選挙となると、どの政党もマニフェストを掲げる。しかし、実際に政権担当の可能性ある党、あるいは連立の形で与党になるかもしれない党以外は、政権党のマニフェストとか違う公約を掲げても実施は不可能なはずである。
　それにも拘わらず、政権党以外でもマニフェストに別の公約を掲げるのはどうもピンとこない。
　これらは、「マニフェスト」でなく、「我党はこういうことを主張します」という形であるべきなのではないか。
　それはそれで意味はあると思う。政策として実現はしなくても、その野党の主張は、少数意見として表舞台に登場させることに意味があるからである。
　その少数意見に耳を傾け、それを政策に織り込むような、雅量のある、懐の広い政権党は稀ではあるが、なかったわけでもないのだ。
　野党の声も「死に声」にしないような配慮こそ、成熟した民主主義と云える条件なのである。
　村上新八