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  • from: orimasa2007さん

    2010年11月14日 10時13分50秒

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    日本周遊紀行(39)尾鷲 「紀伊の鬼」

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     日本周遊紀行(39)尾鷲 「紀伊の鬼」  ,




    三重県熊野市木本町の海岸にある鬼の国の象徴・「鬼ヶ城」




    一鬼から九鬼、九鬼義隆、「鬼が城」そして鬼は修験道に通ず

    尾鷲」はNHKのラジオ第2放送の気象通報でお馴染みの名称である。
    「おわせ、風力3、晴、1013ミリバール」(今はミリバールとは言わないが・・) 

    ところで尾鷲の北部地域の大台ケ原や大杉谷あたりは日本国内で最も雨量の多いところである。 この尾鷲では1968年9月26日、最大日降水量(1日の降水量)806mmという、とてつもない雨量を観測している。 これは地域別にみると、国内の最高記録になっているという。

    市の後背部は広大な山域を有し、温暖多雨な気候と合い間って尾鷲は林業が盛んである。
    中でも「尾鷲ヒノキ」は、鮮やかな赤みと強靱な良質の材木として全国的にもその名を知られてる。

    又、江戸期から良港として知られている尾鷲漁港はブリの水揚げでも全国有数を誇るよいう。 大正期には一面の浜は、足の踏み場が無いほど大漁が続いたという。
    九鬼岬の氏神・九木神社の例祭はブリ漁が本番を迎える1月に行われ、「鰤(ブリ)まつり」としても有名だとか。
    この九木神社は九鬼氏の祖を祭ってあり、その九鬼の祖は藤原隆信という説もある。
    そして地名の九鬼は、あの九鬼水軍発祥の地であるともいわれる。(前項、英虞湾でも述べた) 
    尾鷲の九鬼は市街地を抜けてR42が分岐するR311を行く、長い「九鬼山トンネル」を抜け入り江に出たところが「九鬼の浦」である。

    南北朝の頃に佐倉中将(伊勢国、四日市奥の佐倉)と呼ばれた藤原隆信は、吉野南朝の宮廷に仕えた宮人であった。 
    戦乱の末、九木浦へ落ち延びてからは藤原姓を改めて「九鬼氏」と称し、直ちに築城や水軍を養成したと言われる。
    その後、勢力をのばし、紀伊の名族として知られるようになる。 

    英虞湾の項でも述べたが、九鬼嘉隆は第九代目の分家にあたり、波切を舞台に水軍を主力として、志摩の波切から伊勢鳥羽へと勢力を広げ、五万石の大名へと出世する。 
    だが、こちら本家の九鬼家はこれに反して衰退してゆくことになる。


    その「九鬼」ついて 
    くき」という字は、元来、峰とか崖の意で、岩山や谷などを指すという。 
    又、鬼は鬼道すなわち修験道のことで、「九鬼」のように上につけられた数字は修験道場の開かれた順番であるともいわれる。

    平安時代から鎌倉・室町にかけて天台・真言などの修験僧や、また山岳信仰を奉じる修験者たちが各地に進出して修験道場を開いた。 
    この熊野地方は新宮がその本拠で、新宮から1番目の市木は「一鬼」、二木鳥(二鬼)と東に向かい、尾鷲市内では三木里(三鬼)、七鬼、八鬼、そして九鬼と続くという。 
    九鬼は、元はといえば修験道場として栄えた所で、それが地名になったのであった。

    序ながら九木神社は南北朝時代、後醍醐天皇をお守りして南朝を奉戴し、初め「九鬼神社」であったが、徳川政権時代に入って北朝に縁のある徳川氏の命により、南朝に寄与した九鬼氏の名及び関係する呼名を改めて「九木」としたものであるという。 



    国道42は熊野の山深い矢ノ川峠を行く
    長いトンネルを越えた山中に「道の駅・熊野きのくに」が在った、そう、ここは既に熊野市である。 時刻も昼時なので軽い食事を戴き、合わせて紀の国、木の国、「鬼の国」の清涼な雰囲気をゆったりと味わう。

    面白いことに
    この道の駅・「熊野・きのくに」の経営母体は、「鬼の国・物流共同組合」という。 組合の鬼の字は、「オニ」と呼ぶか、「」と呼ぶか定かでないが、鬼の国からの由来であろう。 
    この先の名勝に「鬼ヶ城」というのがあり、鬼は修験道に通じ深山幽谷、波濤打砕のこの地はいかにも鬼が出そうで妙に納得するのである。


    吉野方面へ通ずるR309(東熊野道)と合流して、やがて熊野灘の御目当て「鬼ケ城」に出た。 
    早速、「鬼ヶ城センター」為るものに500円の駐車料金を払って出向いてみた。
    断崖絶壁、というほどでもないが岸壁が奇妙な形をしていて目を引く。 
    人力で造作したと思われる岩場の階段には転落防止の鉄柵が施してあり、若干のスリルも味わえる。 

    千畳敷と言われる「鬼床」は造ったような広い平面盤で、その上部の巨大な岩魁が覆い被さっている。 ここでは雨露も凌げ、波濤と遥か大洋面を望みながら鬼(修験者)が修行するには好適地であるようだ。
    隅っこで地元のおばさんが地元産品の小店を気だるそうにを開いていた。

    鬼ケ城」は、伊勢志摩から延々と続くリアス式海岸の南端に位置し、熊野の山塊が熊野灘に突落ちてくる岩壁が、永久の時の波蝕作用で出来上がった洞窟である。 
    岩場全体が名勝で、古くから紀州名物として親しまれている。 
    鬼ケ城の海岸線に沿って、約1キロの遊歩道があり、この間には、熊野灘の荒波の浸食による大小様々な洞穴があって、大きなものには夫々に名称が付けられているようである。

    この「鬼ケ城」を中心として、地元有志会(熊野市観光協会)において、毎年8月17日に「熊野大花火大会」が開催されていることは全国的に知られている。 
    各種スターマイン、二尺・三尺玉、海上自爆水中花火、海上自爆三尺玉、ナイアガラと見どころはつきない。
    お目当ての見物(みもの)はなんといっても鬼ケ城仕掛けで、岩場や洞窟に花火を直置きするという荒技で、信じられないほどのド迫力の地上大爆発の連続が数分も続くという。 是非、一度は拝見したいものだ。




    熊野灘に向かって吼える「獅子岩」


    鬼ケ城のトンネルを抜けると、これまた名物の「獅子岩」が在る。
    鬼ケ城ほどの大迫力とスペクタクルは無いものの、「日本のスフィンクス」(・・?)とも呼ばれる獅子岩は、高さ25m、周囲約210mの岩塊で、地盤の隆起と波の浸食によって造形されたもの。 
    あたかも獅子が太平洋に向かって吠えているかのような姿からこの名が付いた。 学術的価値も高いものだと言われている。

    次回、「熊野地方」



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