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from: H-2さん
2008年11月09日 17時46分18秒
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「コンバットマガジン」に掲載された永田市郎氏の記事について
軍事専門誌「コンバットマガジン」の12月号で、写真家(銃器関係)である永田市郎氏が、2007年に愛知県長久手町で発生した人質立てこもり事件について記載しています。
愛知の立てこもり事件に関しては、既に何回かこの掲示板で書き込んでいますが、今回は永田氏の記事の内容も含めて、書き込みたいと思います。
相変わらず、文章にまとまりの無い所があるかもしれませんが、御容赦下さい。
永田氏は、立てこもり事件でSAT隊員が死亡したことについて、記事の中で何点か主張されていますが、要約すると
SAT隊員は、1日500発を使用する射撃訓練を年間100日行い、
ビアンキカップ(アメリカの射撃競技)の競技種目のような訓練を行っていれば、事件で死ぬことはなかった。
というものです。
まあ、読んでいただくと分かりますが、永田氏は写真家としては著名なのですが、写真に付随する文章に関しては、何かと批判されることが多い方です。
SAT隊員が死亡した理由については、検証記事が新聞や雑誌などに、ずいぶん出たのですが、永田氏は残念ながら、あまり御覧になっていないようです。
SAT隊員が死亡したのは、永田氏が主張されているような、隊員個人の射撃技術の問題ではなく、現場指揮の問題です。
最大の問題点は、発生から5時間も経過した後に行われた警察官の救出が、突入を想定したものではなかった、ということです。
救出の際、SATは中途半端な後方に配置され、突入ができるような体制ではなく、また許可もされていませんでした。
SATは現場の指揮官に「相手が撃ってきて、姿が見えたら撃て。」と命令されていたそうです。
最初から突入が想定されておらず、かつ隊員が打たれた際、犯人はブラインド越しに射撃をしており、撃ち返せば人質に当たる可能性がありました。
本来であればSAT隊員が撃たれた後に、できるだけ速やかに突入の体制を取るべきでしたが、これも行われませんでした。
私の個人的な推測ですが、事件当時、警察官が家の正門前に倒れている様子が、長時間報道されていましたから、
とりあえず、警察官だけでも、犯人に気づかれないように救出しよう
という発想だったのではないかと思います。
なお、民家敷地内には、犬がおり、接近することにより、吠えて気づかれる可能性は十分にありましたが、この問題を解決しないまま、救出は実行されました。
犯人との交渉は、事件発生直後から行われていましたが、具体的な行動に関しては、準備が不十分だったのです。
このような体制では、仮に、SAT隊員がビアンキカップで優勝経験があったとしても、やはり死亡していたでしょう。
なお、この事件で現場の指揮を担当していたのは、刑事部長と捜査第一課長です。
また事件の最高責任者は愛知県警察本部長です。
いずれも適切な指揮を執ったとは、到底思えません。
また、永田氏は「人質が自力で脱出した段階で、突入を行うべきだ」
と主張しています。
これに関して、氏の主張はもっともだと思います。
ですが、現場指揮官は、この段階おいても突入を決断できず、何時間も交渉を続けています。
なお、警察庁のOBである佐々淳行氏は、「この時点で交渉の段階は、とっくに終わっていた。」と主張されていますが、全くそのとおりだと思います。
この事件を教訓として、SATが出動した際には、警察庁から支援班(SSS)が派遣され、SATの「正しい運用法」を本部長や現場指揮官に助言するような体制となりました。
ですが、根本的には、このような事件が発生した際、的確な指揮が取れる幹部の養成が急務でしょう。
テロリストが起こした、いわゆる「警備事件」であれば、警察の体制も全く変わってくるのですが、問題は、この事件のように、単なる粗暴犯が犯した、一般の「刑事事件」への対処です。
人質立てこもり事件は、それほど頻繁に起こるような事件ではありませんから、指揮官も実戦形式の訓練を普段から重ねていないと、事件発生の際に不手際が多い、ということになります。
さすがに、近年は、指揮官も含めた実戦形式の訓練が定期的に行われているようですが、都道府県警察によっては温度差があるようです。
捜査指揮官の役職にある方々は、さらなる練度の向上に努めてもらいたいと思います。-
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