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from: ueyonabaruさん
2017年06月30日 11時29分58秒
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日本の未来と科学技術
三橋氏の今日のブログからです
昨日は日本経営合理化協会主催「三橋経済動向塾」の企画で、つくばの産総研(国立研究開発法人産業技術総合研究所)に視察でお伺いいたしました。
産総研の歴史(何と、明治時代からあるのです)から、カーボンナノチューブ、ロボット(マニュピレーター)、人工知能、クリーンルーム、ミニマルFAB、地層、メタンハイドレートなどなど、様々な最新テクノロジーを一気に頭に詰め込まれ、珍しく疲労困憊で帰京いたしました。
【写真 燃える氷ことメタンハイドレート】
http://stat.ameba.jp/user_images/20170630/08/takaakimitsuhashi/a0/6b/j/t02200145_0680044713971766692.jpg
産総研も、御多分にもれず、日本政府(というか財務省)の科学技術予算削減の影響を受けています。ようやく「下げ止まった」らしいですが、政府予算はピークの三分の二程度に抑えられてしまっています。
科学技術予算削減の件も、現在、執筆が佳境になっている「財務省亡国論(仮)」の中で取り上げているのですが、科学技術予算についてまでマイナスシーリング、すなわち、
「予算を必ず前年よりも減らすこと」
などと、狂ったシーリングの対象になっていたのが我が国なのです。
これで「亡国」に至らなければ、そちらの方が不思議ですよ。
さて、現場の人手不足を受け、産総研をはじめとして、日本の科学技術の「出番」は増えてきています。
『AI、「職人のワザ」もコピー―壁をハンマーでたたくだけで異常を聞き分け
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20170602/Jic_202757.html
人工知能(AI)向け技術を応用することで、従来は経験豊かな職人の仕事だった分野も自動化が図れそうだ。例えばトンネルの壁などをハンマーでたたいた音から異常を聴き分ける、といった難しい作業だ。
20世紀の高度成長期にいっせいに整備が進んだ日本の橋やトンネルなどは老朽化が進んでいる。いちはやく異常を見つけ出すのは目視による確認と、ハンマーでコンクリートをたたいて調べる「打音検査」が主流だ。
だがそうした作業は、熟練の点検員の経験や感覚に依存していて、高齢化によって担い手は減ってきている。
国や道路会社では人手不足を補うべく、AI向け技術の1つ機械学習を生かそうと模索している。今回は産業技術総合研究所、首都高技術、東日本高速道路、テクニーが協力して、打音検査を支援するシステムを開発した。
実際の現場でハンマーでたたいた際に鳴る音の違いをデータとして教え込み、熟練の点検員顔負けのするどさで聴き分けるように育てた。
あとは壁などに計測装置をたてかけておいて、壁を打てば無線でつながったタブレットが即座に分析。異常のある場所とその度合いをリアルタイムに専用の携帯機器に通知する。さらに異常がどのように広がっているかがひとめで分かるようなマップもあわせて作成する。(後略)』
http://stat.ameba.jp/user_images/20170621/08/takaakimitsuhashi/cd/51/j/t02200096_0496021613965446421.jpg
2012年12月の中央自動車道、笹子トンネルの天井板崩落事故を受け、2013年に道路法が改正されました。中央政府や地方自治体などの道路管理者は、2013年7月以降は全ての橋梁、トンネル等について、五年に一度、近接目視の点検を行うことが義務付けられたのです。
もちろん、目視点検のみならず、打音点検を行う方が「確実」です。打音点検は、壁をハンマーでたたき、音から異常を聞き分ける「職人技」でした。
しかも、昨日の帰京時の我々ではないですが、人間は疲れます。疲れると、能力が下がってしまうのが人間なのです。
それに対し、ドローンやAIは疲れません。
以前、ドローンで橋梁の打音点検を実施する仕組みを、自律制御システム研究所などが開発したことをご紹介しました。
さらに、産総研などが開発した「AIによる判断」を組み合わせると、橋梁の点検作業にかかる人手を、相当に削減することができるわけです。
現在の日本は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下により、人手不足が進んでいます。
人手不足を「移民」ではなく、「生産性向上」により補ったとき、我が国は再び経済成長の黄金循環に戻れます。
生産性向上のためには、「設備投資」「公共投資」「人材投資」そして「技術投資」が必要なのです。特に、技術投資は他の投資の「基盤」となる、最も重要な投資と考えなければなりません。
その技術への政府の投資を、財務省はひたすら減らしてきたのです。日本はすでに、技術大国ではありません。
未来において、技術大国の座を取り戻すためにも、技術投資で生産性向上を達成するためにも、我が国は財務省の緊縮路線を叩き潰し、科学技術予算を積み増していくという「良識」を取り戻さなければならないのです。
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