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from: もっくんさん
2009年03月04日 23時14分23秒
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解雇
業務上の傷病での療養と解雇の考察(主に解雇権濫用の法理)(これも全くの私見です。)
労基法上で明確に規定されているためか、その理由についての資料がみあたりません。
そこで、解雇全般について記し、そこから労基法の規制について考えてみましょう。
労働契約も契約なので本来は当事者間の事由な意思により締結されるものです。
そこで、民法では、
民法627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申込みをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申し入れは、次期以降についてすることができる。ただし、その解約の申出は、当期の前半にしなければならない。
つまり、民法では事業主も従業員も自由に労働契約を解約できるとしています。
しかし、使用者による解雇については、労働者が生活の糧を失うことや、特に日本においては、長期雇用や年功序列の慣行があり、いったん解雇されると、以前と同じ水準の条件で再就職することが難しいことなどから、戦後の判例により、解雇権濫用法理という解雇を制限するルールが作られました。
この判例法理は、平成15年に労働基準法16条に盛り込まれた後、今回(昨年)労働契約法に移されました。
(労働契約法入門 山川隆一著より)
ところで、労働契約法は労働契約のルールを明確に定めることにより、裁判等で争った場合の結果が予測されやすくし、それによって、労働紛争を未然に防ぐために制定されたものです。
そのため、判例で示されたルールを法律化したものだといわれていますが、
上の例では、労働契約法により解雇権濫用の法理が採用されることはわかっても、解雇権濫用の法理の「内容がさっぱりわからない。」というのが、私の感想です。
労働契約法に解雇権濫用の法理の内容が定められていないので、結局は、判例により判断されることになります。
判例からは、
1 就業規則、労働協定に定めてある解雇事由に従っているか(就業規則の絶対的記載事項なので従業員10人以上の場合は就業規則に定めてあるはず)。
2 就業規則等に従っていたとしても、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であるか。
が検討することが示されています。
ここで、客観的な理由とは何かは、おおむね次のような事由とされています。
①労働者の身体、または精神に疾病や障害などがあり、業務に堪えられないと認められる場合
②勤務成績や能率が著しく不良、または能力・技能が著しく劣り、業務に適さないと認められるとき
③重大な規律、秩序、勤務義務違反などの行為があったとき
④業績不振などによる経営の悪化により人員整理が必要なとき
労働契約は、労働者には労働する義務があり、労働者が労働した結果、使用者に賃金を支払う義務が生じることになるので、
障害により、労働者が労働する義務を果たせなくなると、労働契約が解除されることになります。
しかし、障害により一時的に労働することができなくなっても、治癒することにより、再び労働することができるようになることが見込まれる場合には、治癒するまでの一定期間経過前に解雇すると解雇権の濫用なると思います。
この一定期間は企業規模(体力)なども考慮にいれる必要があり、一律に定めることができません。
会社の実情に合わせて、就業規則に休職期間(解雇猶予期間)として定めておいたほうが良いと思います。
一般的には、勤務年数に応じ、1年半以内のケースが多い。
以上は私傷病の場合です。
業務災害による傷病の場合はなおさら、治癒した後労働することができる可能性がある場合は解雇は不当と考えられます。
そのため、労基法では、業務上の傷病で療養の期間(治癒している最中)とその後の30日間は労働することができるか判定するために解雇制限を設けているのだと思われます。
しかし、業務災害でも、療養期間中であれば何年経っても解雇できないのでは、会社に負担が大きすぎると考えられます。
労基法は強行規定なので、一律に定める必要があり、3年経過後、傷病が治らない場合は、平均賃金の1,200日分の打切支給を支払えば解雇することができるとされています。
以上の解雇制限とは別に、
民事上の損害賠償責任があり、その範囲は労災保険法の給付とはイコールではないので、注意が必要です。
特に慰謝料が問題だと思いますが、精神的なものは会社の対応によりところが大きく左右すると思うので、
そのような場合は、事業主には、誠実に対応するようアドバイスすべきと思います。
誠意ある対応をしていれば、慰謝料を請求される可能性も低くなると考えられます。-
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