満蒙開拓青少年義勇軍は、満蒙開拓移民推進政策により昭和13年から約8万人が渡満した◆昭和14年、満州に開設された開拓指導員訓練所では、向学心に燃える15歳から18歳までの少年達が、内地での３ヶ月の基礎訓練後、大陸の知識習得、農業実習、軍事訓練を行った◆ソ連侵攻で関東軍やその家族がいち早く撤退、現地に取り残された訓練生は、ソ連軍の使役、八路軍と国府軍の戦いの中で、奥地からの引揚者の介護、慰霊祭、奥地難民救済などを行った。青少年義勇軍を含む満州開拓移民27万人、日本に帰国できたのは11万人あまりだった◆成田市三里塚に入植して20年、元満蒙開拓団員がやっとの思いで創り上げた土地が再び奪われることとなり、成田闘争が始まった。

「大地の子」陸一心の一家が、開拓団として入植した満州の松花江付近は、満州族の祖先女真族の地である◆元寇以前の1019年、対馬・壱岐は女真族の海賊船団50隻に襲われた。壱岐では殺害された者365人、連れ去られた者1,289名、助かった島民はわずか35人であった◆この海賊は次に博多を襲って撃退され、帰路に高麗沿岸で海賊行為をしたが高麗水軍に撃退された。高麗は保護した日本人250人を送還してきたという◆1274年、1281年と2度の元寇では、歴史は博多沖にて神風による撃退と伝えるが、対馬・壱岐が2度とも侵略されたことはあまり語られない。島民のほとんどが虐殺され、女は手の甲に穴をあけ縄を通され船に吊るされた。壱岐には人が隠れる小さな穴が多くあり、辺境に生きることの厳しさを感じた◆大宰府が動かぬ時、松浦党は壱岐の島民を救うべく小船で近づき、壱岐の港に停泊する元の船を奪うなど孤軍奮闘したが、その本拠地まで攻められ壊滅した◆現在でも壱岐は福岡県ではなく、松浦のある長崎県に属している。

＊この悲劇は、壱岐へ旅した時、かわいいバスガイドさんのお話にあった。小学校の数が多いこと、自給自足できる島であり、米を内地に出荷していることを自慢していたガイドさん。今でも夏は水着姿でガイドをしていますか？

◆清朝は、部族発祥の聖地として満州での採掘、薬草の採取を禁じた◆しかし、黒龍江省から進入するロシアの脅威から、明治３４年、漢人の移住の禁を解き、石炭、鉄、金などの採掘を許した◆日露戦争後、日本が開発した撫順鉱山は、高さ１２０尺の石炭の大鉱脈。その上を覆う油母頁岩（オイルシェール）からは重油を採取し、軍事用として徳山に輸出した。撫順の石炭は鞍山に運ばれ、鞍山の鉄鉱石とで鞍山製鉄所が稼動、満鉄を支える重要な財源となった◆鞍山製鉄所はテレビドラマ「大地の子」の陸一心が大連工業大学時代働き、命を救った丹青との恋に落ちた製鉄所でもある。

大学の図書館に赤茶けた満州の本◆満州産業大系（昭和８年発行）の第一巻農業編には、当時の農業生産高と写真◆日本、朝鮮からの移民のほか、中国山東省からの出稼ぎ、ロシア人の移民の写真も掲載されている。当時、満州の耕地面積は世界一で、米、粟、高粱、大豆を生産していた。◆労働力確保、気候にあう生産物、農具の研究、大規模農業を目指す開拓者精神あふれる世界が描かれている◆石川県から移住した勤勉な若夫婦が汗水流し見事に収穫できた１０月に匪賊の襲撃を受け、収穫物や家畜を奪われ殺されるという悲しい事件もあった◆資料提供者には、参謀本部・拓務省・満鉄など、監修者顧問として拓務省政務次官堤康次郎の名前が掲載されている。満鉄株で儲け、東急の五島慶太と競った西武グループ創始者の野心作である。