新規登録がまだの方

下の[新規登録]ボタンを押してコミュニティに登録してください。

登録がお済みの方はこちら

コミュ二ティポイントのご案内

詳しく見る

大好き、日本酒

大好き、日本酒>掲示板

公開 メンバー数:5人

チャットに入る

サークル内の発言を検索する

サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。

閉じる

  • from: ☆(⌒杰⌒) AMA-G'ですさん

    2010年11月19日 10時04分39秒

    icon

    【ドサ回りの空の下、呑んだ地酒は苦い味がした】


    【ドサ回りの空の下、呑んだ地酒は苦い味がした】

     ★(⌒杰⌒) AMA-G'です

    日本酒呑みの回想だ。
    聞いてくれるかい。
    忙しいのに悪いね。
    え、それほどでもない?
    ご謙遜を。

    さてと、随分と昔の話だ。
    その頃の俺はセールスマンだった。
    チームを組んで街から街を渡り歩いていた。

    売り物は専門書やビデオテープだ。
    怪しいものじゃなく、ごくマジメなものだ。
    ただ、総額がそれなりの金額なので、
    セールスの相手には如何に分割が得なのかを
    うまいこと勧めなければならない。

    泊まるのは定宿にしている民宿が多かったな。
    いったんそこにワラジを脱ぐと、たいてい一週間から二週間は居続ける。
    宿を拠点にその周辺地域をローラーで営業するわけだ。

    あるシーズンの俺の営業品目はバレーボールの教則ビデオセットだった。
    日本バレーボール協会が監修したもので
    当時の全日本女子の監督が実業団や大学のチームを使って
    基礎からみっちり教えてくれるというヤツで
    セット価格で20万くらいだったろうか。

    営業先は小学校なら地元の民間チームのコーチや監督。
    中学から高校くらいまでは、バレー部の顧問の教師に売り込む。
    最初の電話アポは自分の会社名よりも
    〝日本バレーボール協会担当の…〟の部分を強調する。

    姑息なテクニックだが、
    この手だと八割方はアポが取れる。
    嘘は言ってないが、相手はバレーボール協会の人間が来るものと
    勝手に勘違いしてくれる。
    いったんアポがとれて訪問し、
    俺がバレー協会の職員でもなんでもないと分かっても
    話だけは聞いてくれるというわけだ。

    ある少年団チームの監督は町のスポーツ店の店主だったが
    俺が訪問すると歓迎してくれて
    酒まですすめてくれたものだ。
    いい加減酔ってやおらセールスの本題に入って
    俺の正体がばれたときの店主の〝騙されたぁ〟みたいな表情と
    その後の気まずい空気は居たたまれなかったよ。

    高校時代にバレーボールの経験があったから、
    まったくの素人よりは商品説明にも熱が入る。
    そのせいかそこそこのセールスが上げられた。

    ある学校ではせっかくなので部活を指導してくれなんて
    頼まれて、ワイシャツ姿でスパイク打ってみせたこともあったな。

    セールスの常套手段だが
    セット価格なら無理だという相手も
    その金額を一年365日で割り、ヒト月30日で割れば
    一日あたりコーヒー一杯分で手に入れられると誘えば
    学校の教師もそんなものかなぁ、なんて気になる。

    その際、検討したい、一晩考えたいというのは
    契約を逃す確率が大なので
    その場ですかさず申込書を書かせるように持ってゆく。

    申込書は、ドサ回りから営業所に戻って本社に転送。
    改めて担当から購入の意志確認が行われるので
    気の変わった顧客はキャンセルするが
    それでもその月の契約としてはなにがしかの評価につながった。

    一つの街をローラーで営業しつくすと
    次の街に移動し、再び民宿を根城にビデオを売って歩いた。
    そうして、当時は月の三週間が旅の空で
    自宅に戻り営業所に出向くのは一週間だけだった。

    そんなセールスマン暮らしにわずか3か月で見切りをつけて
    その後、しばらくは失業保険を貰いながら
    コンクリートの強度試験研究所でバイトをしたっけ。

    セールスマン時代の想い出は
    一日の仕事が終わって宿に帰り、ひとっ風呂浴びてから
    宿の食堂で呑むその土地の地酒の美味さだった。

    田舎の町にはたいてい一、二軒の酒屋があって
    土地の地酒を置いていた。
    一緒にセールスして回る同僚たちと割り勘で一升瓶を買ってきて
    宿の食堂や泊まっている誰かの部屋に集まって酒盛りしたものだ。

    セールスの給与は基本給+歩合給だったな。
    基本給だけでも当時の年齢なら普通に生活できたが
    1セット売れるごとに加算される2万〜3万の歩合はやはり嬉しいし
    なにより仕事の張り合いになった。

    ただ、
    俺がその会社を3か月で辞めたのはつまらない理由からだった。
    チームでセールスをしていると
    前月のトップセールスを記録した者は
    暗黙の了解で宿での飲み代を負担するしきたりがあったんだ。

    太っ腹なヤツそんなルールでも大してこだわらず
    歩合のほとんどを大盤振る舞いしていたが
    根が小者でケチな根性の俺はそれがイヤだった。

    役職もなにも付かない同じセールス同士が
    自分の才覚で歩合を競っているのに
    夜の酒代をトップにねだる。
    自分の不甲斐なさを棚に上げて
    頑張ったヤツに飲み代をせびる風潮が我慢ならなかったよ。

    ま、辞めた一番の理由といえば…、
    やはり月に三週間ものドサ回り暮らしが辛かったんだろうな。
    当時、借りていたアパートはS区の古い2DKだったが
    安い家賃とはいえ、まともな家賃を納めて
    月に一週間しか住んでないんじゃ、
    もったいないを通り越して、お馬鹿な浪費じゃないか。

    セールスマンを辞めた俺は、
    さっき言ったように二ヶ月ほどコンクリート試験のバイトをして
    年明けくらいに新聞広告手、当時かなり有名だったR社に
    契約社員として採用され、ある住宅情報誌の制作部門で働くことになるんだ。

    ま、その話は今度また、あんたが旅から戻ってきた時にでも…。
    明日、出るのかい?
    今度はどのあたりを回るんだ?
    北か南か? 大変だな地方回りのセールスマンも。

    それじゃ、また(*^^)v




    • サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト

コメント: 全0件