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  • from: 物理屋さん

    2009年01月26日 02時44分22秒

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    日本の文化人類学者

    文化人類学に詳しくなるためにはどのようなことに気をつけねばならないのでしょうか?
    大阪生まれの文化人類学者池田光穂氏はこう言っています。


    素人(しろうと, layman)たちがいう自称「文化人類学」や「比較文化」論と、専門家がいう文化人類学の違いは、自分たちが振り回しているその分野の概念についての批判的検討があるかないかによって決まります。
    素人(しろうと, layman)たちがいう自称「文化人類学」や無手勝流の人類学的経験をもって人類学と自覚されている学問を総称して「自然発生的人類学 Spontaneous Anthropology」と呼んでおきます。
    そして、ここでいう専門家の学問を便宜的に「アドバンスド文化人類学」と呼んでおきましょう。
    私が言いたいのは、素人はアマチュアで、専門家は職業人だということではありません。給料をもらって生活している研究者においても思念が素人の者は存在します。また、初学者である学生においても、プロ顔負けの批判的検討をおこなう人、つまり思念がプロフェッショナルの水準に達した人はおります。

    また「自然発生的」という用語は私のオリジナルなネーミングによるものではありません。

    ブルデュ、シャンボルドン、パスロンという3人の社会学者が1968年の著作において、学問の認識論についての批判的検討を経由しない常識や先入見の延長上に成立している社会学を「自生社会学 sociologie spontane'e 」と呼んで、自分たちの(まさにプロフェッショナルな)社会学的営為と区別して使った用語を、文化人類学に横滑りさせて輸入したものです。

    ■アドバンスド人類学者を指向する人は下記の本を読むことをおすすめします。

    ピエール・ブルデュー, ジャン= クロード・シャンボルドン, ジャン=クロード・パスロン 『社会学者のメチエ : 認識論上 の前提条件』 田原音和, 水島和則訳. -- 藤原書店, 1994.(Le metier de sociologue : prealables epistemologiques: Bourdieu, Pierre, 1930- ; Chamboredon, J.-C ; Passeron, Je an Claude )

    アドバンスド人類学の実践は、超越的な能力を必要とするものでありません。むしろ、単純ではありますが、次のような活動を長期的に地道におこなうことが、アドバンスド人類学を実践したことになるのです。

    つまり他の学問の実践と同じように、

    【i】その分野で鍛えられてきた批判的な認識論的判断(=自己反省的)、
    【ii】他領域におけるその領域における批判的な認識論的判断(=領域外の研究領域の人たちが、その学問領域でくり拡げている自己批判的探究)、
    【iii】人類学の学問的実践に対する他領域からの認識論的な批判(=他領域からの文化人類学への批判)

    ら、を身につけ、つねに自己が寄与していると信じる学問の可能性をつねに刷新してゆく努力を怠らないことです。

    ロバート・マートンもこう言います。
    「社会科学と社会的ディレッタンティズムの大きな相違は、はじめ興味あるアイディアとして抱いているものを体系的に真面目に追求するかどうか、すなわち、学問的に責任をもって峻厳に追究するかどうかにあるという信念」を持てと(マートン1961)。


    文化人類学とその他の科学との違いを正しく意識した上で、文化人類学を学ぶべきでしょう。

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    Ryonuku

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