あの子らは、給食を食べにきてるんだ。
親達も、学校に行かせれば、その間、食い扶持が減る･･･
ってとこだよ。

ここは、小さな井戸なんだ。
この井戸で、砂漠が森になるなんて思っちゃいない。
でも、絶対　水は　必要なんだ。


　学校の授業ではね、算数なんかも教えているんだよ。


先生･･･俺のカミさんだけどね･･･が､言ってたよ。

「誰か、この問題解る人、手を挙げて。」

誰もいやしないさ。
ここへは、勉強するためじゃなく、
飯　喰いにきてるんだもの。


あの子が･･･ポプラ･･･って言ったけ　
後ろの席で手をあげたんだってよ。

「前へ来て、やってみなさい。」

子供達が目をまん丸にして見守る中、黒板の前で問題を解いて･･
　そりゃ、日本でいや、小３〜４年の問題さ。
　
あの子　15〜6歳ってとこだろ？

「よく、できました。｣　カミさんが言うと、
　皆から、拍手があがった。


　あの子どうしたと思う？　
歯をむき出して、猫背になり・・・様は・・　
警戒態勢をとったってよ。


「ＮＯ! NO! ポプラ！　みんなは、
　　あなたのことを褒めているのよ。」

　拍手ってのを　教えるのに苦労したそうだ。
　あのこ　は　「拍手」を知らないのかい？

あの子は････日本でいうところのただの風邪さ。
ウィルス性じゃない。もういいみたいだ。
今日も、学校の授業を覗きにいったみたいだよ。
急いでいるみたいだけど、しばらく居れば良いよ、ここに。
あの子、学校が面白いみたいだしさ。

　でも、ひとつ聞きたいんだ。あの子は、・・・何なんだ！　
あの背中に　生えている　タテガミ　は　　えっ？

　ゴースケ　あんた、いったい。
どこから　あれを　連れてきたんだ？

　どこへ　連れていくんだ？

　何なんだ？　あれは　？　

　

ママっていう黒ン坊の小使いがいるだろ？
彼女がね、あの子をえらく、気にいっちまってね。
あんたらが、やって来た日から一緒のベッドで寝ているよ。

　　続く・・・いやいや・・続かない・・
　いやいや・・いつか・・続かせたい・・けど・・


//////

磯釣り　にいくと　渡船の船頭さん　が　弁当を
届けてくれる。

　船から　マイクで　「弁当やで〜」　という声が聞こえてくる
と、何故か　嬉しい。

　魚は　つれなくても　何故か　満たされた気持になる。



　工場へは　いつも　母ちゃんが　つくってくれた　弁当を
持っていく。

　昼ごはん　が　楽しみ　である。

腹が　減っているから・・生き物の根源的なことだから？

　　朝　事務所に頼んでおくと　仕出屋さんから　弁当を
届けてくれる。　弁当を持ってこれない人　母ちゃんが
忙しい　時　ケンカして　作ってくれなかった時は
この　仕出屋さん　の　弁当　を　食べることになる。

/////

　不味い　と　文句を言う者がいる。
同調して　笑いながら　同意するものがいる。
それも　大きい声で・・うまい　と　思って喰っている者
も　いるだろうに・・・

　不味ければ　注文しなければ　よかろう。

　////

　悪人　とういう　小説　を読んだ。

　映画化され、テレビ放送もあった。
母ちゃん　が　録画してくれていたので　観たのだけれも・・

　中華料理を食べた　あの男が　
「ああ　不味かった・・」と大声　で　言い、
店を　でていくシーンが　あった。

　彼らは　その　イヤなヤツと　全く同じではないか？

　それと　もう一つ　この値段　で　その弁当をつくる・・
その努力　に　敬意　を　評するという気持はないのか？

　私達と　同じでは　ないか・・この売値　で
利益を　ださねば　従業員　に　給料を　払えないのだよ。

////

　私達は　いつか　サクの診療所　がやっている「学校」
に　給食を　食べるため　に　やってくる・・あの子らに
負ける日が　くるのではないのか？

　もうすぐ　そんな　後悔の　日が　やってくるのではないか？　

　ポプラ　は　人間の可能性である。
　アフリカから東京へゴースケが　運ぶ・・