ある昼下がり．．．


じっちゃん：

「年をとるっていうのは悪くないぜ、ベイビー」

私：

「えっ、でもシワとか増えててくるし...」

じっちゃん：（笑いながら）

「シワってのは笑い顔を演出するものよ、年寄りにシワは不可欠」

私：（ぼそっと）

「でも年取ったら行く末そう長くないし．．．」

（しばらく黙っていたが．．．）　じっちゃん：

「年寄りってのはギャンブラーよっ」

私：

「はぁっ？」

じっちゃん：（タバコをふかしながら）

「明日死ぬかもしれない毎日を生きるってのはギャンブル以外のなんでもねぇ」

私：

「うん」

じっちゃん：（私を指さしながら）

「でもそれはあんたも同じってことよ」

私：

「なにが？」

じっちゃん：

「あんただって明日死ぬかもしれないって事実はわしら年寄りと同じってこと」

私：（爪を噛みながら）

「私、じっちゃんくらい長生きできるかなぁ？」

じっちゃん：（空を仰ぎ見ながら）

「さあなぁ、それだけはお天とさまのみ知っているってことだわぁ」


私はじっちゃんの横に腰掛けてじいちゃんと同じペースで呼吸しているこの幸福感をなにものにもかえがたいと思った