◇独居の孤独、家庭内暴力…切実な声－－「１人で悩まないで」
　「孤独で不安。死にたい」「生きる希望が持てない」－－。名張市青蓮寺の地蔵院青蓮寺住職の耕野一仁さん（６１）が昨年１１月に始めた電話相談「生かせ命」に、市内外から切実な声が寄せられている。１２日までに直接訪問を含む２１件に対応。中高年層、とりわけ４０歳前後の女性が多いという。３月は自殺対策強化月間。耕野さんは「すべてに共通するのは孤独を感じていること。１人で悩まないで」と呼びかけている。

　ある高齢の女性は夫に先立たれ、一人暮らしに。息子夫婦は遠方に暮らし、滅多に会えない。女性は「何のために生きているのか分からない。寝たきりになった時のことを思うと不安」と切々と語った。また、障害者の子どもを持つ別の女性は「私の死後が心配」と訴えた。耕野さんはこのほか、夫の暴力を受けている妊娠中の女性、離婚を迷っている高齢女性、肉親の死に自責の念を感じている女性らの悩みに耳を傾けた。

　大半の電話は夜で、午前１、２時にかかってくることも。思いや悩みをはき出し、耕野さんは聞き役に徹する。しかし、傷をなめるような甘い言葉だけでなく、時には厳しい言葉も投げかけ、叱咤（しった）激励する。電話は２時間近くに及ぶこともあるという。寺には礼状が舞い込み、協力の申し出も受けた。

　耕野さんは「近親者には相談できず、行き詰まった人ばかり。私とは面識がないから話しやすいのでは」と受け止め、「ほっとした、と最後に言ってもらうと、役に立てたようでうれしい」と話す。

　相談は無休。電話は（０５９５・６３・２１９１）。【渕脇直樹】

〔伊賀版〕

03/13
毎日新聞