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  • from: ueyonabaruさん

    2008年06月10日 11時59分58秒

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    アルキビアデス

     アルキビアデスを読みました。私の手にしている本では、その前にラケスという章がありますが、これは特にまとめる内容があるとは思えないので、省いております。、

     アルキビアデスは前途有為な青年として描かれております。ソクラテスは例のごとく守護霊ダイモ-ンの教示(すなわち彼に会うことに反対をしない)に従い、恋するアルキビアデスに初めて会い、そして対話が始まることになるのです。ここで恋するという言葉が出てきますが、これはわれわれの使う恋という言葉の意味とは若干異なり、当時のギリシャ特有の使い方かも知れませんが、必ずしも男女の間の恋ではなく有意な美しい青年への愛であり美しい少年への愛であったりします。男性への愛であったりするわけですが、これが即同性愛とも言い難いところがあるように感じられます。

     アルキビアデスは、将来国会議員として打って出ようとしており、これに、ソクラテスが彼に対話のかたちで説教するという設定です。

     人間とは何かを知らなければ、人間を善くすることはできない。デルポイの神殿にある「汝自身を知れ」という言葉は何を意味するのか。
     次のとおり対話が続きます。長いのですが、引用してみます。


    ソクラテス: したがって、靴屋もキタラ(楽器)の演奏家も、手       や眼のような、そこでかれらが仕事をするものとは       異なるということになる?
    アルキビアデス: 明らかにそうです。
    S: ところで人間は、また身体の全体をも使用するのではない    か。
    A: ええ、全くそのとおりです。
    S: ところで、使用者と使用されるものとは違うのだったね。
    A: そうです。
    S: したがって、人間は自己の身体とは別ものであるということ   になるのかね。
    A: そうかもしれません。
    S: では、人間とはいったい何だ。
    A: 答えられませんが。
    S: しかしとにかく、身体を使用する者だということだけは言え   るはずだが。
    A: はい。
    S: ところで、そもそもそれを使用する者は、心のほかに何があ   るかね。
    A: ほかにはありません。
    S: そしてそれは、身体を支配することによってではないのか。
    A: ええ、そうです。
    S: さて、それなら、もう一つここに、誰も異論はないだろうと   思うことがあるのだ。
    A: どんなことですか。
    S: 人間は三つのうちのとにかく一つだということさ。
    A: 三つって、何の三つでしょうか。
    S: 心か身体か、あるいは両方合わせた、その全体かということ   だ。
    A: それに違いありません。
    S: ところがしかし、まさに身体を支配するものが人間だという   ことを、われわれは一致して認めたのだ。
    A: はい、認めました。
    S: すると、はたして身体は、自分で自分を支配するものだろう   か。
    A: いいえ、けっして。
    S: なぜなら、それは支配されるものだと、われわれは言ったの   だからね。
    A: はい。
    S: そうすると、これはわれわれの求めているものではないとい   うことになるだろう。
    A: ええ、そういうことになるかもしれません。
    S: しかしそれなら、心身両方合わさったものが身体を支配する   のだろうか。そしてしたがってこれが人間だということにな   るだろうか。
    A: たぶん、きっとそうかもしれません。
    S: いや、むしろその見こみは一番少ない。なぜなら、いっしょ   にいるもう一方のもの(心)が支配してくれるのでなけれ    ば、両方合わさっても、それが支配するという道は何もない   と思うからだ。
    A: それは当然です。
    S: ところで、身体も心身両方の合わさったものも人間ではない   といういうことになれば、思うに残るところは、そういうも   のは何もないか、あるいはもし何かあるとすれば、人間は心   にほかならないという帰結だけであろう。
    A: 正確にそのとおりです。
    S: それでは、心が人間だといういうことは、もっと何か明確な   証明を必要とするだろうか。
    A: いいえ、ゼウスに誓って、その必要はありません。


     人間とは心であると端的に言うのがソクラテスなのですね。非常に明快です。大川隆法もそのように言っております。こころの大切さを教える方々は多いのですが、このように端的に心こそ人間であるというかたは少ないのではないでしょうか。両者の一致は驚きであり感動もいたしました。 






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