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from: ueyonabaruさん
2008年05月09日 15時17分52秒
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パイドン ②
ここで、興味深い霊的なことに言及している箇所を引いてみます。そして、パイドンはこれで了とします。
(死後の世界)
「それなのに、考えてもみたまえ、魂というこの見えざるもの、自分と同じように高貴で、純粋で、見えざる領域へと逝き、名前そのままにハデスの(見えざる)国へ、善き賢き神のみもとへ去りゆくもの・・・・・このようなわれわれの魂、このような性格を本来もっているものが、多くの人々の言うように、肉体からはなれるとたちまち吹き飛ばされ、滅び去ってしまうのだろうか?いやいや、そんなことはとうていありうるはずがない・・・」
「他方これに反して、思うに、もし魂が汚れたまま、浄められぬままに肉体をはなれるならば―――それというのもほかではない、魂がつねに肉体と結びつき、肉体にかしずき、肉体を愛し、肉体ならびにその欲望と快楽に魅せられてきたからであり、そのあげく、肉体と同性質の形而下的なもの、すなわち手でふれたり目で見たり、飲んだり食ったり、・・・・・このようなあり方をつづけてきた魂が、純粋に自己自身になって、汚れなきままに肉体をはなれて行くだろうと思うかね・・・・・むしろ思うに、そのような魂は、形而下的なものにしっかりととりすがられているのだ。・・・・・そのために魂は、世に言われているように、碑や墓のまわりをさまようのだ。事実そのあたりでは、何か影のような魂の幻影がよく見られるということだが、これは、いま言っているような魂、浄められぬままに肉体からはなれ、「見えるもの」をふり捨てきらなかった魂のもたらす影像なのであって、だからこそそれは人に見えるわけなのだ」
「その言いつたえとはすなわち、次のようなものだ。―――人が死ぬと、それぞれの者についている神霊(ダイモ-ン)がそれぞれの者を待っている。それは人が生きているうちから運命を見守られてきたのと同じダイモ-ンだ。このダイモ-ンが案内をひきうけて、各人をある場所へつれて行く。そこに集められた者たちは、まず裁きの前に立たなければならない。」
「ほんとうの大地(ueyonabaru註 哲学者の行くべき天界のことか)は、これを上からみると、ちょうど十二片の皮を縫い合わせたまりのようにみえ、いろとりどりの綾模様をなしつつ、各部分ははっきりと色分けされている。われわれの世界にあるさまざまの色は、この上方の世界にある色彩の、いわばわずかな標本のようなものであって、画家たちはそのわずかな標本を使っているわけなのだ。かの地ではしかし、大地の全体がことごとくこのような色彩をもっていて、しかもこの世界のそれよりも、はるかに鮮明で純粋な色彩なのである。すなわち、そのある部分は目をみはるばかりに美しい紺碧、ある部分は黄金色にかがやき、白い部分は白亜よりも雪よりもなお白く、その他同様にしてさまざまの色彩からなり、それらはわれわれが見て知っている色よりも、さらに数多く、さらに美しい。」
パイドンはこれで終わりです。それにしても、なんと霊的なソクラテスでしょう。ソクラテスの考えは、大川隆法やその他の神秘主義者の考えと共通しているように思えます。さらに仏教の教えにさえ似ております。
次には、同じくプラトンの「饗宴」を読んでみたいと思います。ソクラテスの霊的な側面とはまた違った、彼の別の姿が出てくるのでしょうか。まったくはじめて読み始めますので、楽しみにしております。
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