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from: 千田さん
2017年07月04日 22時13分25秒
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ヘルメス文書「ポイマンドレース(日本語訳)その3」
(2)-3
トリツメギストス
「叡智よ。貴方は私の望みのままに、
かくも素晴らしく全てを語ってくださった。
けれども、更に教えてください。
回帰の後には、
そこに何が待っているのでしょうか。」
ポイマンドレース
「まず初めに、
物質組成されている体の分離変換の中で、
体そのものは変成に委ねられ、
姿形は不可視のものとなろう。
そして、鈍重な肉体の有様は
ダイモンに引き渡され委ねられ、
そこに存った感覚らは
部位毎に分かれて
再び作用因へと上昇し、
それらが来る根源へと戻ってゆく。
激しい感情や劣情などは、獣のような、
あるいは道理なき自然へ帰りゆく。
かくして残ったものは調和力によって
真っ直ぐに上へと上がってゆく。
第一圏では、増加・減少という作用力の悪徳を、その身から返還する。
第二圏では、陰謀の、邪悪なるくわだて、効力ある計略・悪知恵を。
第三圏では、欲情の怠惰なる計略を。
第四圏では、支配欲、その満たされぬ野心を。
第五圏では、不敬なる大胆、軽卒かつ無謀な自己過信を。
第六圏では、富への邪なる虚しき衝動を。
第七圏では、いつでもそこに潜んでいる巧妙なる虚偽を。
かくして、完全な調和の取れている全ての作用力から解き放たれ、
本当の力を取り戻して、第八の圏の神聖なる領域に至るのだ。
第八圏にいるもの全てと共に父なるものに賛美を捧げ、
そしてそこにいる晴れがましき存在は、お前の帰昇を祝福する。
お前は第八圏にいるものと同質になり、
さらに第八圏を超える彼方からの影響力が、
神への賛美歌を妙なる声で歌うのを耳にするだろう。
確かなる序列に従って、
第八圏のもの達は父の下へ回帰する。
自らが、自らを力へと委ねるのだ。
そうして神が持っている力そのものになってゆく。
善きことかな!
これが神格化されるべく知を持つ者達の究極である。
さてそこで、お前は何を躊躇う事があるのか。
全ての人間種の何たるかを識ったというのに。
お前は指導者となり、
その価値あるもの達の求道の統率者となるのだ。
ひとの種族、人類が、神によって救われる為に。
ポイマンドレースは私にこう言うと、力と混ざり合った。
(3)
もはや見えぬ彼に感謝の意を示た。
そして万物の父を祝福すると立ち上がり、
神的な力を得て、自然についてを教示され、
全てを見渡す偉大な光景を見た。
そして私は、敬虔と知識の美しさ素晴らしさを、
人々に伝道し始めることになった。
「地より生まれし民よ人よ。
酩酊し、眠りを貪り、神を知らず。
自己を見失う者たちよ。
覚醒せよそして過剰を止めよ。
汝らは、獣の如くに、道理無き眠りに呼び誘われている。」
すると私の話を聞くものは、
一つの心の下に進んでやってきた。
そこで私は更に話を続けた。
「何故に、ああ汝ら、地より生まれた人の子たちよ、
何故に死にあまんじるのか。
汝らには不滅の性が、その力が、
いくらかは残されているというのに。
もう一度良く考えるのだ(悔い改めよ)、
そして叡智を呼び覚ませ(考えを変えろ)。
汝らはこぞって誤りの道程を歩んでいる。
無知故に闇の淵にたっている。
暗黒の灯火から離れよ、
不滅の路を歩むべし。腐敗を捨て去るべし。」
私の話を聞いてある者達は、
嘲り笑いながら去って行き、
死への道程に自らを委ねた。
一方では、私の足下に身を投げ出し、
教えを請う者達もあった。
私はそういう者達を立ち上がらせ、
種の指針たるべく彼らに教えた。
何故に、如何にして、
救済のもたらされるかを。
私は智慧の言葉を蒔いた。
不死をもたらす「アンブロシアの水」で育んだ。
太陽の輝きが彼方に沈み、夕暮れが訪れると、
私は人々に、神への感謝をするように言った。
人々は感謝の務めを終えると、皆は家路に付いた。
一人残された私は、
ポイマンドレースの慈しみ溢れる贈物を心に銘記した。
私は、知りたかった事を満たされて、
心底嬉しかったのだ。
肉体の眠りは、叡智の覚醒となった。
眼を閉じると真実の光景が見えた。
沈黙には善徳に充ちた子が宿った。
言葉を紡げば、善が花咲き実を結んだ。
以上が、私の身に起こった事である。
私は叡智より授かり、
それはポイマンドレース、
《言葉・知らせ》の支配者であった。
かくして私は神より真実の啓示を受けたのだ。
こうした事の下に、
私は全霊全力を挙げて父なる神に賛美を捧げる。
「聖なるは、万物を造りし父なる神。
聖なるは、その力によりて意志を成就し具現せし神。
聖なるは、識らることを決め、御身の子らに識らるる神。
聖なるは、言葉によりて万物を打ち立てし貴方。
聖なるは、ありようを自然に与え給いし貴方。
聖なるは、自然に形を与えなかった貴方。
聖なるは、あらゆる作用力より強き力をもつ貴方。
聖なるは、あらゆる美徳を超越せし貴方。
聖なるは、あらゆる賛美を超越せし貴方。」
受けよ、混じり気無き魂よりの道理ある聖別を。
その心は貴方へと差し伸べられている。
言葉にならぬ言葉によって。
沈黙をもって賛美す。我は懇願す。
知識に誤りのないように。
慈悲の眼差しを我に与えよ。
恩恵によりて啓示し、
我が輩、貴方の子らの無知を許したまえ。
貴方を信ずるが故に命と光のなか証を立てる。
父よ、貴方を讃えん。
人は貴方とともに神聖なものにならん。
貴方がそれら全てに力を与えたのだから。-
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