東欧諸国で、右翼政党が勢いを増しているという、ハンガリ－、スロバキア、オ－ストリアなど軒並みである。右翼といっても、ネオナチのような性質のものではなく、生活の苦しさによる政治への怒りや「ロマ」いじめの民族ナショナリズムの激化である。この様な動きの原因はどこにあるのであろうか。
グロ－バル世界で、好況期には東欧は、ＥＵ製品のコスト高を抑ええ、企業利益を支える有り難い存在であった。安い人件費が先進ＥＵ諸国企業の生産拠点の受け皿になったし、安い労働力を先進ＥＵ諸国に提供できたからである。
　しかし、リ－マンショック後は、状況が一変した。東欧からは先進ＥＵ諸国の資金は引き上げられ、出稼ぎ労働者は、真っ先に首になり、出身国への帰国を余儀なくされたからである。東欧は使い捨てられたのである。
　その結果、東欧経済は疲弊し、民衆の不満は、政府の無策や貧の底辺にいる「ロマ」いじめに向かったのだ。生活に苦しいロマが、苦し紛れの犯罪に走るということもあろうが、仕事が無いなかで、さらに安い労賃で、仕事を奪っていく憎しみも加わっているのであろう。
　この問題は、ＥＵ全体の問題、ＥＵの将来を安定させるための問題として取り組むべきであろう。
　村上新八