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  • from: hiraokaさん

    2008年10月26日 23時22分12秒

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    番外編です

    次にご紹介するのは、ぼくが付き合わせてもらっているバーンスリーと云うインドの横笛の演奏家の文章です。

    バーンスリーというインドの竹笛は、歌口の穴と六穴の指孔しかないシンプルなものですが、その演奏を始めて聞くと信じられないほどの表情を作り出します。
    習得にはたいへんな努力が必要で、日本にはたったの二人しか演奏家がいません。
    ぼくはそのお二人と付き合わせていただいて、じつに楽しい思いをさせていただきました。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    その銀山寺のコンサート終わって、夜のこと。
    どうした訳か、天狗の話になる。
    「カラス天狗というのは、あれはいったい何者なんでしょう?」
    そこから話がはじまって、酒の勢いも借り、話題は洋の東西を駆け巡り、時代を飛び越え、気がつけば梵森さんと2人、話は朝までとどまるところを知らない。
    あまりに有意義な語らいだったので、なんとなく憶えてることを列挙しておこうと思う。個人的備忘録。



     前から気になってる。天狗には、鼻の長い天狗と、嘴のあるカラス天狗と2通りいる。同じ天狗ではあるが、それぞれ由来が違うはず。
     どちらも一般に、山伏の格好で表現され、鼻が長く顔は赤く、一枚歯の下駄を履き山を駆け、翼があり空中を飛翔する。
     平地で生活する人々から見た山伏、山岳修験のイメージである。
     鼻の長い天狗は、猿田彦と習合したのだろう。
     本居宣長(訂正→平田篤胤)の息子(仙童寅吉)が幼い頃天狗にかどわかされ、帰ってきて「天狗界はこのようなところであった」「天狗とはこのようなものであった」等の話をする。宣長(訂正→篤胤)がそれを書きとめて発表し、現在の天狗のイメージの主流となっている。
     天狗という言葉は平安時代には存在するが、それは「あまぎつね」と読み、彗星のこと。

     カラス天狗のルーツのひとつは、ガルーダ(金翅鳥)、迦楼羅、迦陵頻伽であろう。
     迦陵頻伽は雅楽の曲にもある。平安時代には既にあったイメージ。
     迦陵頻伽は極楽に棲み、その声は美しく妙音鳥とも呼ばれる。人頭鳥身、翼を持ち妙なる音楽を奏でる。さすればそれはアプサラスではないか。雲上菩薩(音声菩薩)ではないか。東大寺の八角燈籠に、雲に乗り笛を吹く菩薩のレリーフがある。

     ところで、女性の上半身に鳥の下半身といえば、西洋ではハーピーだろう。屍肉を喰らい、腐臭を放ち、近寄る男を惑わせ喰ってしまう妖鳥。洋の東西に於ける「女性」というものの認識の違い。サイレンしかり。
     否、西洋というよりキリスト教世界の認識なのでは?それを「原罪」と呼び「悪」と看做してきたのはユダヤ教ーキリスト教であって、同じヨーロッパでもそれ以前の例えばドルイド教等にそういう発想は見られない。アジアであってもルーツを等しくするイスラム教はキリスト教的潔癖さを持つ。
    性なくして人類は存続し得ない。それは有性生殖をおこなう生物の基本的システム。なぜそれが悪で罪なのか? それは、それがあまりに強力な原理で、容易に抗うことができないから。いっそ罪として封印してしまえ。


     梵森さんの仏壇(神棚?)には、たくさんの神々、仏様、さまざまなモノ達が祀られている。センターにおわしますのが不動明王。厨子の中には飯縄(いづな)権現。ああそうか、ここから話が始まったんだった。

     飯縄権現はカラス天狗。翼あるもの。白虎に乗り、不動相(憤怒相)。右手に直剣、左手には縄。頭上に白蛇がとぐろを巻き、背に迦楼羅炎を背負う。
     あ、そうそう、不動明王の後背の炎のことを迦楼羅炎というのだそうだ。斜めに燃え盛る炎。炎の渦の中に、鳥の顔(嘴と目)。
     炎の中の鳥といえば不死鳥ではないか。フェニックス。鳳凰。火の鳥。
     ここらへんから、話は「蛇の力」と「鳥の力」へ。

     その前に、飯縄権現の話をもう少し。
     梵森さんが「修験道秘経入門」という本を持ち出してくる。その中、飯縄祭文に曰く、
     「我(飯縄権現)は大日如来の正体である」
     飯縄権現の正体は大日如来である、と言っているのではなく、「大日如来の正体が飯縄権現」である、と言ってるのである。大丈夫か、これ。如来の正体は天狗? 時代は末世に入り、人々は仏の教えから遠ざかる。「故に我衆生の苦に代って大魔形を現じ今大天狗となる」

     大日如来といえば曼荼羅の真ん中にでんと座る中心的な存在。太陽の神格化。それが実は天狗であると言ってる。ちなみにインド名マハー・ヴァイローチャナ。漢字で書けば大毘盧遮那仏、つまり奈良の大仏さん。そうかあれも天狗であったか。
     ところがこのマハー・ヴァイローチャナ、ヒンドゥー世界では、神々に対抗するアシュラ軍の頭領ということになっている。アシュラはパールシー(ペルシャ)のアフラ・マズダ。世界を照らす無限の光(その起源はシュメールの神アンシャル、アッシリアの神アシュール。アッシリアの国名はそこから?)。
     天平の時代の日本にはペルシャ人も来ている。インドを経由せずに直接伝わったペルシャの太陽神が大日如来に?アシュラは阿修羅で仏法守護神に。


     鳥が神格化される過程。
     鳥はいつも訳のわからない(しかし意味ありげな)言葉を喋る。
     鳥は人間の知らないことを知っている → 鳥の声を聴けば未来がわかる
     鳥飼という氏族。鳥の声を聴き未来を託宣する。
     鳥は常世からやってくる。人が死ぬと魂は鳥になって帰っていく(ex.ヤマトタケル)。
     蛇を食べる孔雀。蛇の力に打ち克つもの。

     八咫烏。神武天皇を導く3本足のカラス。日本サッカー協会のマーク。
     関係ないが今調べていて、八咫烏という名前の小惑星があることを知った。火星と木星の間、アステロイドベルトを公転。2004年命名。
     一方で、神社に祀られる注連縄は蛇。三輪山のご神体は蛇(海蛇?)
     ミシャグチ。蛇をあがめる縄文系。
     蛇は国つ神系、鳥は渡来神系。国譲りでタケミナカタの両腕をもいで蛇の姿に似せ、諏訪に封じる。スサノオは八岐大蛇を斬り殺す。スサノオは彗星の王。彗星は天狗(あまぎつね)。← 一周。

     彗星はケトゥ。天駆ける不死の蛇(の尻尾)。
     彗星はビハーグ(ビハッガ)。宙をゆくもの。
     鳥であり蛇であり狗であるもの。

     蛇のちから。クンダリーニ。螺旋。生命の源。シャクティ。
     生物を突き動かす強大な力。翻弄し焼き尽くす強大な力。
     燃え盛る性欲の劫火に打ち克つ/制御する/利用する。それが洋の東西を問わず宗教の命題。蛇のちからに打ち克つもの。鳥の力。蛇を食べる孔雀。蛇の及ばない領域を飛翔するもの。

     卍。卍とはなにか。
     卍は、鳥の足跡ではないか、という説。ψ。
     卍は、渦巻きでしょう。渦巻きは蛇でしょう。二重螺旋。生命の源。
     卍は、人を表しているのではないか、という説。壷の上にヤシの実を載せたお供え物。その壷に卍。あるいは人の象形文字。壷とヤシの実が人の体と頭。ヤシの実を割るは生け贄の儀式。
     卍は、鳥であり、蛇であり、人であるもの。
     サンスクリットでスヴァスティカ。吉祥印。
     トロイの遺跡からも、インダス文明からも出土。
     角のとれた丸みのある卍が、リトアニアからも出土。北方文化圏?
     北方文化圏といえばシャーマンの枠太鼓。日本の太鼓の皮には二つ巴や三つ巴が描かれる。それはなにか?四つ巴なれば卍。
     右旋と左旋。右旋は力(クンダリーニ)。左旋は和。
     「マンジ」という言葉はどこから出てきたか。


     カラス天狗とは何か。
     鳥であり蛇であり狗であるもの。
    「修験道秘経入門」いただいてきちゃいました。


    ※画像:天狗文字?

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