このところ、中国は急激に海軍力を増強し始めている。潜水艦は既に６０隻を超え、空母までロシアから、購入することを決めている。
　アメリカに対抗して、海軍力を強化し、とりあえずは、南太平洋の覇権を確立して、南沙諸島などの未開発のエネルギ－を支配しようとしているのであろう。
　周辺国がそれぞれ領有権を主張している南沙諸島問題は、大きな波乱要因だ。フィリピン、タイ、ベトナム、台湾、インドネシアなどが、こぞって潜水艦を保有したり、増艦しようとしていることは、その表れであろう。
　これか火種になって紛争が起こるようなことにはなるまいが、この問題については、関係国が納得するような裁定を下すところがないことが悩みの種である。
　人間の貪欲の渦みたいなところである。
　村上新八　
　

　出稼ぎウイグル人のいじめに端を発した新疆ウイグルの暴動は中国軍の圧倒的な武力で鎮圧された。しかし、武力による押さえつけは、解決どころか、表面下の民族マグマを加熱させ、増大化させるだけのことである。問題の先送りに過ぎない。
　今回の「世界ウイグル会議」のラビア・カ－ディル氏の来日は、この暴動と被害の真相を究明するための調査団を派遣して欲しいということが狙いである。
　しかし、カネと国益しか考えない世界各国は、カ－ディルの要求に応えて動くことはないであろう。
　それを訴えるから、アムネスティの方が可能性はあると思うが、アムネスティが動こうとしても、中国政府が千代憂さ段の入国を拒否することは決まっている。
　しかし、カ－ディルの来日に中国政府は不快の念を示し、駐日中国大使も抗議の発言をしている。その程度の効果はあったのであろう。
　されにても、チベット、新疆ウイグル、アウンサン・ス－チ－など不条理に満ち満ちた世界である。それらの問題すべてに中国が関わっているのはどうしたことなのか。
　村上新八

　２期８年は市長をやると公約していた中田横浜市長が、任期を残して突如辞任した。
　地方自治政治の推進に専念することと、市長選挙を総選挙と同日にやることによって、投票率を上げ、経費を接舷することがその理由だというが、眉唾だ。
　開港１５０年記念行事の入場者が予想を大きく下回ることや、女性問題で２件の訴訟問題を抱え、いずれボロが出そうな気配を感じて、ボロが出ないうちに逃げ出そうとしているものだと読んだ。
　地方自治の推進なら、大阪の橋下知事もいることだし、政権交代の可能性も高い現在は、現職のままでチ－ムを組んでやったほうが政府への話もやり易いはずであるから、苦しい弁解であることは明らかである。新進清廉と思われた中田も期待はずれのまやかし者であった。
　村上新八

　国連でも、ＡＳＥＡＮでも非難決議、６者協議復活を突きつけられている北朝鮮は、益々孤立の度を深めている。
　ヒラリ－長官は、「瀬戸際外交で援助を引き出そうとしても、もう、その手は通用しないわよ」と決め付け、６者協議への復帰を求めているが、北朝鮮としては、復帰しても意味はないし、と言って核、ミサイルを放棄する気持もさらさらないのだ。
　だから、「事態を解決する別の道があるよ」と言って、米朝会談を示唆しているが、こんな誘いにアメリカが乗るわけはない。
　北朝鮮が言う、解決すべき「事態」を作り出したのは北朝鮮自身なのだから、その態度を変えない限り、孤立は変わらないであろう。
　北朝鮮を説得できる唯一の国は、北朝鮮を、かろうじて食うや食わずやの状態で維持させている援助国、中国なのだ。が、説得の仕様がないのであろう。
　となれば、金正日の健康不安と、後継者問題が持ち上がっている機会に乗じて、政権転覆でも仕掛けるしかあるまいが、それができるのも中国だけなのである。
　中国は大国としてしっかりその役割を果たせ。
　村上新八

　この総選挙で政権交替を実現し、そのの担い手になるであろう民主党の鳩山代表は、記者団に対して、「首相に就任した者は、首相辞任後は、正解を引退すべし」と述べた。この意見には大賛成である。
　後継のリ－ダ－や政界に影響力を残したり、院政をやったりすることは、政治刷新上好ましいこととは言えないであろうし、本当に、総理経験者としての経験と知恵に基づく助言が必要なら、政界を引退してもそれは自然な形で可能であり、それが望ましいと思うからである。
　その典型例は現在のロシアである。
　ロシアでは、プ－チンが大統領を辞めた後も首相として残り、自分の腹心のメドベ－ジェフを後継大統領に据えて、院政をおこなっているが、メドベ－ジェフを見ていると、いかにも遣り難そうである。これは、メドベ－ジェフの政治的個性を殺してしまい、リ－ダ－交替の刷新性を損なうことを意味するものである。
　村上新八

　麻生は、首相としての自分の人気がないのを自覚しているようである。このままでは、この総選挙で政権を明け渡さねばならぬことも感じているのであろう。
　選挙応援のお呼びがないから、いまいまで自民党を支持してくれてきた業界団体回りをしたり、いろいろ苦心していることは良く分かる。
　また、このところ「政権ではなくて、政策選択を」と訴え方を変えてきているのも、その苦心の一環であろう。
　政権と言えば、誰がリ－ダ－なのかが問われる。自民党のリ－ダ－が麻生なら、民主党の鳩山のほうがベタ－だ、ということになる。
　その選択基準で計られることを避けるために、「政権でなく政策選択を」と訴え方を変えてきているのであろう。
　苦心のほどは分かるが、いまだにマニフェストも出来ない自民党では、その転換策も空回りである。
　村上新八

　養鶏業者団体の全国集会に野党議員を招こうとしたら、自民党の族議員からの圧力で、農水省の官僚が、「野党を呼ぶなら集会を中止せよ」「与党の不快を買うと、予算を切られかねないぞ」と、団体に圧力を掛けた件について、「組織を守るためだ」と農水省の官僚は述べているという。
　その予算は、鶏卵価格が下がって養鶏業者の収入が目減りしたときに出す「価格変動調整金」みたいなものであろうが、この予算は自民党族議員のためのものでも、官僚のためのものでもなく、養鶏業者と消費者のためのものであるはずだ。
　この問題は、自民党の族議員が選挙の票集めの独占的な道具としてしか政策を考えていないこと、官僚の顔は、族議員の方にしか向いておらず、国民には向いていないことを如実に示すものであろう。
　村上新八

　ＡＳＥＡＮブラス３会議では、米中は悪態の付きあいのようになった。
　ヒラリ－国務長官は、「北朝鮮は親の関心引くためにただをこねる幼児みたいだ」と非難し、北朝鮮はこれに対して「ヒラリ－は愚かなばばあだ」と応酬する有様だ。
　北朝鮮に対するヒラリ－の感じ方は、まさにその通りだと思う。
　しかし、前にも述べたが、核を手に入れ、ミサイルでも自信をつけつつある北朝鮮は、利用価値のなくなった６者協議に戻ることも、核、ミサイルを放棄することも絶対にあり得ないと思うし、そのつもりで対応を考えるべきであると思う。
　それは、当面は放置しておき、世代交代の様子を見ながら、孤立させておくしかあるまい。中国も、北朝鮮支援は最小限にすべきである。
　人道援助は必要だが、それも、政府や軍に横取りされないように、直接人民の口に入るような工夫をすべきである。人民の口に入れても、吐き出させて横取りするような奴等であるから、よほどの工夫が必要になろう。
　村上新八

{年金たまご」と称する大規模詐欺が摘発され、出資方違反容疑で強制捜査が行なわれた。その詐欺の被額は６０億円以上に上るという。
　これは一種の「ねずみ講」で、昔からある手口である。健康食品を月に１３０００円購入し続ければ、最初の1年で１２万円、2年目以降は２８０万円を受け取れるなどの宣伝で全国からカネをかき集めていた大規模詐欺である。
　この詐欺は０１年ころから始まったもので、それから９年もの間やり放題だったわけである。その間にも、消費者センタ－への苦情もあったろうが、警察は放置していたのであろう。
　この手の詐欺は、いつも被害が拡大し、被害額は莫大、被害者も膨大、となってから、摘発に踏み切る、というツ－レイト癖は何とかならぬものだろうか。
　今度は、「消費者庁」とい役所ができるそうだが、なんとか早く手が打てるようにしてもらいたいものである。
　村上新八
　

　麻生は、両院議員懇談会を切り抜け、反麻生派の総帥、中川秀から握手まで求められ、これで自民党の一致団結は回復できた、と安堵したであろう。
　解散後の記者会見で、「安心できる子育て」「安心できる雇用」「安心できる老後」を約束します、と述べた。
　この三つは、保育所不足による大量の待機児童、産科医不足による周産時妊婦のたらい回し、派遣労働者の大量失業、不安定就業による人財育成のストップ、所得格差の増大、消えた年金、消された年金、支払いの大幅遅れなど等、一番安心できない問題なのである。
　今更、こんなことを言われても、有権者は、「与党の首相として、いままで何をやってきたのか。成果は何もないではないか」と白けるばかりである。
　この問題に触れるなら、現政権与党の首相なのだから、「いままでの施策の成果はこういう形で、何時頃出ててくるはずだが、さらにこういうことを考えている」くらいのことは言うべきであったと思う。
　村上新八