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from: caminoさん
2011年01月25日 00時17分56秒
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キャパのギャンブル
例年1/14から21の一週間は最悪な出来事に襲われるんで、「負の一週間」と呼んでるんだけど、今年はとりあえず平穏に乗り切ったようだ。
ただ、世界を見るとやっぱ結構大変で、チュニジアでは革命がおこりました。ジャスミン革命。雇用不安、焼身自殺、ネットによる情報の伝播、暫定政権樹立と、かなり過激です。世界平和という以外に平和は存在しない。
先週ぼくは、むかし読んだ本を読み返してたんですけど、ちょうどそのチュニジアが出てきましたよ。歴史的に忙しい土地なんだな。(そういえば浦沢直樹のモンスターにもちょっと出てくる)
「正規の輸送船に乗って私はアルジェに着いた。その船は新鋭のスコットランド部隊を、春の作戦と、長いあいだ遅れていたチュニス奪還の増援のため、北アフリカに運ぶものであった。」(「ちょっとピンぼけ」、ロバート・キャパ)
戦場カメラマン、キャパの自伝的小説(というか小説的自伝?)。引用はチュニジアの首都チュニスの奪還作戦に合流する場面です。戦争カメラマンというと、男子は一度は魅了される。
ギャンブラーって感じがします。
キャパにとっては、ポーカーと戦争とが同列に位置しているんじゃないかと感じる。生きること自体が賭け。
もちろん生きることは選択の連続ですから、誰もが一応、掛金を積んではいますよね。しかし誰もがギャンブラーというふうには感じない。「もし」とか「結果的に」ということは誰にでもあるんだけど、「あえて」リスクを取る決断というのは難しいし、その決断を評価するのはさらに難しい。リスクを取らないですむなら、それはとても良いことだと言えると思います。
それにもかかわらず、キャパのギャンブルには惹かれる。その理由は多分、ねじまき鳥クロニクル第2部で岡田トオルの言っていた事と関係がある。彼は、なぜ勝ち目のない方に賭けるのかと問われて答える。
「僕には賭ける側を選べないからだよ」
賭けるかどうか、あえてリスクを取るかどうかの決断はもちろん自分がする。だけど「さあ、どちらに賭ける?」という段になると、そこに選択肢はないんだ。多分。運命と自由意思がグチャグチャに混ざってるんですよ。身体の中で。
そこが競馬とかパチンコとかで小遣い賭けるのとは、ちょっと違うんじゃないか。ポーカーでさえキャパには他の人と異なる意味があると、ぼくは思う。
匂ってくるようなリアリティですよ。砂埃と機械油。シャンパンと赤毛。別れの口づけ。すごく面白い本。生涯ベスト3に入る。
そこまでしてキャパは何を得たんだろう。
それは多分キャパだけに帰属するものではない。
おすすめの一冊です。-
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