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from: 視線さん
2009年02月16日 04時54分35秒
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ミスターシリアス
ミスターシリアスは今まで一度も笑ったことがない
子供の頃はもちろん
高校生のとき初めてセックスしたのそのあとも
同じ大学で恋人ができたときも
案外すんなりと就職が決まったときも
三十で結婚したときも
自分の子供が生まれたときも
彼は笑わなかった
ミスターシリアスに冗談は通じない
というより彼はどんな冗談も面白いとかおかしいとか思えない
彼は社交辞令や愛想笑いを憎いとさえ思っている
会社で彼自身のその存在が浮いていようと同僚が彼の陰口を言っていようと彼にはどこ吹く風という態度である
もちろん彼には友達と呼べるものもいない
ミスターシリアスはけっこう女性にモテる
彼はいつも真剣な表情をしているのである種の女性にはそれがミステリアスに映るらしい
たまに仕事の帰りにバーのカウンターでひとりスコッチをストレートで飲んでいるときなどひっきりなしに女性のほうから彼に声をかけてくる
(ある種の)女性にとって彼は放っておけないタイプらしい
ミスターシリアスは鳥が苦手である
鳥たちは気軽に彼の肩にとまりリラックスして糞尿を垂れ流すものもなかにはいる
彼は顔をしかめるが鳥たちは表情というものが読めない
鳥たちは彼のことがすごく好きで彼の耳元でいろんな話を話してくれるのだかその事実も彼の悩みの種である
ミスターシリアスは髪型や服装にすごく気を使っている
朝シャンはもちろん週に一度は行きつけの床屋に足を運んでいる
洋服はみなオーダーメイドでベースカラーはチャコールグレー、紺、黒の3色と決まっているが首に巻くスカーフに関してはたくさんのコレクションを持っており旅行や出張など行く先々でいいものが目につけば購入するようにしている
ミスターシリアスはものすごく几帳面である
彼は朝起きるとベッドをきちんと直してベッドカバーの上の部分をきっちり25cm折り返しその端をマットレスの下に折り込む
朝食を摂るあいだに朝刊を読み終えるとそのあと10分間かけてしっかり歯を磨きこむ
言うまでもなく彼のドレッサーには上着、シャツ、パンツ類が、そしてタンスには下着、スカーフ類などがちゃんと色別、デザイン別に分けられて収められている
彼の几帳面さは徹底していて他の人々に居心地の悪い思いをさせるときがある
ミスターシリアスは今日もこの空の下のどこかで苦虫を踏み潰したような顔をして生真面目にそして堅実に生きている
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