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from: 21世紀さん
2010年02月20日 09時02分20秒
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みやぎ・この人に聞きたい:仙台女性への暴力防止センター代表・八幡悦子さん /宮城
◇石巻3人殺傷事件を受けて--八幡悦子さん(57)
石巻市清水町1の南部かつみさん(46)方で長女美沙さん(20)ら2人が刺殺され、次女(18)が連れ去られた事件は17日、発生から1週間を迎えた。事件に至るまで、次女の元交際相手で同市の解体工の少年(18)=未成年者略取と監禁容疑で逮捕=が、ドメスティックバイオレンス(DV)を繰り返していたとみられている。次女や美沙さんは09年2月以降、計12回にわたり警察署に相談していたという。事件を未然に防ぐことはできなかったのか。女性への暴力防止センター「仙台女性への暴力防止センター」(ハーティ仙台)代表を務め、DVの被害者や家族らを支援してきた八幡悦子さん(57)にDVの対処法などを聞いた。【須藤唯哉】
◇Q・DVへの対処法は?
◇A・まず逃げて。周りも説得を
--DVとは?
◆相手からの殴る、けるなどの暴力行為だけではなく、精神的、経済的に追い込まれることも含む。私たちはDVに気が付いてもらうため、学校などでDVチェックリストを配布している。
--石巻刺殺事件をどう見ますか?
◆典型的なDVの事件で、起こるべくして起きた。警察官は積極的に(被害届の提出を)説得したかもしれないが、本人自身が「逃げなければ危険だ」と認識するような説明が必要だった。
--次女は09年2月にDV保護施設に入所したが、数日で「少年と復縁した」と退所しました。
◆被害者は一度退所すると施設に戻りにくい心境になるので、私たちは「施設には何回入所してもいい」と伝えている。事件に巻き込まれるよりいい。石巻市の事件は(発生前日に少年が押しかけた)9日夜に保護施設に入所すべきケースだった。
--相談者にはどのような支援を?
◆「暴力を放置したら危ない」と具体例を挙げて説得する。法律を使って相手の行動を止めないと駄目。DV防止法やストーカー規制法で相手に接近禁止の保護命令を家庭裁判所から出してもらえば、近づいただけで相手を逮捕することもできる。危険と判断すれば県外の保護施設に入所させることもある。
--被害者が相手を排除する決断をするのは難しそうです。
◆暴力などによって心理的にコントロールされた被害者は相手の機嫌を損なうことを怖がり、(支援や被害届を)遠慮するケースがある。それだけに被害者には、DVの標的が家族や友人らにも及び、周辺の人々の人生も壊される可能性があることを説得する。被害者自らが「危険だ」と気が付く支援をしなければいけない。
--どのような危険がありますか?
◆被害者は、穏便に相手と別れたいと望むが、相手は簡単にあきらめないケースが多い。夫が妻を殺す配偶者間の殺人事件で3日に1人が死亡しているというデータもあり、相談者には別れる時が、暴力がエスカレートして一番危ないと言っている。
--対処策は?
◆DVを受けたらまずは逃げることが重要。そして、長年相談に乗ってきた結論としては、合法的なプロに戦ってもらうことだ。弁護士や警察官らを二人の間に入れて、離婚したり、子供がいる場合は養育費を決めるべきだ。被害者一人で相手と直接交渉すると、暴力がエスカレートする可能性が強い。プロが仲介してきちんとルールを決めれば相手が会いに来なくなることもある。
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◆聞いて一言
◇専門家の助言耳に届けば
石巻市刺殺事件を取材する中で、次女に対する少年のDVが浮かび上がった。2人の友人らが「腕にたばこの火を押しつけられた跡があった」「(次女が)眼帯をしていた」と証言する度に、事件を防げたのではないかとの思いを強くした。
八幡さんは、被害者に対して何度も「逃げて」と強調した。「殴ったり、殺そうとするのは愛ではない。相手が泣いているのは愛ではない」と。
「逃げることは泣き寝入りとは違う」。八幡さんの言葉が次女の耳に届いていれば事件は防げたかもしれない。
◇ ◇
◆ハーティ仙台への問い合わせ◆
022・274・1885
※月〜金曜、午後1時半から午後4時半まで。
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<DVチェックリスト>
【身体的暴力】
・平手で殴られたり、足でけられたりする
・刃物などの凶器を体に突きつけて命の危険を感じさせるような恐怖を与えられた
【精神的暴力】
・自分が友達や両親と交際するのを相手が嫌がっている
・「バカ」「お前は何もできない」とののしられたり、無視される
【性的暴力】
・嫌がっているのに性行為を強要される
【経済的暴力】
・生活費を渡さなかったり、借金をさせられたりする
・「外で働くな」「仕事を辞めろ」と言われる
【以上のことから】
・相手の機嫌が悪くならないようにおびえて、いつも神経が張りつめている
・「こんな状況を話せない」「話すともっとつらいことが起きる」と思っている
※「ハーティ仙台」の資料から一部抜粋
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■人物略歴
◇やはた・えつこ
1952年3月11日生まれ。助産師として病院に約10年勤務した後、仙台市で27年間、女性のDV被害者らを中心に相談に乗ってきた。99年にハーティ仙台を設立。現在は看護師学校や大学の非常勤講師、性教育など各種セミナーの講師として各地で講演している。-
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