from: たかひら鶉さん
2008年03月22日 02時12分38秒
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【小説・考察】テキスト系作品発表スレ【設定・考証】
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from: RYOさん
2008年06月26日 01時26分15秒
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「なかなかの美人じゃねーか、なぁ?相棒」
「出来ればこんな仕事はやりたくなかったんだがなぁ・・・・。」
背の高い男がつぶやく。
彼の名前はブレイズ・フェルドール。共和国軍第224戦闘小隊、通称「居残り組」所属のパイロットである。
ZAC2104年、共和国軍はネオゼネバスの猛攻を受けほぼ壊滅状態。司令部が東方大陸への撤退を決意したのもこの年である。
「まさか、また居残りさせられるとはね・・・・。」
軍の大規模な撤退には、必ずしんがりが必要だ。共和国にはもうすでに制空権はほとんど残っておらず、かろうじて存在する箇所も維持は困難だという。
だが、制空権を完全に失えば、しんがりの全滅も早い。だからこそのブレイズ達なのである。
彼ら224戦闘小隊は純粋な航空戦隊であり、昔からこのような損な役回りばかりを引き受けてきた、ある意味精鋭部隊である。
「慣れたさ・・・・。」
隊長のブレイズは苦笑いしながら、補佐官の女に愚痴をこぼした。
「ストームソーダーが少ない今、ここを一定時間維持できるのはこの中隊しかありません。224小隊には特に厳しい空域を担当して頂くことになります。」
淡々と作戦を説明する補佐官を尻目に、ブレイズは煙草に火をつける。他の224小隊のメンバーも、生きて帰れるとは思っていまい。
敵のキメラブロックスは無人機だという。Gを考えなくて良いということは、空戦において圧倒的に有利である。しかも数が違いすぎる。パイロットを養成する必要のない無人機は、作った分だけ即戦力になるのだ。しかも戦闘力に個体差がほとんどない。
どう考えても勝ち目はなかった。
ブレイズがタバコを灰皿に入れた刹那
耳を劈くような爆音が、基地内の空気を揺るがした。
ネオゼネバスのステルス爆撃部隊が突如飛来したのだった。夜間戦闘、目の聞かない有人機と、赤外線で目標を判別する無人機で最も差が出る戦闘だ。
爆撃部隊は搭載した爆雷を撒くと装備をチェンジマイズ、ステルス戦闘機に姿を変えた。フライシザースだ。グレイブクアマも見える。
幸い、ブレイズの所属する中隊の格納庫までは敵は進行していなかったが、かなりの戦闘ゾイドがやられている。
ブレイズは愛機ブレイドホークに飛び乗ると、火を入れた。
「こちら224小隊ブレイズ、各機直ちに出撃後、散会して各個撃破しろ!俺が撃墜された時は2番気のフェイが指揮を引き継ぐ!!」
すさまじい加速Gに耐えながら、部下に指示を出す。奇襲だ、相当数の戦闘機ゾイドが飛ぶことなく炎上している。
ブレイズの愛機はX-02ブレイドホーク。
共和国軍がテスト機体として開発し、時期主力戦闘機として十分な性能を持っていたが、コストの高騰と時期的な問題が重なり量産計画は白紙になった。俗に言う、影の機体である。
ブレイズは一気にスロットルを全開にした。アフターバーナーとともに、機体が軋む音がする。
3方向から同時にミサイルが迫る。チャフをばら撒きながら、それを避けつつ、敵をロックしトリガーを引く。
爆散した敵機の破片がコクピットをかすめる。
「今のは・・・・・・危なかった。」
だが安堵などしていられる状況ではない。戦闘開始からミサイルアラームは鳴りっぱなしで、計器を見る余裕など全くない。
敵見方の破片が花びらのように舞い散る。
キリが無い。数ではブレイズ達は圧倒的に不利なのだ。この時期に未だ現存する飛行ゾイドは、良くてレイノス。しかも数は非常に少ない。
ふと、モニターに奇妙な形のグレイブクアマが写った。四方八方に突起が突き出し、さながらムササビと言った方が妥当かもしれない。
「指令機か!!!」
ブレイズは思わず叫んだ。
無人機の性か、空域内に指令機がないと十分に性能を発揮することができない。すなわち、指令機さえ破壊すれば無人機は無効化できるのだ。
ブレイズはすかさず指令機に照準を合わせる。
衝撃とともに機体が大きく揺れた。モニターを見ると、左翼に大きな被弾痕がある。
落ちる。ブレイズのゾイド乗りとしての本能がそう告げている。
「クールにいこうぜ、相棒。」
そうつぶやくと、ブレイズはスロットルを全開にした。機体はきりもみ状態になりながら、一直線に指令機に向かっていく。
グレイブクアマからバルカンが放たれる。
当たった。コクピットだ。
ブレイズは無くなった左足に構うことなくこうつぶやく。
「なかなかの美人じゃねーか、なぁ?相棒。」
一瞬の静寂。
轟音。
ブレイドホークは指令機のグレイブクアマに激突、炎上した。
時を同じくして、無人機達が一斉に指揮を失い、互いに激突。みるみるうちに数を減らしていく。無人機は完全に無力化した。
残る戦闘機はグレイブクアマだけである。どう考えてもレイノスに勝ち目はない。
各グレイブクアマから撤退の通信が入る。
歓喜に沸く共和国軍司令室で、ブレイズのバイタルサインがそっと消えた。
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