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  • from: orimasa2007さん

    2011年01月22日 10時50分59秒

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    日本周遊紀行(69)高知 「五台山と牧野富太郎」

    .


    日本周遊紀行(69)高知 「五台山と牧野富太郎」  、




    写真:高知県で唯一の竹林寺「五重塔」



    高知県の偉人の一人・牧野富太郎

    世間が、今日の活動を開始する前の早朝、出立する。 未だ人の気配もマバラな後免駅前に出た。
    この駅は、旧来の土讃線に乗り入れている「ごめん-なはり線」(土佐くろしお鉄道)の始発駅でもある。駅舎は真新しく、やや円形を帯びたモダンな造りである。
    それもその筈で土佐くろしお鉄道は、ごく近年の2002年(平成14年)7月に開業したばかりであった。


    高知の市電であろうか・・?、行き先表示に「ごめん」と書いた黄色味を帯びた電車が、路面を滑るようにゴーゴーと音を立てて通り過ぎてゆく。 そう云えば、ここ後免町がやはり終点のようである。この電車道を横切るようにして、とりあえずへ出て、そして一路、高知市内を目指す。

    すぐにT字路の大きな交差点が現れた。 こちらは高松へ通ずる国道32であり、高松市から高知市へ至る幹線国道である。 つまりは国道55はこの地が終点のようである。
    思えばR55号は、四国へ上陸した直後の徳島から、ここ高知の後免町まで概ね辿ってきた道程であった。
    徳島市から小松島、阿南、室戸岬を越えてこの地まで、所謂、現代の遍路道でもあり、多くのお遍路さんが利用する道にもなっている。 聞くところ日和佐の薬王寺から室戸岬の最御崎寺までの長い道のり、約75kmの間には札所寺院がないため、夏の暑い日などは、日中を避けて夜を徹して歩く遍路さんも多いようである。


    以降、高知方面の32号線を走ることになる。
    途中、標識に「五台山」、「牧野富太郎記念館」とあり、左方には小高い丘のような、小山のようなものがコンモリと見えている。 
    五台山公園で頂上には第32霊場「竹林寺」があり、麓に牧野富太郎記念館があった。


    五台山にある竹林寺
    山門の階段下からの眺めはなかなかのもので、今頃の若葉の時節もいいが、紅葉の季節には京都寺社の風景にも負けないくらいの絵になる景色であろう。本堂・山門・本堂南側の赤色の社殿・五重塔などが見事に並んでいる。 
    「五台山」とは、元もとは峨眉山、九華山、普陀山とともに中国仏教の四大聖地の一つで、(現、山西省五台県の東北部に位置する)奈良期、「行基禅師」が唐の五台山で修行、帰国後、諸国を修行中に当地を訪れ、地形が五台山に似ているので命名したという。 

    ここにお堂を建て、文殊菩薩を納めたのが「竹林寺」の始まりであった。 
    文殊菩薩は「三人寄れば文殊の知恵」の文殊で、知恵の菩薩様であることは周知であるが、この文殊の「高い知恵」に因んで、「高知」の地名が生まれたともわれる。

    境内上部にチョッと派手色の赤味がかった「五重塔」が立つ。 
    寺にはかつて三重塔があったが、明治32年の台風で倒壊してしい、現在、境内にある五重塔は高知県で唯一のものとして、昭和55年に完成したという。  高さ31mの木造の塔は国内でも珍しく、総檜造りで、鎌倉時代初期の様式に倣っているという。
    又、竹林寺の庭園は、鎌倉から南北朝時代に学僧・夢窓国師の作とされ国の指定名勝となっている。
    「文殊の知恵」にあやかろうと受験シーズンには合格祈願に大勢の人が訪れるという。

    土佐の高知のはりまや橋で 、坊さんかんざし買うを見た、よさこいよさこい』、と「よさこい節」に唄われている。 実は、江戸時代に実在したお馬という女性と僧侶との悲恋物語が歌い込まれている。 その僧侶の名を純信といい、竹林寺脇坊・南の坊の修行僧であったという。(次回で詳細述べる予定)



    五台山の東側に牧野富太郎植物園と記念館がある

    『 草を褥(しとね)に 木の根を枕 花と恋して 九十年 』

    「高知県の偉人は?」と尋ねられたならば、土佐の人は、迷わず牧野富太郎博士の名前をあげるという。
    「牧野富太郎」は、著名な植物学者で知られる。 

    私は生まれながら草木が好きである。何故に好きになったという動機は何にももない。5,6歳の時から町の上の山へ行き、草木を相手に遊ぶのが一番楽しかった。」幼少の頃より病弱で、ひとり動植物に親しんだという。

    富太郎は、文久2年(1862)4月,高知県高岡郡佐川町(高知市佐川町)に生まれている。 小学校を中退し、家の資産を食いつぶして植物の採集と分類に没頭、財産を使い果たしたあとも、貧困に苦しみながら研究を続けた。 そのため、独学・苦学の研究者として有名である。上京して東京帝国大学理学部植物学教室に出入りを許され、谷田部良吉教授(明治時代の植物学者)らもと接している。

    植物研究のため実家の財産も使い果たし、さらに妻が経営する料亭「いまむら」の収益もつぎ込んだ。 その料亭の件や、当時の大学の権威を無視した、「植物図鑑」等の出版が元で大学を追われたこともある。しかし、彼自身、名誉とか権威という自己欲には全く無頓着で、逆に、当時の帝大教授たちや学界の権威といったものの「愚かさ」を浮き彫りにさせたともいう。

    『 何よりも 貴き宝 もつ身には 
             富みも誉れも 願はざりけり
     』

    この時期、妻の壽衛(スエ)が54歳の若さで死去している。

    『 朝な夕なに 草木を友にすれば さびしいひまがない 』

    仙台にて新種の「ササ」を発見、翌年、ササに妻の名を入れた「スエコザサ」と命名している。
    牧野富太郎は、植物の種類に精通し鑑定の的確なことでは他人の追随を許さず、日本の本草学を植物分類学へと転換した第一人者である。
    その反面、近代生物学の理論的な面はほとんど理解しなかったという。
    主著(1908年)は何度か改訂改題を重ね、現在は『原色牧野植物大図鑑』として刊行されている。

    1948年、86歳の時、皇居を参内し天皇陛下に植物学を講義されている。 
    日本学士院会員(1950年)、文化功労者(1951年)、東京都名誉都民(1953年)などに選ばれる。1957年(昭和32年)1月18日永眠、 没後、文化勲章を授与される。 
    「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎の生誕日(4月24日)を記念し,この日を「植物学の日」としている。

    次回は、土佐の高知の「はりまや橋



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