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ゾイドバトルストーリー文藝部

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公開 メンバー数:8人

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from: たかひら鶉さん

2008年03月22日 02時12分38秒

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【小説・考察】テキスト系作品発表スレ【設定・考証】

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from: TGZさん

2008年06月23日 20時27分24秒

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「掌編:弾道の先に」
 ZAC2102年中央大陸、首都防衛戦線。
「……スナイプマスター……ねぇ」
 山林の高台に陣取ったスナイプマスターの中で老兵は呟いた。彼は、第一次前面会戦以来、随分と世話になった彼の愛機、カノントータスBCが撃破され、中央大陸へ養生しに帰還していた。そろそろ軍を去る潮時かとも思ってもいたのだが、重砲隊へ残って欲しいとの司令部の要請でそのまま軍に在籍していたのだった。
「どうにも……馴染まん」
 だが、ベテランに優先的に回された新型機に、彼は不満だった。同じ砲撃戦に主体を置いた機体とは言え、打撃を与える事を目的に設計されたカノントータスに対し、スナイプマスターは急所に一撃で直撃弾を見舞う為の精密狙撃用の機体だ。おまけに気体が軽すぎ、また重心が高すぎて反動の扱が厄介な事この上ない。彼は機首転換訓練は一通り受けたが、スペック上は性能が上のはずのスナイプマスターでもカノントータス以上の長距離射撃を出来たためしがない。スナイパーライフル以外の武装も貧弱で、アクティブシールドなりフレキシブルブースターなりがなければ、先発機であるガンスナイパーの方が使い勝手が良いと言うのがもっぱらの評判であった。
 グゥゥ、とコアが唸る。
「別にお前さんを責めてるわけじゃないんだがねぇ」
 苦笑いしながら老兵は言う。
 このスナイプマスターは一人乗り用に改装されている。何も彼の機体だけが特別なのではない。主力部隊が暗黒大陸へ出払っている今、パイロットの絶対数が不足しているのだ。
 ツー、と通信機がなった。
「こちら偵察隊!新型の移動要塞を確認!」
 老兵は驚いた。
「!?、……本土でゆっくり出来ると思ってたがそうもいかんか」
 言葉以上に深刻な事態を老兵は理解していた。ガイロスの戦力はへリックの主力部隊の猛攻にわざわざ中央大陸まで動かせる戦力は無いはずだ。例え、追い詰められた鼠が猫を咬むつもりで戦力を中央大陸に送ったとしても、制空権と制海権は共和国の物だ。たどり着く前に全滅するだろう。ならば、今、自分達のところへ近づいている移動要塞はガイロス軍ではない。方角と地理的条件から言って西方大陸の連中が鬱憤を晴らしに来た訳でもない。ガイロスやエウロペの勢力ではない、そしてへリックに攻め込もうとする勢力。
「まさかな……」
 老兵は呟いた。
 その刹那、光芒が閃いた。数秒遅れて爆音。
「!?」
 最大望遠でズームする。林の中でゴドスが燃えていた。随分古い機体のようだが、綺麗に崩れ落ちている。
「来なすったか……」
 敵機の姿は見えないが、いつでも対応できるよう周辺にある程度遊びをもたせて照準を置く。カメラで言う「ピン置き」と同じ理屈だ。
「……なんだ、ありゃあ!?」
 出てきた機体を見て老兵は叫んだ。
「……蟹か?」
 キラードームはこの時、最新鋭機である。無論共和国軍が始めて目にする機体だ。
 照準を合わせ、湿度計、サーモグラフ、いくつかの場所においてある風速計等のデータを総合して照準を微調整する。
「……!」
 トリガーを引いた。
 他の射撃ポイントに潜んでいたスナイプマスターからもいくつかの弾がキラードームへ向かう。
「!?、弾いた!?」
 144mm弾を弾く重装甲。あの機体は小型機ではないのか!?
 続けざまに数発が蟹型に命中するが弾かれる。一発が、地面に突き刺さり、蟹の腹が浮いた。そこへ弾丸が吸い込まれた。力を失い動きを止める蟹型。
「無敵でもないようだが、ご大層な装備だな」
 一点に留まっていては弾道から位置を予測される。次の射撃ポイントに移りながら老兵は呟いた。
「さて……」
 獲物を探す。光芒が見えた。遠い、レンジ範囲ぎりぎりだ。しかし老兵はそこをズームした。見覚えのあるあの光芒は。
「カノントータスか。……!?」
 先刻の蟹型が背後に出てきた。
「何をやっている!?……新兵か!?」
 亀は蟹に気付いていない。
「チッ!」
 一瞬で地形図とGPSを見て見方の位置を確認する。あの陣に弾が届くのは自分だけだ。そしてそれも……スペック上は。
「クソッ!」
 何も考えずにトリガーを引いた。この距離だ。弾はやはり外れた。だが、亀が蟹に気付く。
「逃げろ、バカ野郎!」
 だが亀の動きは遅い。対する蟹は144mmを弾く重装甲とは思えない機動性。
「ぬうッ」
 照準を合わせる。先程と同じように蟹を浮かせて腹に弾を突き刺せば蟹を倒す事は出来る。倒す事、は。二発続けて同じ場所から撃てば完全に場所を敵に教える事になる。しかしそれ以前にそこまでの精密射撃が可能か?
「できるか……?」
 グゥウ、とコアが唸る。
「そうか……すまんな、スナイプ……!」
 老兵はスコープを覗いた。神経が研ぎ澄まされる。
「…………!」
 一発。一発目の着弾を確認してからでは遅い。
「、!」
 二発。………………。

 カノントータスの新米パイロットは今まさに自分に襲い掛かろうとした蟹型ゾイドに弾丸が突き刺さり、宙に浮き爆散するのを見た。しかしその弾道の先で一機のスナイプマスターが崩れ落ちた事には、気付かなかった。

 ZAC2102年、へリック首都陥落の混乱の中で、老兵の名は、遂に戦死者名簿に記される事は無かった。しかし、このカノントータス部隊は、幾多の実戦を経験し、ゴジュラスギガ完成を待つ共和国基地を、その「精密射撃」で守りきったという事である。



あとがき……のようなもの
 勢いだけで息抜きに書いていたはずのものが先に完成したので投稿させてもらいます。一番乗りがこんな作品でいいんだろうか……?

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