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from: 22世紀 - 2さん
2011年12月05日 18時01分46秒
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池田大作「権力者」の構造
文庫版のためのあとがき
本書の元版は1972年3月に三一書房から刊行した「池田大作 権力者の構造」である。30歳になる寸前に脱稿、刊行した。当時は一面識もなかったのだが、創価学会批判の先達である藤原弘達、内藤国夫両氏に献本した。嬉しいことに両氏ともすぐ目を通して、まだ若造の私に懇切なお礼状を下さった。残念なことにお二人ともすでにお亡くなりになられた。礼状は私信であり、本来は公表を遠慮すべきだろうが、本書初版がどう識者に受け止められたかを示すため、あえて引用の非礼を冒そう。
内藤国夫氏の葉書には同年3月21日の消印があった。刊行の直後である。
〈前略、読み応えのある力作、『池田大作 権力者の構造』をご送付いただきありがとうございました。よくここまで調べあげたものと感心しながら読ませていただきました。こういう、しっかりしたものが出てくれば、もう小生の本などはご用済みになっても、文句がいえません。私自身、教えられるところが多々あり、他の公明党創価学会ものより、一段と中身の濃いものとなっていることに敬意を払います。池田大作氏以下学会、公明党幹部にとっても、さぞ耳の痛い事でしょう。今後の一層のご活躍を期待しています〉
藤原弘達氏の葉書は3月23日の消印である。
〈貴著早速拝見しました。綿密なフォローと冷静の目に感服しました。まだまだ問題は終っていないのに、日本人はとかく健忘症です。本当の闘いはこれからではないかと存じます。御健闘を祈ります。一筆お礼まで。3月22日〉
今回、あとがきを書くため古い物入れをあさって探し出したのだが、黄ばんだ葉書を手にして、当時の気持ちをまざまざと思い起こした。お二人の御感想に接して、どれだけ力つ゛けられたことか。
だが、私は怠け者で、次の年サラリーマン生活に舞い戻った。再び書き出したのは1980年からである。
1980年、創価学会の元顧問弁護士である山崎正友氏、元教学部長の原島崇氏などが学会本部から持ち出した機密資料などをもとに、驚くべき創価学会の実態を暴露し始めた。そのころ私は月刊誌や週刊誌を舞台に執筆活動を再開していたが、両氏のもたらした情報は驚天動地の内容といってよく、胸がわくわくするほどの興奮を覚えた。
この前後から創価学会本部に勤める職員などから情報が漏れ出し、意外なことも聞いた。本書を手に取った野崎勲副会長が「よくできた本だな」といったこと、秋谷栄之助会長が本書の刊行に危機感を持ち、一時筆者の動向を気に掛けたこと、日蓮正宗の若手僧侶たちが本書を池田大作研究の参考書に使っていたこと――などである。
本書は『聖教新聞』を創刊時からたんねんに読み込むことで始まっている。特に内部情報を求めたわけではなかったが、池田氏について推測したおおよそは当たっていた。相手側の創価学会から評価されて、逆にそのことを知ったのだが、物書きとしては非常な名誉と心得る。
もちろん刊行後、創価学会や池田氏からは名誉棄損の苦情や訴訟など、一切受けていない。ただ先輩ライター(故人)から1983年、学会系の『潮』誌などで見当違いの罵詈讒謗を浴びることはあったが、おそらく食うに窮して創価学会に取り込まれたものだろう。それなりに一目置いていたライターであり、学会に使嗾されて晩節を汚すことになったのは彼の為残念である。
本書の増補改訂版『堕ちた庶民の神』は1981年6月、元版と同様三一書房から刊行された。その「あとがき」で筆者は次のように記した。
「(旧著=元版=が刊行されて9年の歳月が流れ)池田氏の実像はますます明らかになりつつあるが、筆者は新たにお世話になった方々への謝辞のほかには、旧著あとがきを変えたり、つけ加えたりする必要をほとんど感じていない。池田氏の人間性が変わらない以上、筆者の池田氏に対する評価も同様に変わりようがない」
本書はこの増補改訂版を底本としている。今回、講談社+a文庫の一冊に収容されることになったが、最初の刊行計画は同社生活文化局・柿島一暢氏に発している。同氏がその後『現代』編集部に移られた為、実際の刊行では生活文化局担当副部長・木原進治氏にひとかたならぬお世話になった。底本でお世話になった方々と併せ、末尾ながら深謝する次第である。
2005年8月 溝口 敦-
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