新規登録がまだの方

下の[新規登録]ボタンを押してコミュニティに登録してください。

登録がお済みの方はこちら

コミュ二ティポイントのご案内

詳しく見る

寺子屋 素読ノ会

寺子屋 素読ノ会>掲示板

公開 メンバー数:21人

チャットに入る

サークル内の発言を検索する

サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。

閉じる

from: 庵主さん

2013年09月20日 20時59分43秒

icon

千鳥の香炉を転がす利休。

月がきれいな夜です。名月にちなむこんな逸話をご紹介しましょう。先日、銀座カルチャー講座で、『茶話指月集』を読みました。段落骨子は以下。さる名月の頃、利

月がきれいな夜です。
名月にちなむこんな逸話をご紹介しましょう。
先日、銀座カルチャー講座で、『茶話指月集』を読みました。
段落骨子は以下。

さる名月の頃、利休邸にて、細川幽斎・蒲生氏郷を招き茶会が催された。

茶事は滞りなく進行し、主客満足の体にてはや刻限も過ぎる。
客が立とうとする時分、氏郷がふと、
「お師匠様。近頃入手された〔千鳥の香炉〕をぜひ拝見したいものですが」
と申し出る。
利休の面色はたちまち険しくなり、勝手に下がったかと思うと、
千鳥の香炉を手に持ち帰り、灰をざっと捨て、香炉をごろごろ転がして客に見せた。
声もなく、彫像のごとく固まる氏郷。
しかし、正客の幽斎はにこりとほほえみ、
「清見潟の心ですな」
というと、利休の機嫌も直り、
「いかにも。仰せのごとく」
と答え、打って変わったご機嫌の体であったという。

千鳥の香炉は当時、利休の念願がかなって入手した東山御物の大名物です(連歌師宗祇より値千貫にて譲られたとか)。
さて、この茶会では、千鳥の香炉はもともと予定になく、通常の仕立てにて万事進行し、主客なごやかに茶会を終ろうとした。
そこへ予定外の氏郷の所望。
「今日の茶事も無事終ろうとするのに、今に及んでなにゆえ無粋な横槍を入れるのか。憎きは千鳥なり」
この時利休の脳裏に浮かんだのが、順徳院の名歌でした。
清見潟 雲も迷わぬ 浪の上に 月の隈なる 群千鳥かな (順徳院御百首)
(名所清見潟には一片の雲もなし。その冴え冴えとした波の上にあたかも月の影(雲)のように千鳥の群れが飛び交っていく景色の面白さよ)
幽斎は当代一の歌人です。瞬時に利休の心を読み取った眼力にはまさに驚くほかありません。

この逸話と歌については、千鳥を「邪魔者」としたのか、はたまた「風流」として褒め称えたのか、という二種の解釈がある。
(一点の曇りもない完璧な名品を、侘び数奇はむしろ嫌ったという見地から)(利休の見地はむろん「邪魔者」でしょうが...)
講座でも、受講者の間でこもごも意見が交わされ、歌の解釈は人それぞれ...とひときわ面白く感じたものでした。

  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • 2
  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • 1

icon拍手者リスト

from: 庵主さん

2013年09月23日 08時12分37秒

icon

≫ 私は氏郷さんに対する激励の意味があったのではないかと夢を膨らませます。
実は利休さんは氏郷さんが申し出てくるのを内心待っていたのではないかと

目からウロコのご意見ですね!
なるほど。主客一心の茶道であれば、確かにそうかもしれません。

氏郷も、香炉をそのまま師匠に転がしてかえせば、
なお良かったのかも…(笑)。今の価格で一億円ですが…。

  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • 1

icon拍手者リスト