「Re:火災：焼け跡に２遺体　ＤＶ夫が無理心中か　高知」
高知・夫婦心中：２人の死因は失血死　早苗さんに複数の刃物傷　／高知
　高知市北秦泉寺の大工、中西義盛さん（５９）方で、焼け跡から中西さんと妻の早苗さん（５１）の遺体が見つかった事件で、高知署は２５日、司法解剖の結果、２人の死因は刃物による刺し傷が原因の失血死と発表した。凶器とみられる包丁も室内から見つかっており、外部から侵入した形跡もないことから同署は、中西さんが、ドメスティックバイオレンス（ＤＶ）を訴えていた早苗さんを殺害後、自殺した無理心中事件とみて、殺人容疑で調べている。

　同署によると、中西さんは左胸に２カ所の刺し傷、早苗さんは胸や左腕、背中などに刺されたり切られた跡が複数あった。２人の遺体があった８畳間には包丁のほか、ポリタンクも残されていたという。【千脇康平】

毎日新聞　2009年6月26日　地方版

「Re:火災：焼け跡に２遺体　ＤＶ夫が無理心中か　高知」
高知・夫婦心中：焼け跡から２人の遺体　夫婦の間に何が…ＤＶ背景に　／高知
　◇妻・早苗さん、相談したが事件化望まず
　高知市北秦泉寺の大工、中西義盛さん（５９）方で、焼け跡から刃物傷のある中西さんと妻で看護師の早苗さん（５１）の遺体が見つかった事件。早苗さんはドメスティックバイオレンス（ＤＶ）を受け、昨夏から警察に夫の暴力を相談していたという。ペットの犬と一緒に遊ぶなど周りからは幸せにも見えた夫婦の間に一体、何があったのか－－。【黄在龍、高谷均、山本健太】

　「夫に暴力を振るわれている」。捜査関係者によると、高知南署に早苗さんから相談があったのは昨年８月だった。その後、早苗さんは夫の実家がある大豊町を管轄する本山署に出向いた。対応した本山署員は「被害届を出せば傷害事件として捜査できる」と説明したが、早苗さんは事件化を望まなかったという。

　事件化以外での対処法としては、ＤＶ防止法に基づく保護命令がある。同法では、被害者周辺へのつきまといなどを禁ずる「接近禁止命令」（６カ月）、自宅などからの「退去命令」（２カ月）を規定。被害者からの申請を受けた裁判所が双方からの意見を聞き、命令を出す仕組みだ。早苗さんもこうした手続きを取り、昨年１０月、中西さんに接近禁止命令が出された。発令後、高知署には早苗さんから「引っ越し作業中だが特に問題はない」との電話があったという。

　それから約８カ月。再び２人で暮らすようになり、しばらくたった今月２１日。「夫を入院させることはできないか」。夫婦で本山署を訪れた早苗さんが懇願した。理由は飲酒時の暴力だった。双方から事情を聴いた署員の結論は「市役所に当たってみては」だった。早苗さんが高知市保健所に電話をかけたのはその２日後、応対した保健師が聞いた早苗さんの最後の言葉は「やめて、やめて」。自宅に急行したが、既に煙に巻かれており、間に合わなかった。

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　早苗さんが勤務していた病院によると、早苗さんは３０年近いキャリアで、病棟の師長として職員約２０人をまとめる立場にあった。出勤予定だった２２日は「用事ができた」と休みを取り、事件当日の２３日は公休だった。夫の暴力について「職場では口にしにくかったのでは」（関係者）という。

　大豊町の実家近所では、中西さんが怒鳴る声が度々聞かれており、早苗さんが救急車で運ばれたこともあった。住民が早苗さんに聞くと「椅子にぶつけてあばら骨が折れた」と説明したという。

　一方、中西さんは近隣住民らによると、仕事の早苗さんに代わって家事をしたり、人を集めて宴会を開くなどしていた。一方で、「酒癖が悪い」との評判もあり、中西さんの病気を気遣う早苗さんが周囲に相談していたこともあった。

　実家近所の人は「いいお嫁さんだったし、いつも『また帰ってくるけんね』と言ってくれた。２人がいなくなってさみしい」と肩を落とした。

毎日新聞　2009年6月25日　地方版

「Re:火災：焼け跡に２遺体　ＤＶ夫が無理心中か　高知」
高知無理心中：夫の飲酒とＤＶで夫婦が警察に相談
　高知市北秦泉寺の大工、中西義盛さん（５９）方が２３日に焼け、中西さんと妻早苗さん（５１）が刃物傷のある遺体で見つかった事件で、ドメスティックバイオレンス（ＤＶ）を受けていた早苗さんが事件前々日に夫と警察署を訪れ、中西さんが度々酒を飲んで暴れることから「入院させたい」と相談していたことが捜査関係者への取材でわかった。県警高知署は中西さんが無理心中を決意するきっかけになった可能性があるとみて経緯を調べている。

　捜査関係者などによると、早苗さんは昨年８月から少なくとも４度、ＤＶについて本山署などに相談。同署員が「被害届を出せば傷害事案として調べられる」と説明したが、本人が事件化を望まなかったという。【千脇康平】

毎日新聞　2009年6月25日　14時38分