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from: H-2さん
2011年09月11日 20時45分40秒
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国際警察部隊「スペシャルチーム6」について
こんにちは、まだまだ夏日が続きますね(^_^)。
さて、今回は先月「ノルウェーの連続テロ事件」の書き込みで少しだけ触れた国際警察部隊「スペシャルチーム6」について書き込みます。
東欧のコソボ共和国に関することなので、あまり馴染みは無いかも知れませんが、御容赦ください(^_^;)。
国際警察部隊スペシャルチーム6(Special Team 6)は通称「ST6」と呼ばれています。
ST6は、1990年代に発生したコソボ紛争の戦争犯罪者を逮捕する目的で編成されました。
ST6の活動地域であるコソボは、2008年まで国連暫定政府(通称、UNMIK)の統治下にあったため、ST6はUNMIKの監督下で活動していました。
戦争犯罪者はコソボに武装して潜伏していることが想定されたため、ST6は急襲作戦に秀でた7か国の警察特殊部隊で構成されています。
ST6に参加した国は、ドイツ、オーストリア、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、チェコ、アイスランドの7カ国です。
各国とも、自国を代表する特殊部隊をコソボに派遣しました。
また、コソボには安全保障を担当する「KFOR」という組織が存在します。
KFORは国連加盟各国の軍隊によって編成された連合軍です。
このKFORの中には各国の憲兵隊で編成された「MSU」というテロ対策部隊があますが、ST6は各国の司法機関で編成されており、軍に所属する特殊部隊は含まれていません。
参加国は7カ国なのに何故「チーム6」なのかは不明ですが、おそらく米海軍SEALの対テロ部隊「チーム6」を意識したのかも知れません(^_^;)。
それでは、ST6に参加した各国の特殊部隊について、少し長くなりますが、国ごとに取り上げていきます。
ドイツ…参加部隊 GSG9、SEK
GSG9は何度かこの掲示板でも取り上げています。ドイツ連邦警察局に所属するテロ対策部隊です。
日本警察が特殊部隊を創設する際、GSG9は装備、訓練、ノウハウを全面的に支援したと言われています。
司法系テロ対策部隊の中では、フランスの特殊部隊「GIGN」と並び双璧と言われています。
一方、SEKはドイツ州警察に所属する特殊部隊で、GSG9から指導を受けて編成されています。
凶悪犯罪の対処が主要な任務で各州警察ごとに編成されています。
オーストリア…参加部隊 Cobra(コブラ)
コブラは以前、憲兵隊に所属していましたが、現在は内務省直属の特殊部隊です。
凶悪犯罪とテロ対策を担当しています。
部隊のレベルは世界的にも高く、日本警察のSATと合同訓練を行ったことがあるそうです。
また、ドイツのGSG9は、マスコミ等の取材を制限していますが、コブラは比較的オープンで、取材には好意的だそうです。
ノルウェー…参加部隊 Beredskapstroppen(通称BT)
先月の書き込みでも取り上げたノルウェー国家警察の特殊部隊です。
テロ対策も担当しており、隊員個人のレベルは高いようですが、ウトヤ島の銃撃事件では、ヘリやボートなど輸送能力の不備が問題となりました。
スウェーデン…参加部隊 Nationella insatsstyrkan(通称NI)
「Nationella insatsstyrkan」という部隊名はスウェーデン語です。英語では「National Task Force」という意味ですので、日本語に直訳すると「国家戦術部隊」になります。
以下、略称である「NI」と呼びます。
NIはスウェーデン国家警察に所属し、他の警察部隊では対処しきれない凶悪犯罪やテロ対策を担当しています。
アメリカ連邦捜査局(FBI)の特殊部隊「HRT」に近い性質の部隊です。
以前は他の警察業務と兼務する、いわゆるパートタイムの特殊部隊でしたが、現在では専門のフルタイム部隊として編成されています。
また、スウェーデン軍との合同訓練も行わているようです。
NIは8個のグループに分かれており、狙撃部隊や潜水部隊も保有しています。
カナダ…参加部隊 Emergency Task Force(通称ETF)
ETFはカナダ最大の都市、トロントを管轄する「トロント市警察」に所属しているSWATチームです。
部隊名を日本語に直訳すると「緊急戦術部隊」となります。
ETFはカナダ国内で唯一の専門(フルタイム)部隊で、他の警察部隊は全て兼務(パートタイム)部隊だそうです。
ですからETFは、カナダ国内で最もレベルが高いSWATチームとなります。
ETFはカナダ軍の特殊部隊「JTF2」と合同訓練を実施しているそうです。
チェコ…参加部隊 Utvar rychleho nasazeni (通称URNA)
URNAはチェコ国家警察の特殊部隊です。
凶悪犯罪の対処と、ハイジャック対策、テロ対策を主要な任務としています。
ユーチューブにはURNAの訓練が公開されており、隊員は灰色のアサルトスーツにMP5というスタイルです。
アイスランド…参加部隊 Vikingasveitin(ヴァイキング部隊)
部隊名は当然ながら、アイスランド語です。
「Vikingasveitin」というのは通称名で、正式な部隊名は「Sersveit rikislogreglustjora」というのですが、分かりにくいので「ヴァイキング部隊」と呼びます(^_^;)。
ヴァイキング部隊はアイスランド国家警察の特殊部隊で、重要施設の警備、要人警護、テロ対策を主要任務としています。
アイスランドには軍隊が無いため、他の国では軍の特殊部隊が担当するような任務もヴァイキング部隊が担当しています。
その一例として、ヴァイキング部隊の隊員はNATOの指揮下に入り、アフガニスタンにも派遣されています。
ヴァイキング部隊は5個の分隊に分かれており、分隊ごとの役割は以下のようになります。
アルファ(A)分隊…爆発物処理を担当。
ブラボー(B)分隊…潜水、及び舟艇分隊。
チャーリー(C)分隊…狙撃、偵察分隊。
デルタ(D)分隊…諜報分隊。浸透作戦などを担当。
エコー(E)分隊:…空挺分隊。ハイジャック対策なども担当。
またヴァイキング部隊は、デンマーク軍との合同訓練も行っています。
もともとアイスランドはデンマークの植民地だった経緯があり、独立後も旧宗主国であるデンマークとの関係が深いようです。
先述のようにST6は、コソボ紛争において虐殺行為を行った戦争犯罪者を逮捕するために編成されましたが、2004年にコソボでアルバニア系住民による大規模な暴動が発生します。当時のコソボは国連統治下にあり、国連職員や国連施設が暴徒に攻撃されました。そのためST6も暴動対策に出動し、ビルに閉じ込められた国連職員の救出などを行いました。
その後2008年に、コソボは共和国として独立を宣言し、現地における国連の機能は大幅に縮小されました。
現在、コソボの司法、警察業務はEUの「EULEX」という組織が担当しています。そのため、ST6が現在でも活動しているかは不明です。
コソボの情勢は比較的安定しているようですが、今後は他の紛争地域で、ST6のような部隊が国連主導で編成されるかも知れません。その際、ST6と同種の部隊に日本が参加するのであれば、やはり警察のSATが派遣されるのではないかと思います。
国連の要請を受けて警察官が犯罪者を逮捕しに行くわけですから、自衛隊を紛争対策に派遣するよりも、政治的なハードルは低いのではないかと思います。
当然ながら、派遣される隊員には語学力や、現地の情勢に精通することが必要でしょう。
ただし、日本がST6のような部隊に参加した場合、周辺国が日本への対抗意識から相次いで参加を表明する可能性が有ります。
例えば、韓国なら「KNP-SWAT」、中国なら「特殊警察」、ロシアなら「OMON」といった部隊を国連に派遣するかもしれません。
今後、ST6のような部隊が編成され、国連が日本に参加を要請するような事態になれば、積極的に参加するべきでしょう。
もちろん、派遣される隊員の安全対策には万全を期す必要がありますが、日本が国連で常任理事国を目指すのであれば、ST6のような活動に積極的に人員を派遣し、相応の役割を果たす必要があると思います。-
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