ここから逃げようと男は私の手を取った

信号待ちで隣にいた男に手を引っ張られた私は唖然

ちょっと待って　

なにから逃げてどこへ行こうというの？

男はじっと辛抱強く私の目を覗き込んでいる

「水菜買いに行く途中なのに．．．」

男が私の手をいっそう強く握り締めて痛い

あたりの景色が遠のき判断力がブレる

うしろめたさを感じながらも思い切って男の手を振りほどくと私は目を閉じた

一瞬目を閉じる前に見た悲しそうな男の瞳

信号が青になり人々が歩き出す気配　

目を開けるとそこにはもう男はいなかった

私は平穏を装って水菜を買い家路に着いた

あの男は一体なんだったんだろう？

いや．．．実は男なんてはじめからいなかったのかもしれない

「ハンガリーのブダペストに来ました。

久しぶりに温泉につかって旅の疲れが吹っ飛びました。水着を着て温泉に入るのってちょっと違和感ありでしたが、カッコイイ男の子と同じ湯につかれるのも悪くないですよぅ、ふっふっふっふ。

市内だけでも５０はあると言われている温泉はブダペスト市民の憩いの場であることは間違いありません、老若男女がみな幸せそうにお湯に浮いていました。

湯につかりながらチェスをしているおっちゃんたちはけっこう真剣に対局していて、でも若い女の子が通り過ぎるとちゃんとゲームを中断してプリンプリンに見入っていました．．．可愛いかったです。

温泉好きのくまこでした。」

なんのためにあなたは祈る？

祈りは天まで届くと天を突き抜けてぐるっと一周して自分に帰ってくる

目を閉じて胸の前で両手を合わせる．．．と安心感が歩いて来る

人それぞれ祈る対象は違う　でも祈りはシンクロする

祈る・祈る・祈る・祈る・祈る・祈る・祈る・祈る

世界に平和が訪れますようにと祈る

テストで百点が取れますようにと祈る

友達のお父さんの病気がよくなりますようにと祈る

魚がいっぱい捕れますようにと祈る

明日いい天気になりますようにと祈る

早く仕事が見つかりますようにと祈る

死んだおじいちゃんがちゃんと天国へ行けますようにと祈る

好きなあの子から電話がかかってきますようにと祈る

年末ジャンボ宝くじが当たりますようにと祈る

空爆に遭いませんようにと祈る

今日の晩ご飯がカレーでありますようにと祈る

子供が授かりますようにと祈る

いろんな種類の祈りがあって．．．それで世界は支えられている