タイの首都バンコックでのタクシン派の騒乱は２ヶ月にも及ぼうとしている。これに対して、アピシット首相は徹底鎮圧の姿勢を崩さない。現在はタクシン派の占拠地域を封鎖、包囲し、電機、水道を止める兵糧攻め作戦に出ている。
　この騒乱の元凶はタクシン元首相だ。
　彼は、私腹肥しとタイ国で多数を占める農民に対する手厚いバラマキ政策で圧倒的な支持を得るという戦略で政権を維持してきたのだ。それが都市の有権者の反発を買い、「イエロ－カラ－攻勢」で倒れ、新政権が発足、タクシン一家は海外に亡命。
　今度は、バラマキ政策維持を求めて、地方のタクシン派がタクシンの復帰を求めて今度は「レッドカラ－攻勢」を掛けてきたのが、現在の騒乱である。
　タイ国と言えば、敬虔な仏教徒の国で、男性は生涯のうちで一度は剃髪して僧になるくらいの信仰心の強い国、という印象があったが、敬虔な仏教徒でも、仏心は欲心には勝てなかったことを行動で証明してくれたわけである。
　村上新八