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from: イモ虫さん
2010年11月02日 00時07分02秒
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マイドクター
いつの頃からか、私には主治医が存在するようになっていた。
主治医といっても現実の医者ではなく、心の中の医者。
悩みを相談するとき、あるいは愚痴を言うとき、アドバイスが欲しいときはアドバイスをくれる人。
喝をいれてもらいたいときは喝をいれてくれる人。
背中を押してもらいたいときは背中を押してくれる人。
ただ相づちを打って聞いてもらいたいときはただ聞いてくれる人。
意識的に、あるいは無意識の内に、欲しい反応をくれる人のもとへ向かうように、私の主治医もまた、そのときどきに応じてその姿を変える。
あるときは診察室で穏やかな笑みを浮かべる精神科医。
あるときは職場の人。
あるときは友人。
あるときは漫画のキャラ。
あるときは架空の存在。
皆、その者ならそう言うであろう言葉を返してくる。
そのときそのときの私に、必要な反応を返してくる。
彼らの姿は私の願望のあらわれ。
潜在意識のあらわれ。
私の一部。
彼らとの対話のなかで私は答えをみつける。
結局、答えは自分のなかにある。
主治医は私の一部であり私は私の一部。
私は一人だが複数の内の一人。
一人だが孤独ではないのだ。
診察室の奥から声がする。
『次のかたー』
穏やかな笑みを浮かべた精神科医が椅子に座っている。
そして優しくこちらに語りかける。
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