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  • from: 庵主さん

    2019年12月19日 18時57分03秒

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    知る者は言わず、言う者は知らず。【言の葉庵】No.114

    0000281486 ≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫ 名言名句マガジン【言の葉庵】
    ┓┏ ┏┳┓
    ┣┫OW┃O           125年前の漱石先生の教え 2019/12/17
    ┛┗━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    名言名句は、老子の深い哲理をあらわす、「知る者は言わず、言う者は知らず」。
    同句を今回、若き夏目漱石のエッセイからご紹介しましょう。
    貞観政要を読むは、国の盛衰を政治手法の面から論議する巻第五「論仁義」。
    800年続いた王朝と、たった15年で滅亡した帝国の違いとその要因を解き明かします。
    ...<今週のCONTENTS>...........................................................................
    【1】名言名句 第六十五回       知る者は言わず、言う者は知らず
    【2】貞観政要を読む 第十三回       人民の安楽こそ、帝王の武器
    編集後記...
    .........................................................................................................
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    【1】名言名句 第六十五回      知る者は言わず、言う者は知らず
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    知る者は言わず、言う者は知らず。〜老子『道徳経』第五十六章
    これも他の名言と同様、反語・逆説的な至言のひとつです。
    智が深くなればなるほど、真理に近づけば近づくほど、人は余計な言葉を発しなくなるという教えです。
    逆に智のレベルが浅い人ほど、知ったばかりのこと、少し聞きかじったことをしゃべりたくて仕方ないもの。
    道に達した人は外見上暗愚とひとしく見える、という例は、たとえば中島敦『名人伝』の弓の達人、
    紀昌の生きざまによく表れています。
    https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/621_14498.html
    「知る者は言わず」の句は、日本でも中国でも、多くの作品、文献に引用される有名なもの。
    その引用例は数限りないのですが、今回は明治の文豪、夏目漱石のエッセイに引用されたものを紹介したいと思います。
    「言ふ者は知らず、知るものは言はず、余慶な不慥の事を喋々する程、見苦しき事なし、
    況んや毒舌をや、何事も控へ目にせよ、奥床しくせよ、無暗に遠慮せよとにはあらず、
    一言も時としては千金の価値あり、万巻の書もくだらぬ事ばかりならば糞紙に等し。」
    (『愚見数則』夏目漱石〜「漱石全集 第12巻」岩波書店 昭和42年)
    言う者は知らず─。幾百もの駄弁を止めて、千金の一言を述べよ、と漱石は諭します。
    明治28年、愛媛の尋常中学校に教諭として就任した漱石が、学問を志す生徒たちに指針を、
    と理事に命ぜられ、同校発行の雑誌に寄稿したのが、『愚見数則』と題する一文。
    青年教師が、夢多き少年たちに、自らの信条・思想・学問への熱き思いを箇条書きで、
    時に真摯に、時にユーモラスにつづったエッセイです。
    原文は名文とはいえ、125年前の日本語です。言の葉庵では今回、古語読解の労を省き、
    漱石の思いにぴったりと寄り添っていただきたいと思い、全文現代語訳にてご案内しました。
    本文の冒頭数行が序文。その後が本文で、20箇条にわたってひとつひとつの説諭が展開されます。
    最後、数行の跋文によりしめくくられています。
    20箇条の本文中、冒頭の漢数字(一.〜二十.)は、読みやすさを考慮し訳者が附しました。
    ────────────────────────
    現代語訳『愚見数則』 夏目漱石
    (水野聡 訳 2019.12 能文社)
    理事が来て、何か書けとおっしゃる。ぼくはこの頃頭の中がからっぽで、君たちに示すようなことがない。
    しかしぜひに、ということなら仕方ない。何か書こう。
    ただしお世辞は嫌いだ。ところどころ君たちの気に入らぬところもあろう。
    そしてまた、思いついたことをそのまま書き連ねたようなところもあり、
    箇条書きのようでちっとも面白くないかもしれぬ。ただし、文章は飴細工のようなもの。
    のばせば、いくらでものばせられるのである。そのかわり、正味は減るものと思いたまえ。
    昔の書生は笈※1を背負って四方に遊学し、「この人なら」と思う先生のもとに落ち着いたものだ。
    ゆえに、自分の父兄以上に先生を敬った。
    先生もまた、実の子のように弟子に接したのである。
    このようでなければ、真の教育というものは成り立たない。
    今の学生は、学校を旅館なんぞのように思っている。
    金を出してしばらく逗留するにすぎず、嫌になればすぐに宿を変える。
    こうした生徒に対して、校長は旅館の主人のごとく、教師は番頭や丁稚のごとくである。
    主人たる校長ですら、時に客の機嫌をとらねばならず、ましてや番頭、丁稚ともなれば
    薫陶を与えるどころか、解雇されないことを幸福と考えるほどである。
    生徒が増長し、教員が下落するのは当然だ。
    ※続きはこちらから↓
    http://nobunsha.jp/meigen/post_235.html

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