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from: caminoさん
2010年11月20日 21時52分25秒
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ダンサーに美を考える
16日18:35
京浜東北線内
小説を読みながら帰宅中。
「ただ一つ、僕にもはっきりわかったことは、人は、あまりにも軽々しく美について語る、しかも、言葉に対して無感覚であるために、美という言葉をいたずらに乱用し、その結果、かえって言葉は力を失ってしまう。…」
最後尾の車両後部、ぼくは運転席の壁に寄りかかっている。東京駅。乗客が入れ替わる。閉まる扉のアナウンスが始まる。最後の乗客がドアをすり抜けるように乗車。
若い女性。黒いキャリーバックに薄いベージュのショルダーバックを乗せている。20代後半くらい。
ぼくの隣り、半歩分ほど空いたスペースに体を入れようとする。半歩左に避ける。彼女は壁に寄り掛かりたかったようだ。ぼくの右側。彼女はケータイを取り出す。
ぼくは読書に戻る。
「…おかげで、それが表わす実体もまた、凡百のくだらない事物とその名を分かち合うことになり、空しく威厳を失ってしまうことである。」
メイクのにおいが漂っている。
気になる。白粉のにおい?
隣りの女性を凝視するわけにもいかない。視野の端に捉えつつ、その姿を思い浮かべる。
黒髪をひっつめ、赤いチーク、目の周りは青。ゴールドの大きなイアリング。においは舞台メイクか。とすると、大きなキャリーバックには衣装だろうか。やっぱり、ダンサーに違いない。
ぐったり随分疲れているようだ。
昔っから、世界でもっとも美しい人はダンサーであるはずだと信じていて、例えば現在のそれは、カイリー・ミノーグである。
ダンサーはケータイをいじっている。
本文:今日はご多忙の中、有難うございました。私はこの仕事でなんとか結果を出すしかないと思っています。
「たとえば人は、犬を、衣装を、説教を美しいと呼ぶが、さてかんじんの真の『美』というものに直面したときには、かわいそうに、それがわからないのだ。」(月と6ペンス)
あ、メール打ちながらコクリコクリ。
ケータイ落としそうだ…。
18:55赤羽で乗り換え。
さよなら。応援してます。-
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