
西暦862年に慈覚(じかく)大師・円仁が開山し、初めは恐居山・金剛念寺と称していたらしい。
この頃は天台密教の寺であったが、争乱で寺は破壊され一時衰退したが、1530年に聚覚(じゅかく)によって再興されたという。
以降、曹洞宗に改宗され、釜臥山・菩提寺と称して円通寺(むつ市)が別当をつとめている。
霊場・恐山の開祖は、天台宗を開いた最澄の弟子である慈覚大師・円仁で、円仁が唐に留学中、 夢で「汝、国に帰り、東方行程30余日の所に至れば霊山あり。 地蔵尊一体を刻しその地に仏道を広めよ」という御告をうけた。
円仁はすぐに帰国し、夢で告げられた霊山を探し歩いき、苦労の末、 恐山にたどり着いたといわれる。
円仁は6尺3寸の地蔵尊を彫り、 本尊として安置したとされている。
本尊は延命地蔵菩薩である。
日本三大霊山(恐山、高野山、比叡山)、日本三大霊場(恐山、白山、立山)、日本三大霊地(恐山、立山、※川原毛)の一つである。
その昔は、日本海を舞台とした北前船が往来し、漁師や乗組員が航海の安全や家業繁栄を祈るために参拝者が詣でた。 また、下北地方には大漁や五穀豊穣、家内安全、無病息災といった現世利益を願う「地蔵講」という習わしがあり、村では季節が変わるごとに恐山に詣で、地蔵菩薩に御利益を願ったという。
古来より、地蔵信仰を背景にした死者への供養の場として知られ、下北地方では「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行(い)ぐ」と言い伝えられている。
恐山大祭や恐山秋詣りには、イタコマチ(イタコがテントを張って軒を連ねている場所)に多くの参拝人が並び、イタコの口寄せを聞く。
「イタコ」は津軽・南部地方の巫女の名称であり、現世依頼者の求めに応じて死者の霊を呼び寄せ、その言葉を依頼者に伝える、 所謂、霊媒者のことである。
大祭には,各地のイタコが集まり死者の口寄せを行うので多くの参拝客が集まるという。
昨今では、イタコに依頼する参詣者が殺到し、予約をしないと口寄せは叶わないともいわれる。
別当・「円通寺」は、むつ市の市街地のほぼ中心、国道279と338号の交差点に、境内・本堂を有している。
明治時代に入り,戊辰戦争で敗れた会津藩が、下北と三戸郡に領地を移され、斗南藩として藩再興を果たすが、その時の藩庁がこの「円通寺」であったそうである。
地獄の境内にある「恐山温泉」と小生</div>
恐山自体が火山であるため、境内には温泉が湧いている。
古滝の湯、冷抜の湯((ひえのゆ)、薬師の湯、花染め湯など、4つの浴場があり、お入り自由の無料である。 ただし、参拝者のみであるが。
参道の左に掘立小屋風の男性用「冷抜の湯」と女性用「古滝の湯」の湯小屋が有る。
敷戸を引いて中に入ると、硫黄の臭いがただよう。
湯船及び床は総ヒバ造りで、感触がいい。
お湯は透明だけど硫黄の刺激臭があって、いかにも温泉らしさを醸し出す。
淡い緑色をしている湯に浸かるとビリビリときた、熱い・・!!
仕方なく水で薄める、それでも成分は濃厚である。
それもそのはず、ここ自体が源泉であるから。
ただ一人、入浴中の「八王子」出身の大湊海上自衛隊員と、しばし郷愁の会話を交わす、ついでに記念写真をパチリ。
恐山の湯でミソギをし、恐山を後にした。
恐山よりむつ市街に至る恐山街道(青森県道4号)には途中、整備された湧き水・冷水(ひやみず)があり旅人の喉を潤している。
この湧き水を一杯飲めば10年、二杯飲めば20年、三杯飲めば死ぬまで若返ると言われているが・・?。
※ 「川原毛」 宮城県境に近い秋田県湯沢市の山中にある火山地帯で、火山で荒原となった地域を川原毛地獄と称している。至るところから硫黄が噴き出し、まさに地獄の雰囲気が漂うところである。恐山、立山と並び 日本三大地獄(霊地)のひとつに数えられる。 血の池地獄からの沢水は、滝壺が露天風呂の川原毛大湯滝となっているという・・。河原毛地獄、針山地獄を回る所要一時間の遊歩道も整備されているが、周囲は硫黄ガス度が高いので注意が必要だといわれる。
次回は小本温泉・「黄金八大龍王の湯」
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