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from: 21世紀さん
2009年07月31日 23時38分25秒
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大前研一 『 ニュースの視点 』
2009/7/31#273『中国の規模感に注目せよ!〜課題は“世界で通用する”ブランドの育成』■┓家電量販店大手┗┛ラオックス中国・蘇寧電器との提携を
2009/7/31 #273
『中国の規模感に注目せよ!
〜課題は“世界で通用する”ブランドの育成』
■┓家電量販店大手
┗┛ラオックス 中国・蘇寧電器との提携を承認
ベスト電器 新宿高島屋店を閉店へ
―――――――――――――――――――――――――――
●日本の家電量販店が持つノウハウが狙われている
24日、家電量販店のラオックスは都内で臨時株主総会を開き、
6月に発表した中国の小売り大手、蘇寧電器集団との業務資本
提携について決議し、株主の承認を得ました。
ラオックスは8月に蘇寧と、15億円の第三者割当増資を実施す
る計画で、これにより家電販売に弾みをつけたい考えです。
また、家電量販店のベスト電器は22日、東京新宿のタカシマ
ヤタイムズスクエアにある新宿高島屋店を8月末で閉店する方
針を固めました。
蘇寧電器がラオックスを手に入れたという動きそのものは、家
電業界全体の中ではそれほど大きなものではありません。
しかし、今後、家電業界においては中国勢が日本企業を買収す
るという大きな動きへと加速していくのではないかと私は見て
います。今回のラオックス買収は、その第一歩だと感じています。
08年度の日中の主な家電量販店の売上高を比較してみると、
1位:ヤマダ電機(約1兆8000億円)
2位:国美電器(約1兆5000億円)
3位:蘇寧電器(約1兆5000億円)
となっています。
そして4位以降は、エディオン、ヨドバシカメラ、ビックカメ
ラという日本勢が続くのですが、売上規模は5000億円〜8000
億円と半減してしまいます。
※「日中の主な家電量販店の売上高」チャートを見る
→ http://vil.forcast.jp/c/al2Kakp16n7E7Hac
ヨドバシカメラやビックカメラなどがポイント制度の導入など
で互いに争った結果、経営状態が悪化してしまい、日本の家電
業界は完全にヤマダ電機の一人勝ち状態になっています。
そして、中国企業はこの状況に好機を見出し、経営が劣化した
日本の家電量販店を取り込むことで、日本が持つ「ノウハウ」
を吸収したいと考えているのだと私は見ています。
日本の家電量販店は中国の家電量販店に比べて規模は小さくと
も、長年にわたる厳しい競争を経た結果、中国の家電量販店が
持っていないような経営「ノウハウ」をたくさん持っています。
一例を挙げれば、ヨドバシカメラの持つ「ERP活用スキル」な
ど非常に魅力的なノウハウだと思います。私が知る限りでは、
ヨドバシカメラは、業界を問わず日本で最もERPの使い方を理
解し、そして活用している企業だと思います。
日本の家電量販店は、他にも多くのこうした経営ノウハウを
持っています。それはお互いに切磋琢磨し、厳しい競争を生
き抜く中で蓄積してきたものです。
中国企業からすれば、日本の家電量販店を買収することで、買
収相手の仕入れルートを活用して日本製の質が高い製品が手に
入るだけでなく、同時に経営ノウハウまで付いてくるのですか
ら、まさに「濡れ手に粟」といった気分でしょう。
実は、中国企業だけでなく、台湾の企業も日本の家電量販店の
ノウハウには注目しています。その意味でも、日本の家電量販
店を巡る買収の動きは加速していくことになると思います。
日本企業が互いに叩き合うことで、収益を圧迫してしまったと
いうのは、非常に残念です。
●ブランドを確立してこなかった中国企業
米通信各社がまとめたところによると、上海と深センの証券市
場を合わせた時価総額は約3兆2000億ドル(約300兆円)に
達したことが分かりました。
中国政府の大規模な景気対策で個人投資家らの資金が流入し、
大型株の多い上海株が年初から約7割上昇したことなどが背景
にあります。
15日の取引時間中には、一時的に上海と深センの時価総額が東
証のそれを上回ることもありました。こうした中国市場の盛況
を受けて、中国企業が国内・国外においてどのような動きを見
せていくのか?という点に注目が集まっています。
中国企業の国外進出については、2009年7月27日号のNewsweek誌
にある特集が組まれていました。
要点を簡潔に述べると、
「中国企業が大きくなってもそれほど心配は要らない。なぜなら、
中国には世界で通用している『ブランド』が殆どないからだ」と
いうものです。
この見解は正しいと私も思います。一部、IBMからPC事業を
買収したレノボなどは中国国内で知られるようになってきてい
ますが、どちらかと言えば例外的な印象を受けます。
中国の国民性は極めて「ジェネリック(ブランドに囚われない)」
であり、「プラグマティズム(実際主義)」だと私は感じます。
例えばテレビなどの家電であれば、「綺麗に映って性能も良いな
らブランドは何でも構わない」という風潮が強く、日本人のよ
うに「SONYというブランドにこだわってテレビを選ぶ」とい
う人は少ないでしょう。
一方、日本企業は「SONY」「HONDA」「CANON」などを筆頭
に企業規模が小さい頃から、ブランドを確立し、世界に通じる
ものにするべく力を注いできたという歴史があります。
ここが中国や台湾の企業と大きく異なっている点であり、日本
企業の強みだと思います。
音響機器ブランドの「SANSUI」「AKAI」「パイオニア」などは、
会社経営として順調ではありませんでしたが、未だにそのブラ
ンドは評価されています。
ただ、私は同じことをすでに6、7年前にはBBTで指摘してい
ましたから、Newsweek誌も随分と時代遅れな分析をするもの
だと思ってしまいます。
また中国の国内に目を向けたとき、巨大な時価総額を持つ中国
企業が、中国に進出している台湾企業を飲み込んでいくのでは
ないかという見方もあるようですが、私はまだそのような展開
にはならないと思います。
先ほども述べたように、中国国内においても確立された「ブラ
ンド」は殆どないという状況だからです。さらに言えば、「流通」
や「マーケティング」についても、中国企業はまだ発展途上の
状態だと言えると思います。
昨年まで中国には、安価な製品を国外に輸出するという意識し
かありませんでした。
ちょうど今年の1月頃からようやく国内市場の整備にも目が向
き始めたという段階です。領域によっては台湾企業も強みを
持っていますし、今後、中国企業がどのように成長戦略を描く
かを注視したいと私は思います。
ブランドを確立してこなかった中国企業のこれまでの選択が、
今後の国外・国内市場に対してどのような影響を及ぼしていく
のか、注目していきいと思っています。
以上
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from: 21世紀さん
2010年11月27日 23時03分13秒
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「Re: 大前研一 『 ニュースの視点 』」
2010/11/26
〔大前研一「ニュースの視点」〕
KON339「「農家もどき」では国民の胃袋を守れない〜世界の最適地で農業を」
農業改革
農地法見直しに言及
菅首相
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▼ 農業は世界の最適地でやるべき
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菅直人首相は16日の衆院本会議で「若い人でも障壁なく農業に参加
できるよう農地法など法体系も見直す必要がある」との見解を示しま
した。
また、農業従事者の平均年齢が65.8歳と高齢化していることにについて
「わが国の農業は貿易自由化とは関係なく、このままでは立ちゆかなく
なる」と強い懸念を示しました。
私はすでに20年以上前に、拙著「大前研一の新・国富論」の中で
この問題を指摘し、2005年までに改革する必要性を主張しました。
国民の平均年齢、農民が抱える様々な問題を考えて、「農業は世界の
最適地でやるべき」というのが私の一貫した主張です。
「農民憎し」と考えるのではなく、私たち国民の「胃袋」を中心に
論理的に考えると答えはそれ以外にないからです。
今までのように農業利権だけで政治が成り立っているという状況が
続けば、いずれ「国民の胃袋さえ守れない」という時代が来てしまう
と私は思っています。
農業従事者の平均年齢65歳とのことですが、米作農家に限って言えば、
もっと平均年齢は高くなります。おそらく70歳に近いのではないで
しょうか。
農水省はこれまで適当な理由をつけて頑なに「農業の開放」を拒んで
きました。
そして、圃場工事で莫大な税金を使って農業整備基盤事業を押し
進めてきました。
しかしそれだけの資金を費やしても、農業の生産性はほとんど向上
していません。おそらく、「やる気」がない人が増えているからだと
思います。
「(国内で)自由にやっていい」と言われても、オーストラリアや
アメリカなど「農業最適地」で自由にやっている人を見てしまったら、
モチベーションは上がらないでしょう。
オーストラリアでの農業、大規模かつ効率的な機械化で日本とは比較
にならないほど高い生産性を期待できます。
広大な土地を使い少人数で大々的に機械化された農業を営んでいる姿を
見たら、若い人はそちらでやってみたいと思うのが自然だと思います。
中途半端に日本国内に固執するのではなく、「農業は世界の最適地で
やるべき」という考えに基づいて農業を解放するべきです。
日本の会社や農民が世界の農業最適地へ行き、そこで作ったものを
国内に持ってくるという流れを作ることです。そして、間違っても
日本国内に持ち込む際に「邪魔」をしないようにすることが重要です。
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▼ 日本には農業利権だけを主張する人が多過ぎる
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例えばオーストラリアでは、大体「1キロ25円」くらいでコシヒカリ
を作ることができます。
しかしそれを「1キロ100円」で日本に輸入しようとすると、物流
コストで一気に値段が跳ね上がってしまいます。
というのは、日本の法律によって物流会社の選択にも様々な制約が
あるからです。同じような障害は他にも沢山ありますが、自由にコスト
競争力のある物流会社を選べないというのは代表例と言えるでしょう。
また農業を取り巻く状況を見ると、もう少し大きな問題も見えてきます。
この20年間で、農業従事者数が約900万人から560万人に激減し、
耕作放棄地は約15万ヘクタールから40万ヘクタールと拡大する一方
です。しかも、「土地持ち非農家」の割合が増えてきています。
※「日本の農業を取り巻く状況」(チャートを見る)
→
農業従事者に対する税制が優遇されているため、一層この流れが助長
されています。
例えば、農業に従事していると、農地の遺産相続の際に相続税が
かかりません。
正確には相続者が30年間に農業に従事すれば相続税が免除される
ことになっています。
また農業従事者は青色申告者と同様、一般の事業者と比べて多くの
ものを経費に算入することができます。
このような事情もあって、農業利権だけを持っていて実際には農業に
真剣に携わっていない人が一向に減りません。私に言わせれば、日本
は「農民もどき」が多過ぎると思います。
実際のところ、専業農家は全体の2割くらいでしょう。農業利権だけ
を主張している人が500万人くらい居るはずです。
今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を推し進める動きが活発化
していますが、この辺りの法整備を含めてばっさりと改善していけば
話は前に進んでいくでしょう。
そして、本気でTPPにより「際限ない自由化」を実現しようと思うなら、
「農業は世界の最適地でやるべき」という考え方は大切だと私は考え
ています。
現実的に日本の若者が国内で農業に従事する、というのは考えづらい
と思います。まだバングラデシュの若者が日本に来て日本で農業をやる、
という方が納得します。
日本の若者がオーストラリアなど国外の農業最適地で農業に携わり、
そこから日本に農作物を輸入するという流れをぜひ実現してもらいたいと
私は願っています。
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