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配偶者からの暴力(DV)問題

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  • from: 21世紀さん

    2009年09月20日 05時44分23秒

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    市民の思い 判決に 裁判員裁判傍聴記

    被告・被害者の将来考え
    地裁で審理された四国初の裁判員裁判は、現住建造物等放火、傷害、窃盗の罪に問われた被告(41)に懲役6年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡して17日に閉廷した。法廷では情状面が焦点となり、放火事件に至るまでに起きた元妻への家庭内暴力(DV)などから、被告と被害者の心の変化を理解しようと突っ込んだ審理が繰り広げられた。15〜17日、公判を傍聴し、裁判員が事件に向き合う姿に間近に接した。(黒川絵理)

     「背後から特殊警棒で頭を思いきり殴り、大量の出血があった」。初公判の15日、検察側は証拠調べで、被告による元妻へのDVの状況を事細かに述べた。裁判員モニターには、元妻の血まみれの写真が示され、1人の女性裁判員は瞳を固く閉じた。

     16日の元妻への証人尋問と被告人質問では、元妻が「一番怖いのは再犯なんです」と声を絞り出し、被告は「仕事をして、一人でしっかりやっていると思われるよう、社会復帰をしたい」と涙ながらに語った。2人の言葉に全裁判員が一言も聞き漏らすまいと耳を傾けた。被告に「刑を終えて、(元)奥さんに会いに行くつもりですか。本当の気持ちを知りたい」と、もう一度確認した裁判員もいた。

     検察側は懲役7年を求刑し、弁護側は懲役3年、保護観察付き執行猶予5年を主張した。実刑がいいのか、執行を猶予して社会での更生を図るのがいいのか、評議は判決言い渡しの直前まで続いた。そして17日午後4時。菊池則明裁判長は、判決理由で「放火罪だけなら法定刑の下限(懲役5年)も考えられるが、傷害罪を考慮すると5年よりも長期の刑が必要」と述べた。



     DV防止法に詳しいお茶の水女子大・戒能民江教授は「DV加害者は一般的にはしつこい。暴力自体を悪いと思っておらず、一定期間は刑務所に入らないと報復の恐れがある」と、今回の実刑判決を評価する。

     一方で別の見方をする人もいる。立命館大法学部の森久智江准教授は「量刑は適切」と前置きした上で、「被告の年齢を考えると、出所後の就職は難しく、社会での自立に不安が残る」と危惧(きぐ)する。

     3日間傍聴して聞いた判決は、私の考えに近かった。けれど、判決が本当に被害者にも被告にも社会にもいい結果を導くかは、誰にもわからない。裁判員を務めた男性の1人は判決後、「生きている間、被害者と被告の将来が気になるだろう」と語った。もっともだと思う。そんな一市民の思いや悩みを判決に取り込んでいく。それが裁判員裁判の本質なのかもしれない。そう感じた。

    (2009年9月19日 読売新聞)

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