フジテレビのあるお台場へ行くには、新橋からモノレールゆりかもめに乗る。青い海の上を渡る時などは、正にバードピュー、かもめになった気分である。ゆりかもめという響きはゆりかごのようなやさしさを連想させ、この鳥は、かもめの中では一番やさしく上品な目をしている◆「名にしおわぱ いざ事問はむ都鳥 わが想う人は 在りや無しやと」六歌仙といわれた業平は、遠く京の都を離れ、隅田川を渡るとき、都では見ぬ鳥の名を尋ねた。名を都鳥と聞き、鳥よ、都鳥という名前なら、都にいる私の恋人は生きているかどうか教えておくれと歌ったという◆都鳥という和名の鳥がいるが、伊勢物語で歌われるこの鳥は、都鳥ではなくゆりかもめである。東京都の鳥も都鳥ではなく、このゆりかもめである。

東京湾アクアラインのバーキングエリア「海ほたる」は、海に浮かぶ光として命名された。「ウミホタル」は生物名である。日本沿岸に生息し、体長3〜3.5mm。分泌するルシフェリンが海中の酸素と激しく反応し、青い蛍光色を発する◆乾燥した海蛍を粉末にし、4.5gを100ccの水に入れた場合、30〜60分発光を持続する。戦時中、軍部が大学の研究者などに依頼したのは、夜間攻撃時の敵味方標識や防空壕内の懐中電灯の代用、さらに、夜間、敵艦船に特攻攻撃をするとき使う海蛍照明弾の開発。海蛍の採取は、高校生の勤労奉仕であった。安房高校や安房水産高校の勤労動員作業記録に「海蛍採取」と記載されている◆「声はせで身をのみこがす蛍こそ言うより勝る思いなるめら」源氏物語で、夕顔の娘に思いを寄せた光源氏が、自分の弟と娘の仲を取り持つ悲しみの色と詠われる蛍も、戦時中は身を粉にして働いていた。
＊偶然ですが、3/20からアクアラインの通行料が千円になり、海ほたるの賑わいがＴＶに＊

札幌のYOSAKOIソーラン祭り、原宿スーパーよさこい、そして千葉でも各地の祭りで踊られるよさこいソーラン。この踊りのスタンダード「南中ソーラン」は稚内市立南中学校の校長が、荒れた生徒を立ち直らせるため創作した。200海里問題に端を発した不況で、職を失い荒れた大人の気持ちが子供の心を蝕んだ。シンナー、暴力、落書き。子供達を救おうと先生が立ち上がる◆たまたま、ＴＶ取材で稚内に来た民謡歌手が、子供達の踊りを見て、ＴＶの舞踊大会への出場を勧めた◆校長は資金集めに奔走し、苦難の末、出場。プロも出場する日本民謡民舞大賞の大会で、中学生らは１年目４位、２年目には優勝をしてしまう。大会では、他の出場チームの大人達までが舞台の袖や客席で南中ソーランを踊り、優勝の瞬間は涙と拍手の嵐◆生徒たちの卒業の年は、大久保校長も教員生活最後の年だった。卒業証書授与が終了した時、生徒達は突然壇上に上がり、大久保校長に手作りの卒業証書を贈った。

ＮＨＫに明治の陸軍が使っていた三八銃の弾が送りつけられた。私ではない。町会で預った弾の年代を調べたいと警視庁科捜研に電話したが、「事件じゃないと対応できない」と門前払いされ、私は名乗っていない。でも、私ではない。◆坪井には明治時代に陸軍の射撃場があり、村に流れ弾が飛んできて危険だったという言い伝えがある。その言い伝えを検証した三八銃の話の前編を地元である坪井地区自治連合会の会報2月号に掲載した。後編をまとめているとき、その事件は起きた。職場の食堂でTVニュースを聞いて、タイミングのよさに驚く◆3月11日には会報の３月号に後編が掲載される。実は、会報の配布先には、船橋東警察署もある。私が預っている弾は、陸上自衛隊武器学校で見てもらい、持っていても問題がないと言われた。今度、坪井のビジターセンターに展示する予定である。没収しないで欲しい。